2014.02.09
様々な企業の人事担当者が、就職面接で「御社で勉強させてください」と発言する若者が増えた、という話をされます。こういったエピソードは、「企業は営利を目的とする場所で社員が勉強をするところではない」と、若者の「甘さ」について揶揄する文脈でよく語られます。
しかしながら面接で言うべき台詞であるかは別に考えなくてはなりませんが、終身雇用が当たり前の時代が終わり雇用も流動化する現在、このような認識で就職・転職を考える求職者がいるのは当然といえば当然です。
人事担当者の中にはこの種の発言に概ね好意的な印象を持つ人もいるようです。監査法人は、入社する人に将来の転職・独立を志す人の多い業種です。公認会計士の監査法人への就職状況は、鮮明な回復傾向がみられ、2006年の試験制度変更と、合格者数の増加に伴う苦境から脱しつつあります。
監査法人の積極採用の要因となっている、「景気の回復」と「受験者・合格者の減少」は、本質的に異なる部分があります。試験の状況は政治等も関わり、いわば経済外の要因によるもの。これからの景気の状況は不透明な部分もあります。コンサルファームや一般事業会社の会計士採用の状況にも改善は見られますが、監査法人ほど目立ってはいません。
就職・転職を考える会計士の皆さんは、将来的な独立、他業種進出を考えられている方も、このチャンスに監査法人へのチャレンジに心が傾いているかもしれません。法定監査業務の経験は、会計士として絶対に無駄ではありません。すべての会社の業務に関わる、会計のプロ中のプロとしての知見は大きな武器となります。
しかし、単に雇用の状況が良いことのみを監査法人を目指す理由にするのは考えものです。監査法人で自分が何をしたいのかという目的意識を持っているかいないかによって、将来に大きく差が出てしまうでしょう。監査法人への就職者が増加すると、法人内のピラミッド組織の中で、同期の中でパートナー等上位の役職を目指した、厳しい出世競争が起こります。
また、監査業務の経験者として、将来的に他業種に挑戦しようという方々の間の競争も激化します。将来の業務につなげるため、監査手法の他に、担当企業の事業の仕組みを深く調べたり、独立を考えて税務やコンサルティング、金融等の独自の勉強をしたり、人脈の幅を広げたりといった意識的な研鑽が必要です。いずれにしろ、冒頭のお話のように、自分の価値を高めるため「監査法人で勉強をする」という気持ちを持ち続けることが重要となってくるでしょう。
(文:VRPスタッフ)
大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。