2013.12.05
最近、総合週刊誌やマネー誌で、住宅購入に関する特集が組まれることが増えてきました。内容は、大ざっぱに言えば「今、家を買うべきか否か」という問いに集約されているようです。
会計士・税理士の皆さんの中にも、関与先から住宅購入の適否について質問された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住宅購入に関する情報への需要が高くなっていることには、いくつかの複合的な要因があると思われます。
まず不動産価格。7月発表の路線価では「下げ止まり」の傾向が指摘されましたが、金融緩和の影響もあり、いよいよ値上がりが始まるのではないかという憶測が生まれ、「今のうちに」という煽りにつながっています。
また、金融緩和に関連して、長期金利が不安定化しており、上昇の兆しがあることも影響しています。これは当然、住宅ローンの金利に関わります。「固定金利がいいか、変動金利がいいか」という判断も、大きな話題の一つとなっています。
そして税制。消費税アップ前には、住宅の駆け込み需要があります。アップ後の激変緩和措置として実施される住宅ローン控除の拡充と併せて、住宅購入にかかる税額の有利不利も興味の的。しかも消費税アップの議論も横目に見なければならないので、複雑さはさらに増します。
ファイナンシャルプランナーには、住宅購入について金利や税額を含めたアドバイスができることを売りにしている人がいます。中には、不動産業界で勤務した経歴のあるFPもいるようで、建物に関する専門知識、地域の不動産価格に関する情報収集能力がある、という強みをアピールしている人もいます。
税務に関しては、FPよりも税理士の経験と見識に分があることは間違いありません。住宅購入にかかる税額の計算を、より正確に行うことができるでしょう。しかし、税額だけで住宅購入のお金の損得を判断できるわけではありません。むしろ税額は付随的なものです。
家を買うという人生のビッグイベントにあたり、一般の方々は、建築についてはハウスメーカー、金利については金融機関、と明らかな利害当事者しか相談相手がいないというのが現状です。雑誌の特集が注目されるという現象は、住宅購入に関する第三者的見解を多くの人が求めているということを示しています。
お金の専門家として長年信頼を得てきた会計士・税理士に対する期待も、いっそう高まりそうです。この機会に、税制に限らず住宅取得に関するお金の知識を体系的に学び、整理しておくことは、ビジネスチャンスを得るために意義のあることではないでしょうか。
(文:VRPスタッフ)
大学卒業後、金融機関にて法人営業職を経験し、98年に管理部門に特化した株式会社日本MSセンター(現:MS-ジャパン)へ入社。東京本部の立ち上げを行うなど、現在の同社の基盤を作る。2004年に国内最大規模のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパン株式会社よりスカウトを受け、エグゼクティブサーチ業界へ。 同社入社後も数多くの結果を残し、入社2年でパートナーへ昇進。2007年11月に株式会社VRPパートナーズを設立、代表取締役に就任。18年間のキャリアにおいて、2万人以上の転職者との面談実績を持ち、入社後の定着率は95%以上とサーチ業界内においてもトップクラスの実績を誇る。2014年に日本アクチュアリー会の会員に。