2025.04.13

公認会計士

公認会計士の繁忙期はいつ?年間スケジュールや対処法を紹介

公認会計士の繁忙期はいつ?年間スケジュールや対処法を紹介
公認会計士の業務は、担当する企業の決算期や監査スケジュールによって繁忙期が大きく変わります。特に監査法人に所属する公認会計士は、年度末決算や四半期決算の影響を受け、業務量が一気に増える時期が存在します。

そのため、「いつが一番忙しいのか」「休みは取れるのか」など、働き方について疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、監査法人で働く公認会計士の繁忙期の時期や、年間スケジュールの流れ、繁忙期を乗り切るための対処法について詳しく解説します。

また、休みが取りやすい時期や、転職を視野に入れたキャリアの考え方についても紹介しているので、これから公認会計士を目指す方や、働き方を見直したい方はぜひ参考にしてください。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

監査法人で働く公認会計士の繁忙期はいつ?

監査法人に勤務する公認会計士の業務量は、年度末決算後の4月中旬~6月上旬が最も多くなる傾向にあります。3月決算を採用する企業が多いため、決算作業が完了した後のこの時期に監査が集中するためです。

また、6月・9月・12月の四半期決算に関連した業務もありますが、四半期レビューの義務化撤廃により、企業によって対応が異なります。9月の第2四半期決算は業務が増える傾向にあるものの、6月や12月は比較的落ち着くこともあります。

さらに、決算期の異なる企業を複数担当している場合、年間を通じて繁忙期が続くこともあります。そのため、監査法人での勤務を考える際は、業務の流れやサイクルを理解し、働き方を検討することが重要です。

監査法人で働く公認会計士の一年の流れ

公認会計士の業務は、担当するクライアントの決算期や監査の方針によって大きく変動します。特に3月決算を採用する企業が多いため、多くの監査法人ではこの決算期に合わせた年間スケジュールが組まれるのが一般的です。

以下は、3月決算の企業を担当する場合の代表的な業務スケジュールです

時期主な業務内容
7月監査計画の策定・キックオフミーティング
7月中旬~8月上旬第1四半期レビュー(財務データの確認・クライアント訪問)
8月中旬夏季休暇(プライベート時間の確保)
8月下旬~9月期中監査(支社・工場の現地調査、内部統制の確認)
10月中旬~11月上旬第2四半期レビュー(業績の進捗確認・監査手続の実施)
11月中旬~12月下旬期中監査(海外子会社の監査指示・財務資料の詳細確認)
1月中旬~2月上旬第3四半期レビュー(売上・利益の分析、リスク評価)
2月下旬~3月末期末監査準備・実査・棚卸立会(在庫や資産の確認)
4月中旬~5月上旬期末監査(最終的な財務諸表の精査、監査意見の形成)
5月中旬監査役会への報告(監査結果の説明と質疑応答)
5月下旬~6月上旬有価証券報告書(有報)のチェック
6月下旬定時株主総会(株主への報告、会計監査の結果説明)

参考:監査業務の1年|日本公認会計士協会

近年では、四半期報告書の廃止に伴い、公認会計士による四半期レビューが原則任意となったため、第1・第3四半期のレビューを実施しない監査クライアントも増えてきています。

そのため、以前と比べると、四半期決算の負担が軽減されるケースもある一方で、クライアントの方針次第では従来通りのスケジュールで監査業務が行われることもあります。

会計士の働き方に関しては、以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご確認ください。

公認会計士の働き方|ワークライフバランスを向上させるために必要なこととは

公認会計士が休みやすい時期は?

監査法人で働く公認会計士は、年間を通じて業務の繁閑差が大きいですが、比較的休みを取りやすい時期も存在します。特に、四半期決算や年度末決算の合間にあたる時期は、業務のピークが過ぎているため、スケジュールを調整しやすくなります。

6月中旬~7月上旬

監査法人に勤務する公認会計士にとって、6月中旬~7月上旬は年間で最も休みやすい時期です。この期間は、3月決算企業の期末監査が終了し、有価証券報告書の提出も完了しているため、大きな監査業務が一段落しています。有報のチェックなどを担当しない場合には、5月中旬あたりで繁忙期が終わる方もいます。

また、四半期決算に関連する監査業務もまだ本格化していないため、監査法人全体としても比較的落ち着いた時期となります。そのため、多くの会計士がこのタイミングで長期休暇を取得することが一般的です。

ただし、クライアントの決算期が異なる場合や、企業によっては個別の監査対応が必要になるケースもあるため、完全に業務がなくなるわけではありません。休暇を取得する際は、事前に業務の調整を行い、チーム内での引き継ぎをしっかりと行うことが重要です。

11月中旬~12月下旬

11月中旬から12月下旬にかけては、第2四半期の監査業務が終わり、第3四半期決算に向けた監査準備が始まるまでの期間です。この時期も、年末に向けて業務が落ち着く傾向があり、比較的休みを取りやすいタイミングです。ただし、12月の第3四半期監査を実施するクライアントを担当している場合は、12月の後半にかけて業務量が増える可能性があるため、スケジュールの調整が必要です。

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監査法人の規模ごとの繁忙期の違いはある?

監査法人の規模によって、繁忙期の時期や業務量の波には違いがあります。大手監査法人(Big4)、中堅・準大手監査法人、中小監査法人では、それぞれクライアントの特徴や監査スケジュールが異なるため、忙しさのピークも変わってきます。

大手監査法人(Big4)では、主に上場企業やグローバル企業の監査を担当するため、4月~5月上旬が最も忙しい時期になります。この時期は、3月決算の企業の金商法監査(金融商品取引法に基づく監査)が集中し、多くの会計士が対応に追われます。さらに、海外子会社の監査やIFRS対応などが必要な企業を担当する場合は、業務が長期間にわたることもあります。

中堅・準大手監査法人も、3月決算企業の監査対応が主軸となるため、4月~5月上旬が繁忙期となります。加えて、非上場企業の会社法監査も並行して担当することが多いため、5月後半から6月上旬にかけても業務が続くことが特徴です。大手に比べてチームの人数が少ないため、一人あたりの担当業務が多くなりやすい傾向があります。

中小監査法人は、クライアントの多くが国内の非上場企業であるケースが多く、4月~5月上旬に上場企業の金商法監査が行われ、その後6月上旬まで非上場企業の会社法監査が続くというスケジュールになります。

監査法人以外の業種の繁忙期

公認会計士が活躍できる業種は監査法人だけではありません。FAS(Financial Advisory Service)、コンサルティングファーム、投資銀行など、監査法人とは異なるフィールドでも会計士の専門知識が求められています。それぞれの業界での繁忙期の時期や特徴について解説します。

FAS

FAS(Financial Advisory Service)は、M&A(合併・買収)、企業再生、財務デューデリジェンス(DD)などの業務を担当するため、案件ベースでの業務が中心となります。そのため、決算期の影響は比較的少なく、繁忙期はM&A市場の動向や景気の変動に大きく左右されるのが特徴です。

特にM&A市場が活発化する局面では、新規案件の増加によりデューデリジェンス業務が急増し、短期間で膨大な作業をこなす必要があるため、繁忙期が突発的に訪れることがあります。一般的に、企業が年度決算を終えた4月~6月や、上半期・下半期の切り替わる9月~12月に案件が増える傾向にありますが、これはあくまで一例であり、市場環境次第で変動します。

また、企業再生案件は景気後退時に増える傾向があり、不況期には繁忙期が長期化することもあります。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームでは、クライアントのプロジェクトの進行状況に応じて繁忙期が決まるため、決算期に直接左右されることは少ないです。一般的に、年度予算の決定時期である3月~4月や、下半期の戦略見直しが行われる9月~10月に新規プロジェクトが増え、業務量が増加することが多いです。

また、FAS部門を持つコンサルティングファームでは、M&A案件の影響を受けるため、FASと同様にM&Aが活発化する時期(4月~6月、9月~12月)に業務が増える傾向があります。ただし、戦略系ファームではプロジェクトの期間が短く、常に繁忙期が続くケースも多いため、業界やファームごとの違いを考慮する必要があります。

投資銀行

投資銀行の業務は、M&A、IPO(新規株式公開)、資金調達などの案件を担当するため、FASと同様に案件ベースで業務が進みます。特に、IPOのスケジュールが集中する3月・6月・9月・12月には、公開準備のための業務が増加し、投資銀行の繁忙期となることが多いです。

また、M&A案件の成立が活発になる時期は、企業の決算期(3月・9月)に加え、市場環境や業界再編の流れによって大きく変動します。特にクロージング(契約締結)直前は短期間で大量の業務をこなす必要があり、深夜・休日の対応が常態化するケースも多くなります。

繁忙期がつらいと感じたときの対処法

監査法人やFAS、コンサルティングファームなど、会計士の仕事は繁忙期が避けられない職種です。特に、長時間労働が続くと、体力的・精神的な負担が大きくなり、モチベーションが低下することもあります。ここでは、繁忙期を乗り切るための対処法を紹介します。

体力づくりをする

繁忙期の業務をこなすには、長時間のデスクワークに耐えられる体力が必要です。日頃から運動習慣をつけ、体力を維持することが、業務の効率化にもつながります。

例えば、軽いストレッチやウォーキングを習慣化するだけでも、血流が改善され、集中力が持続しやすくなるため、繁忙期の疲れを軽減する効果があります。

また、食事や睡眠をしっかりとることも重要です。忙しくなると不規則な生活になりがちですが、可能な限り栄養バランスの取れた食事を心がけ、短時間でも質の良い睡眠を確保することで、体力を維持しやすくなります。

タスク管理を行う

繁忙期は業務量が増えるため、タスク管理を適切に行うことで、業務の効率を上げることが重要です。特に、優先順位を明確にし、重要な業務から取り組むことで、無駄な時間を減らし、業務の負担を軽減できます。

タスク管理ツールを活用するのも効果的です。「今日はどこまで終わらせるのか」「どの業務を翌日に回すのか」といった目標を明確にすることで、無理のないスケジュールを立てることができるでしょう。

オンオフの切り替えを行う

繁忙期は仕事に追われるあまり、プライベートの時間を削りがちですが、意識的にリフレッシュする時間を設けることが重要です。例えば、短時間でも趣味の時間を作る、週に1日は仕事のことを考えない日をつくるなど、リフレッシュする習慣を持つことで、メンタルの負担を軽減できます。

また、仕事の終わりに「ここまでやったら今日は終わり」と区切りをつけることも大切です。長時間労働が続くと、「やらなければならない」というプレッシャーが強まり、精神的なストレスが増えてしまいます。意識的にオンとオフを切り替え、仕事とプライベートのバランスを保つことを心がけましょう。

監査法人では6月中旬~7月上旬や11月中旬~12月下旬の時期に休暇を取りやすいため、このタイミングを活用するのも良いでしょう。繁忙期を乗り切るためにも、計画的に長期休暇を確保し、オンオフの切り替えをしっかり行うことが大切です。

転職をする

繁忙期がつらいと感じ、長期的にワークライフバランスが取れない場合、思い切って転職を考えるのも一つの選択肢です。

例えば、監査法人の業務量に限界を感じている場合、監査法人のアドバイザリー業務、事業会社の経理・内部監査など、会計士の知識を活かせる職種に転職することで、より働きやすい環境を見つけることができます。

事業会社に転職すれば、年間を通じて比較的安定した業務スケジュールの中で働くことが可能です。

現在の働き方に限界を感じている場合は、転職の選択肢を視野に入れ、キャリアプランを見直すことも重要です。転職活動を始めることで、自分の理想の働き方やキャリアの方向性を再確認できるため、まずは情報収集から始めてみるのも良いでしょう。

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公認会計士の転職は繁忙期を避けて計画的に進めよう

公認会計士の転職は、繁忙期を避け、落ち着いた時期に進めることが成功のカギです。

繁忙期前の1月~3月か、6月以降など、業務が比較的安定している時期を選ぶことで、スムーズに転職活動を進めることができます。

繁忙期に退職を申し出ると、引き継ぎの負担が大きくなり、スムーズな退職が難しくなることもあります。そのため、転職を決断したら、できるだけ余裕を持って準備を進め、適切なタイミングで転職を実行することが大切です。

転職先の選定や退職の準備にも時間が必要なため、余裕を持った計画を立て、計画的に行動することが重要です。転職を検討している方は、早めに情報収集を始め、最適なタイミングで新たなキャリアへ踏み出しましょう。

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公認会計士としてのキャリアを考えるうえで、繁忙期の負担や今後の働き方について悩むことは少なくありません。特に、監査法人での業務が続く中で「より専門性を活かせる環境に移りたい」「ワークライフバランスを見直したい」と考える方も多いのではないでしょうか。

VRPパートナーズは、公認会計士の転職支援に特化したエージェントとして、監査法人からFAS、コンサルティングファーム、投資銀行など、幅広いキャリアの選択肢をご提案しています。公認会計士の転職市場に精通したコンサルタントが、個々の希望やキャリアプランに合わせて、最適な求人をご紹介します。

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まとめ

公認会計士の仕事は、年度末や四半期決算の影響を受け、特定の時期に業務が集中しやすい職種です。

3月決算の場合、最も忙しいのは4月中旬~6月上旬です。この繁忙期に転職活動を進めるのは難しいため、転職活動は繁忙期に入る前の1月~3月に行うか、繁忙期明けの6月中旬~7月初旬ごろに始めると良いでしょう。

繁忙期の負担が大きいと感じる場合は、体力づくりやタスク管理を意識することも重要ですが、より働きやすい環境を求めて転職を検討するのも一つの選択肢です。監査法人からFASやコンサルティングファーム、投資銀行など、会計士としてのスキルを活かせるキャリアパスは多様に存在します。

VRPパートナーズでは、公認会計士の皆さまが最適な転職先を見つけられるよう、経験豊富なコンサルタントが丁寧にサポートいたします。計画的に転職を進めるためにも、ぜひ一度ご相談ください。

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