Big4FASでファイナンシャルアドバイザーとして働く魅力とは


M&Aや事業再生などのコンサルティングサービスを提供するFAS(Financial Advisory Service)業界には、どんな業務内容や役割、仕事の面白さがあるのでしょう。

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)のコーポレートファイナンシャルアドバイザリー(CFA)を担うH.Tさん、Y.Iさんに話を聞きました。

(左:H.Tさん、右:Y.Iさん)

―お二人のご経歴、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)に入社された経緯を教えてください。
H.T:
大学で会計士の勉強をはじめ、卒業後は4大監査法人(Big4)の一つである監査法人の監査部門に入りました。会計士として本登録のための実務経験を積むべく、銀行や証券会社などの領域を担当しました。

その後、会計士として得た知識をもっともレバレッジさせやすいところとして、FAS業界に興味を引かれ、2019年9月にDTFAに入社。DTFAはBig4の中で群を抜いて規模が大きく、案件数の多さが魅力でした。面接担当だったパートナーの方に、「携われる案件は多岐にわたるので、ここで3年経験を積めば間違いなく成長できる」と背中を押されましたが、実際にその通りだなと感じています。

Y.I:
私も経歴は似ていて、在学中に米国公認会計士試験に合格後、準大手監査法人に入りました。2年間、監査経験を積みながら、ファイナンスの勉強のために米国証券アナリスト(CFA)資格のレベル2合格を目指していたところ、無事にレベル2に合格できたため、このタイミングでM&A業界に挑戦しようと思い、2021年8月にDTFAにジョインしています。

M&Aには大学時代から興味があり、いつか挑戦したいと思っていました。大学では国際経営学を専攻しており、企業がその範囲を拡大する際のコーポレートアクションの一つとしてM&Aがあると学び、M&Aに携わることは面白そうだな、と思っていました。M&Aでは、ファイナンスの知識だけではなく、税務や法務などあらゆる知識を総動員させる必要があり、そうした仕事は純粋にカッコいいなと憧れていたところもありました。ただ、新卒でいきなりM&A業界に行くよりも、まずは会計士の知識を監査実務で生かしながら経験を積んだ方がよいと考え、監査法人に進みました。

H.Tも言うように、DTFAは案件数が多く、短期間で積める経験の量が多いことが魅力の一つでした。面接担当者もエネルギッシュな人ばかりで、入社後もその印象は変わりません。

私が所属するミドルマーケット部門では、コーポレートファイナンシャルアドバイザリー(CFA)のほかに、財務デューデリジェンスやバリュエーション、ストラテジーなど様々なサービスラインを経験できるクロスアサインのチャンスもあり、ここなら幅広く深い知識をつけられそうだと感じました。

―お二人が担う、ファイナンシャルアドバイザーの仕事内容とは? どのような案件に携わっているのかもあわせて教えてください。
H.T:
CFAは、M&Aのファイナンシャルアドバイザーを担う仕事です。M&Aには、買収を成立させるためのプロセス、確認事項など多岐にわたる検討論点があり、売り手と買い手、それぞれの企業が自分たちだけでM&Aを進めることは難しい。そこで必要なのがCFAです。

私たちは、売り手か買い手、どちらかの専任アドバイザーとして、クライアントの利益を最大化するためにM&Aを進めていきます。財務デューデリジェンス、バリュエーション、ストラテジーなどのサービスラインをまとめ、最初から最後まで全プロセスを伴走しながらM&Aをクロージングに導くのがCFAの役割です。

私はTMT(テクノロジー&メディア)インダストリーチームに所属し、クロスボーダー案件に多く携わっています。現在担当している5件は、中国、東南アジア、ヨーロッパ案件で、すべてクロスボーダー。中には「ジョイントベンチャーを作るためのアドバイザーをしてほしい」というお客様もいて、ニーズは多様化しています。DTFAは世界各国にネットワークがあり、クロスボーダー案件の実績も豊富です。扱ってきた案件数の多さが、信頼につながっていると感じています。

Y.I:
私の担当領域はミドルマーケット部門で、中堅上場企業や規模が比較的大きい中小企業を対象としており、担当する業界はさまざまです。

高齢のオーナー様による「自分の会社を売却したい」といった事業承継案件が多い一方、私がメインで担当しているのは上場企業を対象とした金商法(金融商品取引法)案件です。上場企業がTOB(公開買付け)やMBO(経営陣による買収)、第三者割当増資などのコーポレートアクションをとる際は証券取引所規則や金商法が適用されるので、然るべきレギュレーションに対応しなければいけません。

ミドルマーケット部門には、金商法案件を専門的に担当する「金商法チーム」があり、金商法チームには厳格なレギュレーションに対応できるケーパビリティや実績があり、ドキュメンテーション対応や、プレミアムやディスカウントといった買収価格と市場株価との差額の合理性についての説明責任への対応などのノウハウもしっかり蓄積されています。そうしたケーパビリティや実績に加えて、デューデリジェンスを含めた各種サービスを一気通貫で提供できる点が、お客様から選ばれる理由なのかなと考えています。

―なぜ、ファイナンシャルアドバイザーを志望したのでしょうか。
H.T:
お客様と接する機会が圧倒的に多く、クロージングまでに予期せぬ事態や緊急性の高い事案などいろんなことが起こりそうで、チャレンジの幅が広がるかなと思ったからです。

会計士出身の場合、M&A領域で最も親和性の高い職種は財務デューデリジェンスなんです。定型的な手続きが多く監査知識をダイレクトに生かせますし、より専門性を深めることができます。

一方、CFAは成果物が案件の成否になり、難易度も業務量も増えますが、これまで蓄積してきた監査知識などのハードスキルを生かしつつ、お客様とのコミュニケーションというソフトスキルを鍛えられる。両方を掛け合わせたプロフェッショナルとして、お客様から感謝されたり評価されたりするところに魅力を感じて、志望しました。

Y.I:
私も、案件がスタートしてからクロージングまで、お客様と同じ思いで案件のクロージングを目指せるところがいいなと思いました。

前職でやっていた監査の仕事は、独立性が求められるので、独立した第三者としての立場でお客様に接する必要がありました。CFAは、お客様の利益を最大化させることが求められるため、お客様に100%寄り添える働き方を求めて選びました。

―ファイナンシャルアドバイザーの面白さとは? どんなときに達成感や充実感を得られますか。

H.T:
お客様に感謝される機会は圧倒的に増えました。「デロイトのH.Tさんが入ってくれたから助かりました」と名指しで言っていただけることもあり、プロとして価値を認めてもらえたときはうれしいですね。リピート案件につながったときも、頑張ってきてよかったなと思います。

Y.I:
案件が無事クロージングしたときに、お客様から「デロイトに頼んで本当によかった。細やかなサポートのおかげです」と言っていただいたときは非常に嬉しかったです。普段は忙しすぎて充実感に浸る余裕がないので、余計に沁みます(笑)。

もう一つは、案件が公表されることです。基本的に金商法案件ではプレスリリースを公表日に開示します。お客様や弁護士の先生と苦心して作り上げた何十ページにもわたるプレスリリースには、案件のすべてが落とし込まれています。各種論点やお客様のご意向、関東財務局や東京証券取引所からのご指摘を受けてどのように記載を修正すべきかなど、案件におけるさまざまな対応事項について調整した末に作り上げたものが公表され、マーケットが動いたりニュースになったりして、自分がサポートした案件が世の中でも注目されている様子をみると、自分の仕事が社会にインパクトを与えていることを感じることができて、大きな達成感につながっています。

H.T:
確かに、日経新聞に載るとうれしいですよね。

私たちが扱うディールはそこまで大規模なものはないのですが、ある案件で日経新聞の一面に載ったときには、うれしくて誌面をわざわざ購入し、今も保管しています。仕事の社会的インパクトを実感できる瞬間だなと思いました。

―会計士のバックグラウンドや監査法人経験があるからこそ、バリューを発揮できると感じる点はありますか。
Y.I:
会計知識の土台があるから応用が利くと感じることは多いです。CFAはお客様からの相談を最初に聞く立場にあり、その際に会計やファイナンスの質問を受けることもあります。その場で専門知識に基づいて回答できたり、ある程度の方向性を示せたりするので、お客様にも安心してもらえるのではないかと思っています。

膨大な資料の読み込みも監査時代に慣れているので、例えばデューデリジェンスのフェーズでは、どの資料にどんな情報が載っているのか当たりをつけやすいといったアドバンテージがあると思います。また、M&A経験がなくても、M&Aに必要な知識の一部は既に持っていると思うので仕事に馴染みやすいところも強みだと感じます。

H.T:
会計士としての知識があるから、お客様が何を知りたがっているのか察しやすいところはありますよね。

私は、入社すぐに担当した案件で、国際会計基準(IFRS)について財務モデルに落とし込むとどうなるのか聞かれたことがありました。チームメンバー全員が非会計士だったので、私が担当し、メンバーからお客様からも評価いただけました。CFAとしてのアドバンテージは間違いなくあるなと思いましたね。

CFAは、金融系の知識に留まらず、バリュエーションの知識や会社法、会計、税務、法務などさまざまな知識を持ち合わせるからこそ意味のあるアドバイスを提供できます。会計士のバックグラウンドがあると、会社法の知識もあるので、レバレッジはかなり効きやすいのではないかと思います。

 

―最後に、FAS業界に興味を持つ候補者の皆さん、CFAを志望する候補者の皆さんへメッセージをお願いします。
H.T:
持っている知識を生かしながら、お客様に直接サービス提供できるところに喜びを感じられる人に来てほしいです。決められたルーティンというよりは、何が起こるかわからない状況を楽しんで、お客様と一緒に走りながら価値提供していく。そこにやりがいを見出せるのであれば、とても向いていると思います。

DTFAの案件数の多さは、それだけ一人が経験できる量が多いということ。高速で成長できる土壌が揃っていることは、これからのキャリアの広がりにもつながっていくでしょう。

Y.I:
お客様に100%寄り添い、お客様が求めているものをプラスαで提供していこう、という熱意のある方と一緒に働きたいと思います。誰かのために働きたい、喜ばせたい、という思いがある方には、CFAの気質があるのでは。また、案件ごとに勉強すべきことは変わるので、常に知識を習得していくことは大変かもしれませんが、貪欲に知識を吸収していきたいという好奇心のある方に向いていると思います。

加えて、組織がとてもフラットで、部門間、サービスライン間で柔軟に連携しながら案件に携われるところも、DTFAで働く魅力です。

「この案件ではバリュエーションメインで担当したい」という場合にはバリュエーションチームとして、「ビジネスデューデリジェンスチームに入ってコンサル的な考え方を学んでみたい」という場合にはストラテジーチームとして参加するなど異なる経験を積むことができます。スキルを幅広く学べ、ときに専門性を深めることもでき、成長の実感を得やすい。案件が豊富にあり、ハードスキル、ソフトスキルの両面を鍛えられる環境が整っているので、得られるものは非常に多いのではないかと思います。

 

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