2014.03.14
監査法人に勤務しつつ、いずれは一般企業に転職したいと考えている人は少なくないでしょう。ここでは、一般企業への転職について考えてみることにします。
監査法人から一般企業への転職は、必ずしも敷居が高いわけではありません。しっかりとした志望動機、コミュニケーション能力さえあれば採用に至るケースが多数あります。とはいえ、採用される人は若い人が大半です。なので、年齢が若いほど選択肢が多くなります。
採用率でいうと、20代なら90%、30代前半で80%、30代後半で70%、40代で50%を切る、と考えるとよいでしょう。
一般企業の場合、「会計士」という資格を絶対有していないといけないというわけではなく、[会計に詳しい人」であれば十分と考えるケースが少なくありません。「会計士」という資格だけで採用に至るわけではない、と考えておくべきでしょう。
また、会計士の年会費を負担しないケースが大半を占めます。もし、求人応募に資格を持っていない人がいた場合、人事担当者が職場に合うという理由で、資格を持ってない人を採用するかもしれません。
さらに、企業が必要とする知識や経験が重視されます。もし内部統制報告制度導入時に、そのプロとして外部のコンサルタントと契約していたとします。そのとき、同様の知識やノウハウを持っている人が求人として応募してくれば、企業はその人材をほしいと思うはず。費用を削減する意味でも、社内の人材として確保しておくのは非常に有用です。
一般企業に転職するなら、その企業を取り巻く環境を理解し、何を欲しているのか。どんな状況なのかをきちんと把握しておくことが欠かせません。今後を見据えるなら、例えばIFRS(国際財務報告基準)の知識が求められるでしょう。現状はIFRSの適用は先送りしていますが、グローバル企業の中には、海外の状況に照らして、日本基準ではなく、先行して導入するケースが見られます。もちろん英語力も必要となるでしょう。
企業に「一緒に働きたい」と思わせる姿勢も大切です。監査法人の場合、一人で働くことが珍しくありません。一般企業はチームで取り組むことが多々あります。協調性や人を動かす力、円滑な人間関係を築くことができる資質も大切です。こうした人であるかどうかが採用時に求められるはず。監査法人に勤務していると、若くても「先生」と呼ばれることを経験していると、一般企業に入った途端馴染めないという人がいます。環境の変化に順応することも必要でしょう。
中には、「会計士を採用しても、いつかは独立して辞めてしまうのでは」と考える企業もあります。もし採用後、すぐに辞めてしまったら人事担当者の評価が下がってしまいます。そのため、人事担当者は、その人が本気で企業で働き続けるのか。単なるステップアップとして考えていないのかなどを見るはずです。
現に向上心が強いことをアピールしすぎてしまう人は、かえって入社してもいつか独立してしまうだろうと捉えられてしまい、採用されないケースがあります。
企業に対してどのようなキャリアプランを描くのか、業務にどのように貢献するのかなどをきちんと説明できることが大切です。人事担当者から選ばれる魅力、将来性を持っていることを示せるようにしておきましょう。
(文:VRPスタッフ)
大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。