アクチュアリー試験の推計合格率(2023年度)


アクチュアリー試験の合格発表が、2024年2月19日(月)に日本アクチュアリー会ホームページで行われました。
合格された方は本当におめでとうございます。また、惜しくも合格に至らなかった方も諦めずに試験勉強を再開して、来年の今頃を笑顔で迎えられるようにしたいですね。

例年同様、合格者数および合格者受験番号のみが公開されましたが、合格率はまだ公開されておりません。ちなみに、昨年度の合格率は、2023年3月31日(金)(注)に、同会ホームページの会員サイトで公表されましたので、今回も3月中に合格率が発表されるものと思われます。

そこで、今回のコラムでは、2024年2月19日(月)時点での公開情報に基づく推計合格率について、個人的見解も交えながらご紹介したいと思います。

(注)“試験問題に関する訂正に伴う数学の追加合格者”を反映するため、2023年5月11日(木)に修正版が公開されました。(https://www.actuaries.jp/info/pdf/20230511.pdf

1.科目別合格基準点および最低ライン

第1次試験(基礎科目)および第2次試験(専門科目)とも、資格試験要領(https://www.actuaries.jp/examin/2023exam/2023-H.html)『8.合格基準』に記載の合格基準点および最低ラインと同じ結果でした。

2.略算合格率の比較

略算合格率(=合格者数÷合格者受験番号最大値)について、昨年度(注)と比較すると下表のようになります。
なお、現時点で『受験者数』が公開されていないため、合格率の分母を『合格者受験番号最大値』としています。

 

仮に、前回と比較して合格率が5ポイント以上乖離した場合を『難化/易化』の基準とすれば、上表から、今回の結果では、
・生保数理、損保数理、損保2、年金1 ⇒ 易化
・年金数理、会計・経済・投資理論 ⇒ 難化
した可能性があります。

3.推計合格率の比較

アクチュアリー会から公表されている合格率は、上述の略算合格率とは異なり、合格率を計算する『分母』が『受験者数(=申込者数-欠席者数)』となります。
そこで、昨年度の実績(アクチュアリージャーナル第123号:事務局からのお知らせ)に基づき、今年度の合格率を推計すると下表のようになります。

2.と同様の『難化/易化』の基準を前提にすれば、上表から、今回の結果では、
・生保数理、損保数理、損保2、年金1 ⇒ 易化
・年金数理、会計・経済・投資理論 ⇒ 難化
した可能性があります。(昨年度と同様に、1次試験に比べて2次試験の合格率のブレの少なさが注目されます。)

いかがでしたか。なお、欠席率について注目すべき点があります。具体的には、2022年度の欠席率を前年(2021年度)と比べると下図のような状況で欠席率が(年金2を除いて)減少しています。これは、2022年度からスタートしたCBT方式で、東京・大阪以外でも受験できるようになったことが原因の1つかもしれません。

 

(ペンネーム:活用算方)

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