2025.02.10

公認会計士

公認会計士の働き方|ワークライフバランスを向上させるために必要なこととは

公認会計士の働き方|ワークライフバランスを向上させるために必要なこととは
AI(人工知能)の進化により、公認会計士の業務も自動化の波にさらされています。しかし、AIが得意とする業務と会計士が持つ専門性の違いを理解することが重要です。

本記事では、公認会計士の業務におけるAIの影響や、代替が難しい領域、今後求められるスキルについて詳しく解説し、会計士がどのようにAIと共存しながらキャリアを築いていくべきかをご紹介します。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

公認会計士の仕事内容

公認会計士は、監査業務や財務コンサルティングなど、企業の信頼性や成長を支える専門職です。その仕事内容は多岐にわたり、繁忙期や業務内容によって働き方が変わります。ここでは、公認会計士の典型的な1日の流れと、年間を通じたスケジュールについて解説します。

公認会計士の一日の流れ

公認会計士の1日は、クライアント先での業務やオフィスワーク、チームミーティングなど多岐にわたります。以下は、監査法人に所属する場合の典型的な1日のスケジュール例です。

  • 9:00:出社またはクライアント先へ直行
    メールチェックやその日のスケジュール確認を行います。クライアント先での業務の場合は、事前に準備した資料をもとに監査を開始します。
  • 10:00~12:00:監査業務
    財務資料のチェックや、クライアントの担当者へのヒアリングを実施します。会計基準に沿って適切に記録されているかを確認します。
  • 12:00~13:00:昼休憩
    クライアント先の近くでランチを済ませ、午後の業務に備えます。
  • 13:00~17:00:監査の続き・報告書作成
    午前の作業内容をチームで共有し、不明点を補完します。データを整理し、報告書に記載するための準備を進めます。
  • 17:00~18:00:ミーティング
    チームリーダーやクライアントと業務の進捗や次回の予定を確認します。
  • 18:30:退社または残業
    忙しい時期には、退社後も自宅で資料作成やリサーチを行うことがあります。

このように、公認会計士の働き方は日々の業務内容やクライアントの要望によって変化しますが、繁忙期以外はスケジュールを柔軟に調整することも可能です。

公認会計士の年間業務スケジュール

公認会計士の年間スケジュールは、担当するクライアントの決算期に大きく影響されます。例えば、3月決算のクライアントを担当する場合、以下のようなスケジュールとなることが一般的です。

時期主な業務内容
7月監査計画の策定・キックオフミーティング
7月中旬~8月上旬第1四半期レビュー(財務データの確認・クライアント訪問)
8月中旬夏季休暇(プライベート時間の確保)
8月下旬~9月期中監査(支社・工場の現地調査、内部統制の確認)
10月中旬~11月上旬第2四半期レビュー(業績の進捗確認・監査手続の実施)
11月中旬~12月下旬期中監査(海外子会社の監査指示・財務資料の詳細確認)
1月中旬~2月上旬期末監査準備・実査・棚卸立会(在庫や資産の確認)
2月下旬~3月末期末監査準備・実査・棚卸立会(在庫や資産の確認)
4月中旬~5月上旬期末監査(最終的な財務諸表の精査、監査意見の形成)
5月中旬監査役会への報告(監査結果の説明と質疑応答)
5月下旬~6月上旬有価証券報告書(有報)のチェック
6月下旬定時株主総会(株主への報告、会計監査の結果説明)

このスケジュールは一例であり、クライアントの業種や決算期によって変動します。特に繁忙期は集中して業務をこなす必要がありますが、それ以外の時期には比較的余裕を持って業務に取り組むことができます。

ただし、四半期報告書が廃止になり公認会計士によるレビューが原則任意になった影響で、第1、第3四半期のレビューを行わない監査クライアントも増えています。

参考:監査業務の1年 | 日本公認会計士協会

公認会計士のワークライフバランスを整えるには?

監査業務に携わる公認会計士は、繁忙期には長時間労働が求められることが多く、ワークライフバランスを保つのが難しい職業とされています。しかし、近年では働き方改革の推進やテクノロジーの活用により、柔軟な働き方を選択できる機会が増えています。本章では、公認会計士が仕事とプライベートのバランスを整えるための具体的な方法について紹介します。

在宅勤務や時短勤務を活用する

近年、働き方改革の一環として、公認会計士の業務においても在宅勤務や時短勤務の導入が進んでいます。特に、監査業務のデジタル化が進んだことで、クライアントとの打ち合わせやデータ分析など、一部の業務をリモートで行うことが可能になりました。例えば、資料の確認や報告書の作成は在宅で行い、必要な時のみクライアント先へ訪問するといったハイブリッドな働き方が増えています。また、子育て中の会計士にとっては、時短勤務制度を活用することで、育児との両立がしやすくなります。柔軟な勤務制度を利用することで、仕事の効率を維持しつつ、プライベートの時間を確保することができます。

長期休暇を活用する

公認会計士は、クライアントの決算時期に応じて業務の繁忙期と閑散期が明確に分かれていることが多いです。

そのため、閑散期を利用して長期休暇を取得し、リフレッシュすることが可能です。

特に、監査法人では繁忙期終了後の6月や9月などに休暇を取るケースが多く、海外旅行や趣味の時間に充てることができます。これにより、繁忙期に向けて心身のリフレッシュができるため、より充実した働き方を実現できます。

また、制度を活用して、TOEICなどの学習期間に充てることも、キャリアアップにつながるメリットの一つです。

ただし、決算期のずれたクライアントを担当するということもあるため、必ず長期休暇が取れるわけではないことには注意しましょう。

監査部門以外の部署に異動する

監査業務は繁忙期の負担が大きいことから、ワークライフバランスを改善するために、監査部門以外の部署へ異動する選択肢もあります。

例えば、アドバイザリー部門では、内部統制支援や財務コンサルティングなど、より戦略的で計画的な業務に携わることができ、繁忙期の波が比較的穏やかで、より安定した働き方を実現できるケースもあります。

異動を希望する際には、自身のキャリアビジョンを明確にし、スキルセットの棚卸しを行うことが重要です。異動によって、仕事の質を維持しながらも、プライベートの充実を図ることができます。

転職をする

ワークライフバランスを改善するための有効な手段の一つとして、転職を検討することも挙げられます。特に、監査法人から監査法人のアドバイザリー部門や事業会社などへの転職は、残業時間の削減や柔軟な勤務形態の実現につながります。

例えば、企業内の経理・財務部門では、監査法人ほどの繁忙期の波が少なく、年間を通じて安定したスケジュールで働くことが可能です。また、リモートワークの導入が進んでいる企業も多く、自宅やワーケーションを活用しながら働くことができる環境も増えています。

転職を通じて、自分に合った働き方を見つけることで、長期的なキャリアとライフスタイルの両立が可能となります。

ワークライフバランスが向上する公認会計士の転職先

公認会計士のキャリアは多様であり、監査法人だけでなく、コンサルティングファームや企業内会計士としての働き方も選択肢の一つです。特に、ワークライフバランスを重視した転職を検討する場合、勤務時間の柔軟性や業務量の安定性が求められます。ここでは、公認会計士がワークライフバランスを向上させるための転職先として、中小監査法人、コンサルティングファーム、企業内会計士の各選択肢について詳しく解説します。

中小監査法人

大手監査法人以外の監査法人は中小監査法人のカテゴリーに分けられます。

中小監査法人といっても、数百人以上の規模の監査法人から、数名で行っている監査法人まで、規模は様々です。

大手監査法人では、厳格な品質管理やグローバル規模の監査が求められる一方、中小監査法人では、クライアントとの距離が近く、柔軟な対応が可能です。

また、チームの規模が小さいことから、一人ひとりの業務範囲が広くなり、監査だけでなくコンサルティング業務に携わる機会も増えます。これにより、スキルの幅を広げることができるので、将来的なキャリアアップにつながることもあるでしょう。

企業内会計士

企業内会計士として働くことで、勤務時間の安定性や柔軟なスケジュールの確保が可能になります。企業内の経理・財務部門では、監査法人のようにクライアントのスケジュールに合わせることがなく、社内でのスケジュール調整が必要なだけなので、年間を通して一定のペースで業務をこなせるのが特徴です。

また、企業によってはフレックスタイム制度やリモートワークが導入されており、家庭やプライベートの時間を大切にしながら働くことができます。さらに、監査法人と異なり、クライアント対応ではなく社内業務が中心となるため、突発的な業務の発生が少なく、計画的に業務を進められます。

企業の成長戦略に深く関与し、財務管理や経営判断のサポートを行うことで、専門知識を活かしながらも、安定したキャリアを築くことが可能です。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームでは、監査業務とは異なり、クライアントの経営戦略や財務アドバイザリーに関わる業務が中心となります。ワークライフバランスを重視しコンサルティングファームに転職する方は少ないものの、コンサルティングファームでも働き方改革が進んでいることや、プロジェクトベースでの業務が多いことから、繁忙期以外は大手の監査法人に比べてスケジュールの調整がしやすくなってきています。

特に、現在ではリモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業も多く、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。これにより、子育て中の方や、柔軟な勤務を希望する方にとって理想的な環境となるでしょう。

また、監査法人で培った専門知識を活かしながら、経営戦略の立案や財務分析、M&A支援など、多様なスキルを習得できるため、キャリアの幅を広げつつ、働き方の自由度を高めることができます。

公認会計士が働き方を変える時に考えておきたいこと

公認会計士としてのキャリアは多様であり、ライフステージの変化に応じて働き方を見直すことが重要です。例えば、ワークライフバランスを重視した働き方を選択したり、新たな挑戦として異なる業界に進むことも選択肢の一つです。しかし、働き方を変える際には、キャリアの方向性や収入、プライベートとのバランスを慎重に考慮する必要があります。ここでは、働き方を見直す際に検討すべきポイントについて解説します。

会計士としてのキャリアプランを考える

働き方を変える際に、まず長期的なキャリアプランを明確にすることが重要です。公認会計士のスキルは、監査業務だけでなく、経営コンサルティングや事業再生、税務など幅広い分野で活かすことができます。

例えば、「将来的に独立を目指すのか」「企業内会計士として安定を求めるのか」「専門性を高められる転職先に挑戦するのか」といった具体的な目標を立てることで、働き方の選択肢が明確になります。

また、キャリアプランを立てる際には、自身の得意分野や将来的に身に付けたいスキルを洗い出し、どのような業務経験が必要かを考えることが重要です。計画的にキャリアを築くことで、無理のないペースで働き方を見直すことが可能になります。

希望年収を考える

働き方を変えることで、収入にどのような影響があるのかを考慮することも欠かせません。監査法人での働き方を続ける場合、繁忙期は長時間労働となるものの、安定した高収入が期待できます。一方で、時短勤務やフリーランスとして独立する場合、収入が変動しやすくなるため、生活スタイルに応じた目標年収を設定することが大切です。

例えば、「どの程度の収入が必要なのか」「現在の生活費と将来の支出をどのようにカバーするか」といった点を見直し、必要に応じて副業や資産運用などの選択肢も検討することで、経済的な安定を保ちながら理想の働き方を実現できます。

また、転職を検討する際には、希望する年収に見合った求人情報を調べ、市場価値を把握しておくことも重要です。給与面だけでなく、福利厚生や働きやすさも含めた総合的な評価を行い、自分に合った働き方を選びましょう。

仕事以外で大切にしたいことを考える

働き方を変える際には、仕事以外の時間をどのように活用したいのかを明確にすることも重要です。例えば、家族との時間を増やしたい、趣味の時間を確保したい、資格取得のための学習時間を確保したいといった希望を整理することで、より理想的なワークライフバランスを実現できます。

特に、子育て中や介護をしている方にとっては、柔軟な働き方が求められることが多いため、フルタイムから時短勤務への切り替えや、在宅勤務の活用が有効です。また、趣味や自己研鑽のために時間を割くことで、仕事のモチベーションを維持しながら、心身の健康を保つことができます。

働き方を見直す際には、仕事とプライベートのバランスを見極め、ライフスタイルに合った選択をすることが、公認会計士として長く活躍するための鍵となります。

公認会計士の働き方や仕事に関するよくある質問

公認会計士として働く際に、多くの方が気になるのが「働きやすさ」や「将来性」です。特に、女性の働きやすさや将来の仕事の安定性、適性などに関して、さまざまな疑問が寄せられています。ここでは、公認会計士の働き方に関するよくある質問について詳しく解説します。

公認会計士は女性も働きやすい仕事?

公認会計士は、男女問わず活躍できる職業であり、仕事内容に性別による違いはありません。監査業務や財務アドバイザリー業務において、専門的な知識と経験が重視されるため、女性も男性と同じフィールドで働くことができます。

また、近年ではワークライフバランスを重視した柔軟な働き方が可能となり、産休・育休制度の充実や、時短勤務、在宅勤務といった選択肢も増えています。そのため、結婚や出産などのライフイベントを経ても、キャリアを継続しやすい環境が整っています。

特に監査法人や企業の経理部門では、働き方の多様化が進んでおり、女性の公認会計士も管理職として活躍する機会が増えています。復帰後も専門知識を活かしながら、無理のない働き方を選ぶことが可能です。

公認会計士の仕事がなくなるというのは本当?

公認会計士の仕事がAIに取って代わられるという不安を抱える方もいますが、すべての業務がAIによって代替されるわけではありません。AIはデータ分析や異常検知などの定型的な作業を得意としますが、経営判断のサポートやクライアントとのコミュニケーションといった分野では、人間の専門知識や経験が必要不可欠です。

公認会計士は、AIを活用しながらより高度な業務にシフトすることで、将来にわたって求められる職業であり続けるでしょう。公認会計士とAIの関係について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

公認会計士はAIに代替されるのか|AI活用事例や今後必要となるスキルとは

公認会計士に向いている人の特徴は?

公認会計士として活躍するためには、専門的な知識だけでなく、いくつかの適性が求められます。例えば、以下のような特徴を持つ方が、公認会計士に向いているとされています。

  • 論理的思考力がある人

数字の分析や財務データの解釈には、論理的に物事を考える力が求められます。問題解決をする際に、データをもとに根拠を持って判断できる方に向いています。

  • コミュニケーション力が高い人

クライアントとのやり取りが多いため、専門的な内容を分かりやすく説明し、信頼関係を築くことが重要です。

  • 細かい作業が得意な人

財務資料のチェックや、規定に沿った監査を行うため、正確性と注意力が求められます。

  • 向上心がある人

会計基準や税法などは頻繁に改正されるため、常に最新の情報をキャッチし、学び続ける姿勢が必要です。

これらの特徴を活かせる方にとって、公認会計士はやりがいのある職業と言えるでしょう。

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公認会計士としてキャリアアップや働き方の見直しを検討している方にとって、適切な転職先の選定は重要なステップです。

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まとめ

公認会計士の働き方は、多様な選択肢が広がっており、ワークライフバランスを重視しながらキャリアを築くことが可能です。監査法人での経験を活かしつつ、コンサルティングファームや事業会社への転職、時短勤務や在宅勤務の活用など、自身のライフスタイルに合った働き方を選ぶことが重要です。

働き方を見直す際には、長期的なキャリアプランや希望年収、プライベートの優先事項を整理し、自分に最適な選択をすることが求められます。転職を検討する際は、公認会計士に特化したエージェントに相談することで、専門的なサポートを受けることができ、理想の働き方を実現しやすくなります。

公認会計士としてのキャリアを充実させるために、自分に合った働き方を見つけ、より良い未来へと歩みを進めましょう。

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