毎年12月が近づくと感傷的な気持ちになります。アクチュアリー試験の際の心労が身体の隅々に染み込んでいるのでしょう。
2次試験が終わり正会員になったときは、嬉しいというよりもむしろホッとしたものです。もうこの長くて辛い試験地獄から開放されるのだと。
ところで、自身が正会員になり、その後に後輩の指導をしていく中で、試験に合格するためにある重要な考え方に気づきました。もちろん万人にあてはまるものではないと思います。でも、気が弱くて要領も悪く、試験があまり得意でない私のような人にとっては、多少なりともお役に立てる考え方ではないかと思います。
以下に4つのアドバイスをお送りしますので、皆さんの参考になれば幸甚です。
1.学者になるな!
試験勉強を開始する前は、「よし100点を取るぞ!学者レベルまで理解力を高めるぞ!」と無駄に張り切るものですが、合格点は60点。忙しい業務のさなかに勉強する人が大半です。残念ながら、勉強したことの大部分は、試験後速やかに忘却の彼方へ消え去ります。また、試験は科目ごとの合格率が毎年大きく変動しますので、合格水準まで十分に達したと思ったら、別の科目の勉強をした方がお得です。この複数科目の勉強というのは、1科目に専念する場合に比べて精神的な負担も軽くなります。
さらに、試験本番で解けない問題にあたったとき、「学者の俺に解けないはずがない」と焦って固執し、無駄に時間を浪費するのを防げます。
2.短期・中期を立てよう!
「よし俺は5年で正会員になろう」と長期計画を立てて、勉強をするのは大変結構なことですが、短期・中期の計画もたてないと長続きしません。続けられる超人的な人はさておき、これから1年間の試験勉強を行なうにあたり、短期・中期の計画もしっかり立てましょう。
例えば、短期の計画としては、「今週はこの問題集のここからここまで終えよう」などです。私は意志が薄弱な人間なので、「本日はここからここまでやろう」と毎朝考えてから勉強を始めていました。もちろん計画は余裕のある内容がベスト。それを終えたら、その日の残りの時間はボーナスステージ。それ以上の勉強ができたら「俺ってすげー!」と自己満足な達成感に浸れるので勉強もはかどります。
続いて、中期の計画は、「6月までに全体を理解して、9月までに問題集を一通りやり、その後は試験まで時間を計って過去問を解く」などです。これも余裕のある計画を立て、前倒しでできれば「俺ってすげー!」。
3.時間を計って勉強しよう!
受験生の中には、時間を計らずに過去問を解き、「60点を超えたので大丈夫」と考える人が多くいます。でも本番は必ずしもベストな環境で臨めるものでもありません。
当日雪が降って指がかじかんでいたり、時計を忘れてしまったり(電卓忘れは論外)、
後席の人が絶えず咳き込んでいたり、前席の人のふけが零れ落ちるのが気になったり、隣の人の貧乏ゆすりで集中できなかったり、不思議と過酷な状況に置かれることが多いように感じました。何が起ころうとも気にしない鉄の精神力をお持ちの方は大丈夫ですが、普通の人は睡眠不足も相まって、当日は不安で一杯です。普段の勉強時の環境とは比べるべくもありません。
したがって、過去問を解くときは2時間で80点くらい取れるまでもっていくと安心できます。
私は、問題集を勉強する時から、絶えず時間を計って解く習慣をつけるようにしていました。そうすることで、プロドライバーのタイムマネジメントがシビアなように、問題を読むスピード、考えるスピード、計算するスピードが上がりますので、メリットは多いと感じました。
4.自分にご褒美を上げよう!
ドMな人は長期間の苦行を気にしないと思いますが、普通の人はたまにはアメも欲しいもの。小さな目標を達成するごとに自分にご褒美を上げましょう。例えば、「今週頑張れば週末に大好きなラーメンを食べに行こう。今月頑張れば、来月ディズニーランドに遊びに行こう。」くらいの目標が望ましいです。ここで重要なのは、過剰で長引くご褒美を自分に与えないことです。
私は自分に過保護なので、「今年の試験が終わったらドラクエをやろう」などとしたところ、エンディングを見ても「レベル99までやろう」とか、現実逃避的な行動が続き、結局1ヵ月のご褒美の予定が10月まで続いてしまい、気づいたら今年の試験は諦めざるを得なくなることが数年続き、一時は試験からの撤退も考えた始末。
また、準会員になった後で、自分へのご褒美のため1年間は勉強を中断しようとする人も何人か見てきましたが、中断後にモチベーションを戻すのは鬼の意思が必要です。でも鬼の意思を持つ人は、そもそも自分へのご褒美を必要としませんよね。
「ご利用はご計画的に」ではなく、「ご褒美は適度に」を守ってください。
(ペンネーム:猫太郎)