例年通り、2月にアクチュアリー試験の合格発表が行われ、今年の試験に向けてこれから試験勉強を再開しようと考えている方も多いように思います。
そこで、今回のコラムでは、試験勉強を再開するに当たって大変苦労した(=正会員まで8年)受験生の先輩として、感謝と反省を踏まえながら有益と思われる項目をいくつかご紹介いたしましょう。
1.不合格科目の解き直し
12月上旬の試験本番から(翌年)2月の合格発表まで、冷静に考えれば結構な時間が空いていることに気づかれると思います。
いわゆる“燃え尽き症候群”で『東大理Ⅲ』より『私大医学部(例.順天堂大学など)』の方が『医師国家試験』の合格率が高いという“鉄緑会の弊害!?”が露わになっていますが、まさに、医学部に合格すればそれで終わりという、医師(の卵としての)倫理観の欠片もないツマラナイ学生にならないことを切に願うばかりです。
話が脱線しましたが、要するに不合格科目についてはこの瞬間から解き直して、次の「2.」に登場する日本アクチュアリー会からの公式解答と見比べながら“どこが間違っていたのか”、“教科書のどの論点が理解不足だったのか”などを今のうちに確りと頭に叩き込むことこそが、次の試験勉強を円滑に進めるための唯一のコツと言えるでしょう。
2.年度末のアクチュアリー会ホームページ
例年、3月末に日本アクチュアリー会ホームページ(例.資格試験情報など)で公式解答や合格率などの情報がアップされます。
大昔は、試験本番の翌年夏頃に「会報別冊」として(一部期間では有償で)公式解答が公開されていましたが、某試験委員曰く“年度を跨ぐと人事異動などで試験委員が交代するため、同一年度内に公式解答を出すようにスケジュールを前倒しにしている”とのようです。
いずれにせよ、新年度に向けた新たな意気込みを自分自身に呼びかける観点からも、年度末のアクチュアリー会ホームページをチェックしておくと良いでしょう。
3.学習時間の確認
以前の当コラムでもご紹介いたしましたが、弁護士・司法試験講師および(自転車を投げ飛ばした!?)町長として有名な『柴田孝之氏』によれば、社会人が勉強できる時間は“週30時間が限界”のようです。
このコラムを見られた受験生は、今すぐに、ご自身が学習時間に充当できる時間帯(例.平日:21~23時、土日祝日:10時間/日など)といった具合で、祝日がない週であれば30時間(2時間×平日5日+10時間×土日2日など)という感じで、週30時間の壁をうまく達成できるような学習計画作成に着手されるとよいでしょう。
4.祝日の使い方
結論から申し上げますと、祝日は学習スケジュールを入れないというのが学習を長続きさせる秘訣です。
特に、社会人として日々の業務に追われる状況下で自己学習を継続するためには、並大抵の強い決意がなければ途中で投げ出してもおかしくないようにも思われます。
その一方、当初立てたスケジュールを(余程のことがない限り)最後まで達成したいという気持ちもお有りでしょう。
これを実現するためには、いわゆる“ムリ・ムダ・ムラ”がないような計画が必須で、スケジュールの遅れを祝日で取り戻したり、逆に、順調にスケジュール通りに学習が進んでいれば、ご自身への“ご褒美”として祝日を自由にのんびりと過ごすのも悪くないように思います。
5.科目間の相性
アクチュアリー試験の科目において、特に、第1次試験(基礎科目)では、『数学と損保数理』、『生保数理と年金数理』は非常に相性がよく、同時並行で学習しやすいという側面があります。
このように「科目間の相性」を十分意識された学習計画を立てることも早期合格に向けて重要な戦略となるでしょう。
6.勉強仲間を作ろう
最近はSNSの蔓延で同じ志を有する仲間を比較的簡単に見つけることができるようで、昭和世代としては何とも羨ましい限りです。
ただ、中には悪意を持った“なりすまし”も存在するようでして、正会員の後輩から、“こんなやり取りをしているんですが、どう思われますか?”と問われた苦い経験もあります。(もちろん、“回答者”の回答が出鱈目であり、そう考えても、正会員を増やさない悪意に満ちた返信でした)
兎に角、身近の正会員(がいなければ、日本アクチュアリー会ホームページ上のチャット機能をフル活用しながら)に直接質問する姿勢が、最短距離で知識習得が確実なものとなるでしょう。
結局、“只より高い物はない”という一言に尽きるように思います。
7.準会員になったら
ひと昔前まで「準会員」であれば、例えば、少額短期保険業者の保険計理人業務などにも従事できていたように記憶しておりますが、残念ながら、今では、同業務には『正会員』の従事可能なようです。
一方、データサイエンティストやリスク管理などのプロフェッショナルとして、保険数理の専門家として『準会員』を保有していれば、皆様の活躍のフィールドも大いに拡大しようです。
いずれにしても、より深い専門職知識を習得することで、取得者の選択肢が拡大することは、アクチュアリーに限った話ではなさそうですね。
8.正会員になったら
無事に正会員になった暁には、少なくとも『保険・年金数理の専門家』というタイトルが付与されるでしょうから、堂々と専門家の道を歩んでいただくことが良いように思います。
筆者の場合、幸いにして、多くの協力者からの援助を頂戴しながら、三大要素(保険計理人意見書の作成・提出、アクチュアリー2次試験対策講座講師、アクチュアリー試験対策書籍執筆)を無事に達成することが出来て、非常に充実したアクチュアリー人生を過ごさせていただいているのも事実です!
いずれにしても、“正会員になったらこれをやりたい”という強い思い入れが、自然と『合格』の二文字に導いていただけるように痛感します。
いかがでしたか。夏季五輪同様、東京での開催が2回目となる『2026年ICA(国際アクチュアリー会議)』が近づいて参りましたね。
恐らく、当日は99年の『日本アクチュアリー会100周年記念大会(於、京王プラザホテル)』よりも盛大に開催されることが想定されますが、コロナを始めとする人類全体へのウイルスやテロ行為など、21世紀を取り巻く世界的不幸にアクチュアリーが一丸となって取り組んでいただけることを切に希望する今日この頃です。
(ペンネーム:活用算方)
2025年02月28日 (金)
アクチュアリー試験勉強を再開される方へ
