2025.01.21

公認会計士

公認会計士に人気の転職先とは?転職を成功させるためのコツを徹底解説

公認会計士に人気の転職先とは?転職を成功させるためのコツを徹底解説
近年のグローバル化やテクノロジーの発展により、さらなる複雑化が進んでいる企業を支える役割を担う公認会計士。M&A市場の活性化や人手不足の影響で公認会計士の採用需要は非常に高いため、新しいキャリアを築きたいと考える方にとってさまざまな選択肢があります。

本記事では、公認会計士の代表的な転職先や転職を考えるよくある理由、現代における公認会計士の転職市場などを解説します。

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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

公認会計士の転職市場の動向

総務省の調査によると、2023年の就業者のうち、転職希望者は1035万人と10期連続で増加していて、転職が当たり前の時代になってきています。公認会計士もその例外ではありません。

参考:直近の転職者及び転職等希望者の動向について

株式会社ベンドが運営する「スキルアップ研究所」が行った調査によると、公認会計士のうち勤続5年以内に転職する方は全体の8割で、勤続1年~3年未満で退職する方が51%と最も多くなっています。

公認会計士試験に合格した後、ほとんどの方が監査法人に就職し、公認会計士としての登録のため3年の実務経験を積むこととなります。

そのため、最初の数年間を基礎的なスキルと実務経験を積むための期間として捉え、その後キャリアアップやワークライフバランスを実現するために転職を考えるケースが多いと考えられます。

参考:公認会計士の転職に関する実態調査 | スキルアップ研究所
公認会計士の転職市場は、人手不足や経済活動の活性化により売り手市場が続いています。公認会計士の資格は転職市場での大きなアドバンテージとなり、多様なキャリア選択肢が広がっています。

公認会計士が転職を考える理由4選

書類を確認する女性

公認会計士が転職を考える、代表的な理由としては以下の4つが挙げられます。

  • ワークライフバランスを充実させたい
  • キャリアアップをしたい
  • 監査以外の仕事に就きたい
  • クライアントに寄り添った仕事をしたい

ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。

ワークライフバランスを充実させたい

先ほど参照した、株式会社ベンドが運営する「スキルアップ研究所」が行った調査では、転職時に最も重視したことにワークライフバランスと答えた人は最も多く、29.0%となっています。

参考:公認会計士の転職に関する実態調査 | スキルアップ研究所

公認会計士試験合格後、公認会計士として登録するために必要な実務経験を積むため、ほとんどの方が監査法人に就職しています。

しかし監査法人で働く公認会計士は、繁忙期に長時間労働を求められることが多く、なかなかお休みが取れない、残業続きになってしまうことは少なくありません。

そのため、プライベートの時間を持つのが難しく、ワークライフバランスを重視する人が転職を考える大きな理由となっています。

キャリアアップをしたい

公認会計士としての専門知識やスキルを活かしながら、さらなる成長を目指してキャリアアップを考える方も多くいます。「スキルアップ研究所」が行った調査を再度参照しますが、ワークライフバランスに次いで、21.8%の人が「やりがいのある職務内容」を重視していることが分かっています。

参考:公認会計士の転職に関する実態調査 | スキルアップ研究所

監査法人での経験は非常に貴重ですが、業務内容が監査業務に限定されることもあるため、膨大な資料やデータを処理する地道な作業が多いと感じる方もいるでしょう。そのため、FASやコンサルティングなどの分野で、新たな挑戦を求めて転職するケースが増えています。

監査法人でも、アドバイザリー部門への転職などにより、新しい専門スキルやクライアント支援の経験を積むことが可能です。

特に、アドバイザリー部門では顧客と共通の課題を持ち、ともに問題解決できること、それにより感謝されることがやりがいにつながるでしょう。一方、コンサルティングファームでは財務デューデリジェンスやバリュエーション、事業再生支援などの業務を通じて高度なスキルを磨けます。

また、企業の経営層に近いポジションで働きたい、経営判断に直接関与するような業務を希望する方には、事業会社のCFO候補や経営企画、IPO準備責任者といったポジションが人気です。

キャリアアップは、年収アップだけでなく、専門性の向上やより裁量の大きいポジションへの挑戦につながる魅力的な選択肢です。

監査以外の仕事に就きたい

監査法人で働く公認会計士の中には、現在の業務内容が自分に合わず、やりがいや満足感を感じられないと悩む方も少なくありません。その背景には、監査法人特有の業務範囲や制約が関係しています。

監査法人では、監査業務とアドバイザリー業務を同時に提供することが禁止されています。独立性の確保が求められるため、同じクライアントに対して監査とアドバイザリーの両方を行うことができません。そのため、アドバイザリー業務を希望する場合は部門を変える必要があり、キャリアの選択肢が限られると感じる方もいます。

また、監査業務自体も資料の確認やチェックが中心で、直接的なアドバイスや提案ができないことが多く、仕事に対する達成感を得づらいと感じる方がいます。さらに、社内のマニュアルに沿った社内向けの仕事が多いのも「つまらない」と感じる理由の一つです。こうした制約の中で、クライアントから喜ばれる仕事ができないと感じることが、転職を考える大きなきっかけになっています。

クライアントに寄り添った仕事をしたい

先ほどの内容でもお伝えしましたが、監査法人での業務では、独立性の確保が求められるため、クライアントに対して直接的なアドバイスや提案ができないという制約があります。このため、「もっとクライアントに寄り添い、経営課題に深く関わりたい」「クライアントから感謝される仕事をしたい」という理由で転職を考える公認会計士の方も多くいらっしゃいます。

監査業務では、企業の資料をチェックすることが主な役割となり、経営改善や成長支援に直接関与する機会は限られています。そのため、仕事に対する達成感ややりがいを感じにくいと感じる方もいます。一方で、FASやコンサルといった分野では、クライアントの課題解決や成長戦略の実現に貢献できる場面が多く、クライアントとの信頼関係を築きながら仕事を進められることが大きな魅力です。

公認会計士の主な転職先/業種

書類を確認する男性

公認会計士の主な転職先としては、以下の4種類が挙げられます。

  • 監査法人(アドバイザリー部門などの監査業務以外の部門)
  • コンサルティングファーム(会計系、FAS系(M&A、事業再生)、総合系、戦略系)
  • 税理士法人・会計事務所
  • 事業会社

ここでは、公認会計士の方の主な転職先を紹介します。

監査法人

以下では、大手監査法人内のアドバイザリー部門、中堅・中小監査法人での働き方について詳しく解説します。それぞれの環境がどのような形で転職者に選ばれているのかを確認していきましょう。

大手監査法人内のアドバイザリー部門

大手監査法人では、M&AやIPO支援に加えて、IFRS導入支援、決算早期化などの財務会計領域、管理会計の高度化、内部統制・内部監査支援といったガバナンス領域の業務に携わることができます。

アドバイザリー部門では、監査業務とは異なり、品質管理や社内向けの業務が少なく、クライアントに寄り添った支援を行いたい方に適した環境です。

中堅・中小監査法人の監査業務

監査業務自体にやりがいを感じているものの、大手監査法人のような働き方を長期間続けることが難しいと考える方には、中堅・中小監査法人への転職が向いています。

中堅・中小の監査法人では、若いうちから裁量を持って働くことができ、短期間で成長するチャンスがあります。

規模が小さい分、経営陣との距離が近く、意思決定プロセスに直接関わる機会が増える点も魅力といえます。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームは、公認会計士がキャリアの幅を広げるために選ばれる転職先の一つです。ファームごとの特徴や業務内容は多岐にわたり、公認会計士としての専門知識を活かせる場面も多い一方で、高い論理的思考力やビジネスセンスが求められるため、転職には一定の準備とスキルが必要です。

財務会計系

財務会計系コンサルティングファームは、企業の財務基盤を強化し、効率的な経営を実現するための支援を行うことをミッションとしています。具体的には、財務管理体制の構築、コスト管理、資金調達のサポート、またIFRSやUSGAAPといった国際会計基準への対応支援が主な業務範囲です。財務の専門知識を活かし、企業価値向上に貢献できる点が特徴です。

財務会計系の仕事では、数値管理のスキルだけでなく、経営戦略や事業運営に対する深い理解が求められます。特に監査業務を経験してきた公認会計士にとっては親和性が高い分野といえますが、クライアントの事業モデルを深く理解し、適切な提案を行う能力が重要です。競争の激しい領域ではあるものの、財務のプロフェッショナルとして活躍できるチャンスが広がっています。

FAS(M&A、事業再生)

FAS(Financial Advisory Services)は、企業の成長や存続に関わる重要な局面を支援します。具体的には、M&A(企業の合併・買収)の戦略立案やデューデリジェンスの実施、買収後の統合プロセス(PMI)の支援、さらに事業再生における財務リストラクチャリングや再建計画の策定などが主な業務です。

FAS業界は大きく「Big4系」と「独立系」の2つに分けられます。Big4系(PwC、Deloitte、EY、KPMGの各FAS部門)は、グローバルなネットワークを活用し、会計監査で得た知見をベースに大規模な案件を数多く手掛けています。一方、独立系FASは、特定の監査法人に属さず、柔軟な対応力やクライアントに寄り添ったサービスを強みとしています。中小企業向けの案件や、業界特化型のサービスを展開するケースが多いのも特徴です。

FASでは、財務データの分析力やプロジェクトマネジメントスキルが求められます。また、クライアント企業の経営陣や投資家との緊密なコミュニケーションを通じて、短期間で意思決定を促す場面が多いことも特徴です。

特に公認会計士や財務系のバックグラウンドを持つ人材には相性が良い分野ですが、同時に、企業価値を最大化するための戦略的思考や、再生局面での迅速な対応力も必要とされます。挑戦的なフィールドではあるものの、企業の成長や再生に直接貢献するやりがいがあるため、多くのプロフェッショナルにとって魅力的なキャリアパスとなっています。

総合系

総合系コンサルティングファームは、戦略から業務改善、人事改革まで多岐にわたる分野で企業の課題に対応し、成長を支える存在です。戦略、業務改善、IT導入、人事・組織改革、マーケティングなど、多岐にわたるサービスを提供し、クライアントのビジネス全体を包括的にサポートする点が特徴です。

総合系ファームでは、さまざまな業界のプロジェクトに携わる機会が多く、特定の分野に縛られず幅広いスキルを身につけることができます。また、多分野の専門家がチームとして連携するため、業務を通じて多角的な視点を養うことが可能です。

特に、監査業務や財務会計の経験がある公認会計士にとっては、業務改善や財務戦略といった領域でそのスキルを活かすことができます。ただし、総合系ではクライアントの多様なニーズに応える柔軟性や、プロジェクトを成功に導く実行力も重視されるため、専門性だけでなく、広い視野と実務能力を兼ね備えることが求められます。多様なキャリアの可能性が開けるフィールドとして、多くのプロフェッショナルに支持されています。

戦略系

戦略系コンサルティングファームは、企業の経営陣が抱える課題を解決し、新規事業立ち上げやM&A戦略の立案、事業再編などを支援することをミッションとしています。特に大企業をクライアントとすることが多く、社会や業界に大きなインパクトを与える仕事ができる点が魅力です。

ただし、戦略コンサルティングは「売上を上げる」または「費用を削減する」という明確な価値提供が求められるため、監査業務を基盤とする公認会計士のキャリアとは必ずしも相性が良いとは限りません。そのため、転職を成功させるには、ビジネスセンス、提案力など、監査経験以外の強みをアピールすることが重要です。難易度は高いものの、挑戦する価値は十分にあります。

規模ごとのコンサルティングファームの特徴

コンサルティングファームはその規模によっても特徴が異なります。

大手コンサルティングファームは、グローバル規模での案件や大企業向けの戦略立案が主な業務であり、高度な専門性とグローバルネットワークを活かしてキャリアを広げる機会があります。

一方、中規模のファームでは、特定の業界や分野に特化したコンサルティングが多く、専門知識を深めることができます。

小規模ファームでは、クライアントとの距離が近く、幅広い業務に裁量を持って携わることが可能です。

税理士法人・会計事務所

公認会計士が転職先として会計事務所や税理士法人を選ぶ場合、特に税務業務の経験を積むことや将来的な独立を見据えた準備を目的としているケースが多く見られます。事務所の規模や代表者の資格(公認会計士または税理士)によって業務内容や働き方が異なるため、自身のキャリア目標に合った環境を選ぶことが重要です。

中小規模の会計事務所では、記帳代行や税務顧問業務を中心とした税務スキルを身につけることができます。一方、大手・中堅の税理士法人では上場企業や上場グループ会社や外資系クライアントを担当する機会もあり、より高度な税務コンサルティングのスキルを習得できる環境があります。

事業会社

公認会計士にとって、事業会社への転職は人気の選択肢の一つです。特に大手上場企業やIPO準備中のベンチャー企業は、それぞれ異なる魅力を持ち、キャリア形成において重要な役割を果たします。

大手上場企業

大手事業会社の経理や財務部門への転職は、安定志向やワークライフバランスを重視する公認会計士に特に支持されています。これらの企業は充実した福利厚生や制度が整備されており、人員体制にゆとりがあるため、長期的に働きやすい環境が特徴です。初めて事業会社に転職する場合でも、既に複数の公認会計士が在籍している企業であれば、スムーズに業務に馴染めるというメリットもあります。

ただし、経理や財務部門において公認会計士に求められるのは、通常の実務だけではなく、専門的な知識を活かした業務プロセスの改善や効率化、さらには新たなプロジェクトをリードする能力です。そのため、事業会社でのキャリアを充実させるには、リーダーシップやプロジェクトマネジメント、データ分析といったスキルを積極的に磨くことが重要です。

IPO準備企業・スタートアップベンチャー

近年、ベンチャー企業やIPO準備企業に関心を寄せる公認会計士が増加しています。特にCFOや経営企画、IPO準備責任者といった経営に近いポジションで活躍したい方には、こうした環境が魅力的です。ゼロから組織を作り上げる経験や、上場達成を支える役割を担うことで、経営者としての視点や貴重なスキルを習得できます。

経営企画部門では、子会社管理を通じたグループ全体のガバナンス強化や、M&Aに関わる事業企画に携わる機会も多く、公認会計士としての知識や経験をさらに広げられる環境です。これらの業務は、単なる財務スキルにとどまらず、経営戦略の実行や企業価値の向上に貢献できる点が大きな魅力です。

また、IPO準備中の企業では公認会計士の知見が求められるため、財務報告体制の整備や内部統制の構築など、専門性を発揮する場が数多くあります。これにより、会計士としての価値を大いに発揮できるだけでなく、成功すれば大きな報酬やキャリア上の財産となる可能性もあります。その結果、さらなるキャリア選択肢が広がる点もベンチャー企業ならではの魅力です。

一方で、業務負荷が高まることや、不確実性の高い環境での対応が求められる場合もあります。そのため、転職の目的や働き方の優先順位を明確にし、自分に合った環境かどうかを慎重に見極めることが重要です。

公認会計士の転職失敗を防ぐポイント

公認会計士の主な転職先としては、以下の4種類が挙げられます。
監査法人(アドバイザリー部門などの監査業務以外の部門)
コンサルティングファーム(会計系、FAS系(M&A、事業再生)、総合系、戦略系)
税理士法人・会計事務所
事業会社
ここでは、公認会計士の方の主な転職先を紹介します。
監査法人
以下では、大手監査法人内のアドバイザリー部門、中堅・中小監査法人での働き方について詳しく解説します。それぞれの環境がどのような形で転職者に選ばれているのかを確認していきましょう。
大手監査法人内のアドバイザリー部門
大手監査法人では、M&AやIPO支援に加えて、IFRS導入支援、決算早期化などの財務会計領域、管理会計の高度化、内部統制・内部監査支援といったガバナンス領域の業務に携わることができます。
アドバイザリー部門では、監査業務とは異なり、品質管理や社内向けの業務が少なく、クライアントに寄り添った支援を行いたい方に適した環境です。

中堅・中小監査法人の監査業務
監査業務自体にやりがいを感じているものの、大手監査法人のような働き方を長期間続けることが難しいと考える方には、中堅・中小監査法人への転職が向いています。
中堅・中小の監査法人では、若いうちから裁量を持って働くことができ、短期間で成長するチャンスがあります。
規模が小さい分、経営陣との距離が近く、意思決定プロセスに直接関わる機会が増える点も魅力といえます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、公認会計士がキャリアの幅を広げるために選ばれる転職先の一つです。ファームごとの特徴や業務内容は多岐にわたり、公認会計士としての専門知識を活かせる場面も多い一方で、高い論理的思考力やビジネスセンスが求められるため、転職には一定の準備とスキルが必要です。
財務会計系
財務会計系コンサルティングファームは、企業の財務基盤を強化し、効率的な経営を実現するための支援を行うことをミッションとしています。具体的には、財務管理体制の構築、コスト管理、資金調達のサポート、またIFRSやUSGAAPといった国際会計基準への対応支援が主な業務範囲です。財務の専門知識を活かし、企業価値向上に貢献できる点が特徴です。

財務会計系の仕事では、数値管理のスキルだけでなく、経営戦略や事業運営に対する深い理解が求められます。特に監査業務を経験してきた公認会計士にとっては親和性が高い分野といえますが、クライアントの事業モデルを深く理解し、適切な提案を行う能力が重要です。競争の激しい領域ではあるものの、財務のプロフェッショナルとして活躍できるチャンスが広がっています。

FAS(M&A、事業再生)
FAS(Financial Advisory Services)は、企業の成長や存続に関わる重要な局面を支援します。具体的には、M&A(企業の合併・買収)の戦略立案やデューデリジェンスの実施、買収後の統合プロセス(PMI)の支援、さらに事業再生における財務リストラクチャリングや再建計画の策定などが主な業務です。

FAS業界は大きく「Big4系」と「独立系」の2つに分けられます。Big4系(PwC、Deloitte、EY、KPMGの各FAS部門)は、グローバルなネットワークを活用し、会計監査で得た知見をベースに大規模な案件を数多く手掛けています。一方、独立系FASは、特定の監査法人に属さず、柔軟な対応力やクライアントに寄り添ったサービスを強みとしています。中小企業向けの案件や、業界特化型のサービスを展開するケースが多いのも特徴です。

FASでは、財務データの分析力やプロジェクトマネジメントスキルが求められます。また、クライアント企業の経営陣や投資家との緊密なコミュニケーションを通じて、短期間で意思決定を促す場面が多いことも特徴です。

特に公認会計士や財務系のバックグラウンドを持つ人材には相性が良い分野ですが、同時に、企業価値を最大化するための戦略的思考や、再生局面での迅速な対応力も必要とされます。挑戦的なフィールドではあるものの、企業の成長や再生に直接貢献するやりがいがあるため、多くのプロフェッショナルにとって魅力的なキャリアパスとなっています。

総合系
総合系コンサルティングファームは、戦略から業務改善、人事改革まで多岐にわたる分野で企業の課題に対応し、成長を支える存在です。戦略、業務改善、IT導入、人事・組織改革、マーケティングなど、多岐にわたるサービスを提供し、クライアントのビジネス全体を包括的にサポートする点が特徴です。

総合系ファームでは、さまざまな業界のプロジェクトに携わる機会が多く、特定の分野に縛られず幅広いスキルを身につけることができます。また、多分野の専門家がチームとして連携するため、業務を通じて多角的な視点を養うことが可能です。

特に、監査業務や財務会計の経験がある公認会計士にとっては、業務改善や財務戦略といった領域でそのスキルを活かすことができます。ただし、総合系ではクライアントの多様なニーズに応える柔軟性や、プロジェクトを成功に導く実行力も重視されるため、専門性だけでなく、広い視野と実務能力を兼ね備えることが求められます。多様なキャリアの可能性が開けるフィールドとして、多くのプロフェッショナルに支持されています。

戦略系
戦略系コンサルティングファームは、企業の経営陣が抱える課題を解決し、新規事業立ち上げやM&A戦略の立案、事業再編などを支援することをミッションとしています。特に大企業をクライアントとすることが多く、社会や業界に大きなインパクトを与える仕事ができる点が魅力です。

ただし、戦略コンサルティングは「売上を上げる」または「費用を削減する」という明確な価値提供が求められるため、監査業務を基盤とする公認会計士のキャリアとは必ずしも相性が良いとは限りません。そのため、転職を成功させるには、ビジネスセンス、提案力など、監査経験以外の強みをアピールすることが重要です。難易度は高いものの、挑戦する価値は十分にあります。





規模ごとのコンサルティングファームの特徴
コンサルティングファームはその規模によっても特徴が異なります。
大手コンサルティングファームは、グローバル規模での案件や大企業向けの戦略立案が主な業務であり、高度な専門性とグローバルネットワークを活かしてキャリアを広げる機会があります。
一方、中規模のファームでは、特定の業界や分野に特化したコンサルティングが多く、専門知識を深めることができます。
小規模ファームでは、クライアントとの距離が近く、幅広い業務に裁量を持って携わることが可能です。



税理士法人・会計事務所
公認会計士が転職先として会計事務所や税理士法人を選ぶ場合、特に税務業務の経験を積むことや将来的な独立を見据えた準備を目的としているケースが多く見られます。事務所の規模や代表者の資格(公認会計士または税理士)によって業務内容や働き方が異なるため、自身のキャリア目標に合った環境を選ぶことが重要です。

中小規模の会計事務所では、記帳代行や税務顧問業務を中心とした税務スキルを身につけることができます。一方、大手・中堅の税理士法人では上場企業や上場グループ会社や外資系クライアントを担当する機会もあり、より高度な税務コンサルティングのスキルを習得できる環境があります。
事業会社
公認会計士にとって、事業会社への転職は人気の選択肢の一つです。特に大手上場企業やIPO準備中のベンチャー企業は、それぞれ異なる魅力を持ち、キャリア形成において重要な役割を果たします。
大手上場企業
大手事業会社の経理や財務部門への転職は、安定志向やワークライフバランスを重視する公認会計士に特に支持されています。これらの企業は充実した福利厚生や制度が整備されており、人員体制にゆとりがあるため、長期的に働きやすい環境が特徴です。初めて事業会社に転職する場合でも、既に複数の公認会計士が在籍している企業であれば、スムーズに業務に馴染めるというメリットもあります。

ただし、経理や財務部門において公認会計士に求められるのは、通常の実務だけではなく、専門的な知識を活かした業務プロセスの改善や効率化、さらには新たなプロジェクトをリードする能力です。そのため、事業会社でのキャリアを充実させるには、リーダーシップやプロジェクトマネジメント、データ分析といったスキルを積極的に磨くことが重要です。

IPO準備企業・スタートアップベンチャー
近年、ベンチャー企業やIPO準備企業に関心を寄せる公認会計士が増加しています。特にCFOや経営企画、IPO準備責任者といった経営に近いポジションで活躍したい方には、こうした環境が魅力的です。ゼロから組織を作り上げる経験や、上場達成を支える役割を担うことで、経営者としての視点や貴重なスキルを習得できます。

経営企画部門では、子会社管理を通じたグループ全体のガバナンス強化や、M&Aに関わる事業企画に携わる機会も多く、公認会計士としての知識や経験をさらに広げられる環境です。これらの業務は、単なる財務スキルにとどまらず、経営戦略の実行や企業価値の向上に貢献できる点が大きな魅力です。

また、IPO準備中の企業では公認会計士の知見が求められるため、財務報告体制の整備や内部統制の構築など、専門性を発揮する場が数多くあります。これにより、会計士としての価値を大いに発揮できるだけでなく、成功すれば大きな報酬やキャリア上の財産となる可能性もあります。その結果、さらなるキャリア選択肢が広がる点もベンチャー企業ならではの魅力です。

一方で、業務負荷が高まることや、不確実性の高い環境での対応が求められる場合もあります。そのため、転職の目的や働き方の優先順位を明確にし、自分に合った環境かどうかを慎重に見極めることが重要です。

公認会計士の転職失敗を防ぐポイント

転職は新しいキャリアを築くチャンスですが、失敗を防ぐためには入念な準備が必要です。公認会計士の転職失敗を防ぐポイントとして、以下の3点が挙げられます。

  • 転職をする目的を整理しておく
  • 自分の経験・スキルを棚卸ししておく
  • 公認会計士の転職に強い転職エージェントに相談する

ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説するので、転職活動の際に役立ててください。

転職をする目的を整理しておく

転職活動を始める前に、転職したい目的を明確にしておくことが大切です。たとえば、「ワークライフバランスを改善したい」「キャリアアップを目指したい」「より多様な業務に挑戦したい」など、自分の価値観や優先事項を整理することで、転職先の選択を間違えるリスクを減らすことにつながります。

自分の経験・スキルを棚卸ししておく

転職市場で自分の価値を的確に伝えるためには、自分の経験やスキルを客観的に整理しておくことも必要不可欠です。これまで担当してきたプロジェクトや達成した成果、強みとする分野をリストアップし、それが新しい職場でどのように役立つかを明確に説明できるように準備しておきましょう。

公認会計士の転職にい転職エージェントに相談する

転職活動をスムーズに進めるためには、公認会計士の転職に強い転職エージェントを活用するのがおすすめです。専門エージェントは業界に関する深い知識を持ち、求職者に適したポジションや企業を提案してくれる他、面接対策や給与交渉のアドバイスも行います。

また、自分では見つけられない求人情報にアクセスしやすくなり、転職活動の幅を広げることにもつながります。

より確実な転職を実現したい場合や初めて転職活動を行う場合は、専門性に富んだ転職エージェントを活用してみてはいかがでしょうか。

VRPパートナーズでは、公認会計士の転職を専門的に支援しています。「転職を悩んでいる」「初めての転職で不安がある」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

公認会計士の転職でよくある質問

転職を検討する公認会計士が抱える疑問は多岐にわたります。ここでは、よくある質問に対する回答を2つ紹介します。

年代によって転職難易度は変わる?

年代によって転職の難易度は異なります。

一般的に、30代前半までは比較的転職がしやすく、幅広いポジションでのオファーが期待できます。これは、企業が成長性や柔軟性を持った人材を求める傾向があるためです。

一方、40代以降になると転職市場での選択肢が狭まり、求められるスキルセットや実績がより具体的かつ高いレベルで求められることが多いです。しかし、管理職経験やCFO候補としての専門性があれば、企業から高い評価を受けて転職のチャンスが広がることもあります。

いつが転職しやすい?

公認会計士が転職しやすい時期としては、繁忙期が終わった直後が挙げられます。監査法人の場合、繁忙期前である1~3月に転職活動を開始し、4~6月の繁忙期を終えた後に引継ぎや有給消化期間を経て、7月や8月に入社するケースが一般的です。また、5~6月の繁忙期が明けたタイミングから転職活動を始める方も多く、転職先企業の採用ニーズともマッチしやすい時期です。

さらに、プロフェッショナルファームは通年採用を行っているため、タイミングに縛られずに転職活動を進められる可能性もあります。自身のスケジュールや業界の動向を見極め、計画的に転職活動を行うことが成功のポイントです。

公認会計士の転職ならVRPパートナーズにお任せください

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VRPパートナーズでは、公認会計士の転職支援に20年以上携わるベテランエージェントが対応します。多くの成功事例を基に、キャリアアップに最適なステップや業務内容をわかりやすく解説。業界知識と実績に裏付けられたサポートで、転職に伴う不安やストレスを軽減します。あなたのキャリアに最適な選択肢を提案するため、安心してお任せください。

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VRPパートナーズのサービスはすべて無料です。転職について具体的なビジョンがない場合でも、無料相談で豊富な事例やキャリアプランを基に最適な提案を行います。転職活動をスムーズに進められるよう、全力でサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

公認会計士の転職は、専門性の高いスキルを持つ方にとって新しいキャリアを築く大きなチャンスです。監査法人、コンサルティングファーム、事業会社など、多くの選択肢がある中で自分のキャリアビジョンに合った転職先を見つけることが重要です。

転職を成功させるためには、転職目的の整理や経験・スキルの棚卸し、転職先のリサーチなどの準備が欠かせません。

また、年代やタイミングによる転職難易度の違いも理解しておくことで、適切な時期に転職活動を進められるようになるでしょう。

VRPパートナーズは求職者一人ひとりのニーズに寄り添い、将来を見据えた転職活動をサポートします。新たなキャリアのスタートを切りたいと考えている場合は、ぜひ一度VRPパートナーズをご検討ください。

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