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大谷幸宏
中小企業を守る、税理士・会計士の存在感

2014.01.04

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税理士・会計士のこれからの役割を考える上で、興味深いデータがあります。2012年に中小企業庁が公表した「中小企業白書」で、中小企業の経営者が、経営に関して定期的に相談する相手について、複数回答で聞いた調査結果です。
 
一位はダントツで「税理士・会計士」。実に68.1%が挙げています。そして2位が「経営陣」(34.9%)、3位は「家族・親族」(27.4%)と、経営者にとって「内輪」の人たち。会計の専門家として客観的に経営分析、助言ができる存在として、税理士・会計士の存在はほかに代え難いということがわかります。
 
4位で、やっと外部の機関がランクインしてきます。中小企業の実態を見ている人はピンとくるかもしれませんが、「メインバンク」です。確かに、金融機関の融資担当者は決算書を基礎資料とした経営分析のプロです。
 
しかし、その分析は与信の過程で行われます。これは、多くの中小企業が気にする資金繰りについて、経営者と時に利害が衝突する金融機関に「丸腰」で対峙することを意味しています。会計人が決算対策、融資交渉のサポートを行うことの重要性は明らかでしょう。
 
そもそも同調査に回答をしたのは、「定期的な経営相談」を行っている経営者。その割合も驚くべきことに、たった35.7%です。「経営者は孤独だ」とはよく言われる言葉ですが、6割以上の中小経営者は、役員や従業員、家族を含めて相談ができる相手がいないことになります。
 
定期的な相談を実施しているか否かは、会社の規模によっても異なります。従業員300人以上の会社の実施割合は8割以上ですが、企業規模が小さくなるにつれ割合が低くなり、従業員30~100人位の会社は約5割、5~9人で3割、1から4人だと1割台に下がってしまいます。しかし、零細企業が経営の助言を必要としていることは、会計人であれば肌で感じるのではないでしょうか。
 
「定期的な相談相手がいない」と回答した経営者の中にも、記帳代行や税務申告業務で、税理士と契約している人がいると思われます。会計人は記帳や税金の計算以外にも、経営に資する専門的知見を提供できる存在である、ということを積極的に啓発していくことが期待されます。
 
士業の業務にも、顧客のターゲッティング、競合が少なく需要の高い商品開発を行うポジショニングが必要な時代となっています。6割の孤独な中小経営者をターゲットとして、内容を絞り込んだサービスを、税務顧問のオプションとして、またスポット業務として提供し、潜在的需要を掘り出す視点が必要となってくるでしょう。
(文:VRPスタッフ)

大谷幸宏 プロフィール

大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。

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