女性会計士の割合は増加傾向にある
近年、会計士業界における女性の割合は増加しています。公認会計士会員に占める女性の割合は、2014年の13.2%から2024年には15.7%まで上昇し、少しずつではありますが確実に増えてきています。
また、公認会計士試験の合格者においても、2014年の17.2%から2024年には22.4%と増加傾向にあります。

日本公認会計士協会では、2048年度までに会員・準会員の女性比率を30%に上昇させること、2030年度までに公認会計士試験合格者の女性比率を30%へ上昇させることを目標としているため、今後も女性会計士の割合は増えていくことが予想できます。
会計士業界全体で女性の活躍が進んでいる背景には、多様な働き方の選択肢が増えたことや、女性のキャリア支援を強化する企業が増えたことが挙げられます。今後も女性会計士の割合はさらに増えると予想され、より柔軟な働き方やキャリアアップの機会が広がっていくでしょう。
女性会計士の年収の目安
会計士の年収は勤務先や経験年数によって異なりますが、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、女性の公認会計士の年収の平均は611万円とされています。
企業規模別にみると、以下のようになっています。
企業規模 | 平均年齢 | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額 (千円) | 平均年収 (千円) |
1,000人以上 | 32.2 | 493.2 | 1,368.2 | 7,286.6 |
100~999人 | 40.6 | 455.1 | 1,675.2 | 7,136.4 |
10~99人 | 42.4 | 353.7 | 929.9 | 5174.3 |
企業規模計 | 39.7 | 408.8 | 1,207.2 | 6,112.8 |
参考:賃金構造基本統計調査
※きまって支給する現金給与額×12+特別給与額
勤続年数は女性が8.2年なのに対して、男性は8.4年と、ほぼ変わらないという結果が出ています。一般的に、他の職種では女性の勤続年数が短くなる傾向がありますが、会計士は専門職であり、資格を活かして長く働き続けられる環境が整っていると考えられます。
これは、リモートワークやフレックスタイム制度の導入、時短勤務の選択肢が増えてきたことが影響している可能性があります。
女性会計士の働き方について
女性会計士の活躍の場が広がり、多様な働き方が可能になってきました。リモートワークの普及や制度の充実により、仕事と家庭を両立しやすい環境も整いつつあります。
ここでは、女性会計士の働き方の変化について詳しく見ていきましょう。
多様な雇用形態が増えてきている
近年、会計士の働き方は大きく変化しています。従来はフルタイム勤務が一般的でしたが、現在ではリモートワークやフレックスタイム制度を導入する企業が増え、柔軟な働き方が可能になりました。
また、非常勤や業務委託として働くケースも多く、育児や家庭との両立をしながらキャリアを築く女性会計士も増えています。こうした環境の変化により、ライフステージに応じた働き方を選べるようになり、より多くの女性が会計士として長く活躍できるようになっています。
福利厚生も手厚くなっている
企業や監査法人では、女性のキャリア継続を支援する制度が充実してきています。特に、2022年に施行された育児・介護休業法の改正により、企業は育児や介護に配慮した雇用形態の整備を求められるようになりました。
これにより、産休・育休の取得がしやすくなっただけでなく、復職後の働きやすさも向上しています。例えば、時短勤務制度や在宅勤務の導入、保育費の補助といったサポートを提供する企業も増えています。女性会計士が家庭と仕事を両立しやすい環境が整いつつあるため、安心してキャリアを続けられるでしょう。
業務内容が男女で差がない
会計士の仕事は、男女で業務の違いがほとんどありません。
女性会計士の年収の目安でもお伝えした通り、勤続年数は男性とほぼ差がないと言えます。
監査業務や税務アドバイザリー、FAS(Financial Advisory Service)など、会計士が活躍できる領域は多岐にわたりますが、これらの業務は基本的に男女平等に割り当てられます。
そのため、女性だからといって特定の業務に偏ることなく、スキルや経験に応じてさまざまな業務にチャレンジできます。近年では、女性のマネージャーやパートナーとして活躍する人も増えており、性別に関係なくキャリアアップを目指せる環境が整っています。
女性会計士がワークライフバランスを保つためには?

仕事と家庭を両立しながら長く活躍するためには、環境を整えることが大切です。大手監査法人の厳しい労働環境に悩む人も多いですが、転職によってより柔軟な働き方が可能な職場を選ぶこともできます。
また、家族のサポートや育児支援制度を活用することで、キャリアとプライベートのバランスを取りやすくなります。
ここでは、女性会計士が無理なく働き続けるためのポイントについて解説します。
転職も検討してみる
監査法人は安定したキャリアを築ける一方で、繁忙期の長時間労働やプレッシャーの大きさから、ワークライフバランスを保つのが難しいと感じることもあります。
そのため、ワークライフバランスを重視する場合は、事業会社の経理・財務部門や、内部監査、監査法人のアドバイザリー部門などへの転職も視野に入れるとよいでしょう。
子育てと両立するなら家族との協力体制も大切
仕事と家庭の両立には、職場環境だけでなく家族のサポート体制も重要です。特に、子育て中の女性会計士にとっては、パートナーや親族との協力が不可欠です。
例えば、子どもの送り迎えや家事の分担を明確にしたり、ベビーシッターやファミリーサポート制度を活用することで、仕事と育児のバランスを取りやすくなります。
また、職場でも育児と仕事の両立に理解のある環境を選ぶことが大切です。産休・育休の取得率が高い企業や、育児支援制度が整っている企業であれば、長期的なキャリアプランを描きやすくなります。
リモートワークや時短勤務を活用する
最近では、リモートワークや時短勤務を導入する企業も増えており、特に育児や介護と両立しながら働きたい女性会計士にとっては大きなメリットとなります。
監査業務やFAS業務においても、デジタル化が進み、リモートでできる作業が増えてきています。例えば、クライアントとの打ち合わせや資料作成、財務分析などはリモートワークでも十分対応可能です。
また、時短勤務を活用すれば、家庭の時間を確保しつつキャリアを継続することができます。こうした柔軟な働き方を提供している企業への転職を検討することで、ワークライフバランスを維持しながらキャリアを発展させることが可能です。
【目的別】女性会計士の転職戦略
女性会計士が転職を考える理由はさまざまです。キャリアアップを目指す人もいれば、ライフイベントと両立しながら働き続けたいと考える人もいます。また、育休・産休からの復帰をスムーズに進めるための選択肢を検討している方もいるでしょう。目的に応じた転職戦略を立てることで、自分に合った働き方を見つけることができます。
キャリアアップを目指す場合
会計士としてさらなるキャリアアップを目指す場合、FAS(Financial Advisory Service)やコンサルティングファーム、事業会社のCFO候補などのポジションを検討するのも一つの選択肢です。
特にFASでは、M&Aや財務デューデリジェンス(DD)など専門性の高い業務に携わることができ、スキルを磨きながら市場価値を高められます。監査法人からのキャリアチェンジを検討している場合は、自身の強みを活かせる分野を見極め、成長できる環境を選ぶことが重要です。
妊娠・出産・子育てと両立する場合
仕事と育児を両立させるためには、時短勤務やリモートワークを導入している企業を選ぶことが重要です。監査法人やFASでも、フレックス制度を活用できるケースが増えてきています。
また、中堅・中小の監査法人では、大手に比べて業務量の調整がしやすく、働きやすい環境が整っていることもあります。さらに、育児支援制度が充実している企業を選ぶことで、安心してキャリアを継続することが可能です。
育休・産休から復帰する場合
育休・産休から復帰する際には、ブランクがあることを不安に感じる人も多いですが、会計士としての経験があれば、十分に復帰することは可能です。
特に、会計業界では専門知識が重要視されるため、定期的に勉強会や講習会に参加し、最新の会計基準や税制改正の情報をキャッチアップしておくと、復帰がスムーズになります。また、復職後の働き方を柔軟に選べる企業を探すことも大切です。
リモートワークや時短勤務が可能な職場を選ぶことで、無理なく仕事と家庭を両立させることができます。
女性会計士の転職タイミングは?

転職を成功させるためには、適切なタイミングで動き出すことが重要です。特に会計士は専門職であり、求められるスキルや働き方のニーズに応じて、転職の進め方が異なります。キャリアアップを目的とした転職と、ブランク明けや子育てとの両立を考慮した転職では、スケジュールの立て方や準備すべきことも変わってきます。ここでは、それぞれのケースに応じた転職のタイミングについて解説します。
キャリアアップでの転職の場合
キャリアアップを目的とした転職では、情報収集から転職活動開始まで、半年~1年かけて準備を進める方が多い傾向にあります。
実際に選考がスタートすると、1社あたりの選考期間は1ヶ月~1ヶ月半が一般的ですが、転職希望者の多くは複数社(3~4社程度)と同時並行で選考を進めます。そのため、書類選考から内定獲得までに2~3ヶ月程度かかるケースが多いです。
さらに、転職市場の動向を把握したり、自身のキャリアプランを整理したりする情報収集の時間を含めると、全体で半年~1年ほどかけて転職活動を進めるケースが一般的です。特に近年は、すぐに転職を決断するのではなく、まずは市場の動向を把握するためにキャリア相談を受ける方が増えている傾向にあります。
ブランクがある・子育てと両立する場合
子育てと仕事を両立する場合、転職のタイミングは家庭の状況に大きく左右されます。そのため、保育園の確保や、急なお迎えを依頼できる人はいるかなど、サポート体制を整えたうえで、半年先を見据えて情報収集を進めるのが理想的です。
また、一般的に小さい子どもがいる状態よりも、ライフイベントが落ち着いているタイミングのほうが転職もしやすくなります。これは、企業側が業務のアサインを考慮しやすくなるためですが、もちろん個人の状況によって大きく異なります。
そのため、焦らず、自身のライフプランを見据えたうえで計画的に転職活動を進めることが大切です。
会計士の転職ならVRPパートナーズへ
女性会計士が転職を成功させるためには、自身のキャリアプランやライフスタイルに合った職場を見つけることが重要です。VRPパートナーズは、公認会計士の転職に特化したエージェントとして、監査法人やFAS、コンサルティングファームなどのプロフェッショナルファームへの転職支援を行っています。
特に、キャリアアップを目指す方や、子育てと両立しながら働きたい方のニーズに合わせた求人紹介が可能です。リモートワークや時短勤務、育児支援制度の整った企業の紹介など、一人ひとりに最適なキャリアプランを提案します。
「今すぐ転職したいわけではないけれど、将来的にどんな選択肢があるのか知りたい」「どのような職場が自分に合っているのか相談したい」といったご希望にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
女性会計士の活躍の場は年々広がっており、多様な働き方が選べる時代になっています。キャリアアップを目指す方、育児と両立しながら働きたい方、育休明けで復帰を検討している方など、それぞれの状況に応じた転職戦略が求められます。
転職の成功には、自分に合ったタイミングで動き出し、適切な情報収集を行うことが大切です。VRPパートナーズでは、会計士のキャリア形成をサポートし、最適な転職先を提案します。転職を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。