2014.01.31
女性の転職について考えてみましょう。女性の場合、当然ですが出産や育児の可能性があります。こうした状況を視野に入れて転職活動することをオススメします。今回は出産や育児を想定したときの、監査・税理士法人と一般企業の状況を比較してみることにします。
こんなデータがあります。内閣府が2012年に発表した調査結果では、女性が管理職に就いている割合は、米国が43.0%、英国が35.7%、仏国が38.7%と高いのに対し、日本は11.9%に留まっています。特に課長職以上の割合はわずか5.5%と、大変厳しい環境といえるのではないでしょうか。
一方で女性の待遇面は改善されつつあります。女性の社会進出を後押しすべく、「産休制度」や「育児時短制度」などが整いだしています。こうした制度は、大手はもちろんのこと、中堅規模以上の監査・税理士法人でも徐々に導入されつつあります。
こうした状況を踏まえた上で、女性にとって働きやすいのは監査・税理士法人でしょうか、それとも一般企業でしょうか。答えは「監査・税理士法人」です。一般企業は企業ごとに異なりますが、なかなか自分自身の思うようにいかないもの。両者の違いは、業務形態が大きく異なることが所以です。
例えば、一般企業に勤務する女性(経理課長)が休職することになったとしましょう。企業の場合、そのポストを埋めるべく新たな人材を採用することになるでしょう。もしくは一時的にそのポストを担える人材を社内から割り当てるでしょう。そういった状況の中で、もしその女性が一年後、復帰することになったらどうなるのでしょうか?
休職者が戻ってきたからといって、すぐに経理課長として復職できるわけではありません。すでに採用した人材をクビにはできないからです。つまりスタッフ職を除き、1年後に休職前と同じ状態で復帰するのは極めて困難なのです。復帰しても同じ仕事が与えられるとは限りません。まずは「肩慣らし」としてこれまでと違う仕事を与えられるケースが多いのではないでしょうか。
監査・税理士法人の場合はどうでしょう。監査・税理士法人ではプロジェクト単位で業務が進められます。プロジェクトごとにクライアントが違えば、作業するチームも変わります。監査・税理士法人にしてみれば、1年間の休職者がいたとしても、新たなプロジェクトのメンバーとして業務にあたってもらえばいいと考えるでしょう。つまり、もし出産などで休職したとしても、復帰した際にはこれまで同様の仕事を与えられる可能性が極めて高いのです。
大手監査法人に聞いたところ、女性が管理職に就いている割合は15~20%程度でした。大手税理士法人に聞いてみると、25~35%。先の米国や英国などと比べて遜色のないレベルといえるのではないでしょうか。
もちろん、監査・税理士法人にせよ一般企業にせよ、その人物の評価が前提としてあります。評価が低ければ、復帰後の仕事に大きな影響を与えることになるでしょう。ただ、業務形態の違いという点でのみ両者を比較した場合、出産や育児といった女性が直面しやすい状況に対して、監査・税理士法人の方が受け入れやすい、復帰しやすいと言えるのではないでしょうか。
(文:VRPスタッフ)
大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。