2024年2月14日(水)に、日本アクチュアリー会ホームページで、“教科書改訂”&“試験関連図書の無償提供開始”が公開されましたが、ここ数年での試験制度変遷をみると、
2022年 資格試験のCBT移行
2023年 受験可能年齢を満18歳に引下げ
2024年 試験関連図書の無償提供開始
となっており、3年連続の“大幅改正”といえるかもしれません。
そこで、今回のコラムでは、教科書改訂はもちろん、試験関連図書の無償提供が、受験生にどのような影響を与えるのか、どのような点に注意すべきなのかという辺りを、独断と偏見を交えながらご紹介できればと思います。
1.該当するURL
本件に関する日本アクチュアリー会ホームページでのURLは以下の通りです。
教科書改訂 https://www.actuaries.jp/info/T20240214.html
無償提供 https://www.actuaries.jp/examin/textbook/
特に、“無償提供”に関するサイトがややわかりにくい(https://www.actuaries.jp/info/20240214.htmlにある、“アクチュアリー会発行の教科書・参考書”をクリック)ため、上記URLをブックマークされると良いかもしれません。
2.新旧対比表の作成
改訂後の“生保1:第1章 営業保険料”、“生保2:第6章 ソルベンシー”に加えて、日本アクチュアリー会から刊行されている教科書も無償提供されます。
したがって、教科書が改訂される科目を受験される方で改訂前の教科書をお持ちの方は、新旧対比表の作成がオススメです。
また、今年初めて第2次試験(専門科目)を受験される方も、「出題可能性の高い箇所=改訂箇所」という思考回路で、“改訂前”の紙媒体教科書(例.『保険1(生命保険)(2021年3月改訂版)』)も購入して、新旧対比表を作成するところからスタートされるのも良いでしょう。
3.生損保の教科書を併読
今回の“無償提供”は、日本アクチュアリー会が刊行するものに限定されているようですので、例えば、第1次試験(基礎科目)の「数学」や「会計・経済・投資理論」は、引き続き、一般書店などで販売されているものを有償購入する必要があるようです。
一方、改訂されない教科書についても、日本アクチュアリー会が刊行するものであれば無償提供されますので、例えば、「生保2」で責任準備金やリスク管理を学習される場合には、損保の『第7章 責任準備金』や『第10章 リスク管理』なども、第三分野保険を意識しながら併せて学習されるとよいでしょう。
4.PDFファイルならではの便利さ
無償であることに加えて、PDFファイルで提供されることも受験生にとっては大変メリットがあるように思います。
例えば、ご自身のスマホやタブレットなどにダウンロードすれば、重たい教科書を持ち運ぶ手間もなく、いつでもどこでも学習できる点が最大のメリットと言えるかもしれません。
個人的には、“ポータビリティ”に加えて、教科書の文章がテキストファイル形式で“コピペ(=copy & paste)”できる点も優れているように思います。
特に、第2次試験(専門科目)では、第1次試験(基礎科目)に比べて暗記すべき量が一気に増えますので、例えば、暗記アプリ(例.フリーソフト『Anki』など)を活用する場合も、いちいち教科書の文章を手入力する必要がなく、PDFファイルから必要な部分だけを“コピペ”すれば、あっという間に自分専用の暗記教材が出来上がりです。
なお、フリーソフト『Anki』の活用方法について様々な情報が溢れているようですが、個人的には以下のブログや動画がおススメです。お時間のある時に御覧いただければ幸いです。
https://mememori-blog.com/anki-tekunikku/
https://www.youtube.com/watch?v=3HKJS5ymAKY
https://www.youtube.com/watch?v=6wFesOHQdWY&t=0s
いかがでしたか。冒頭に記した通り、ここ数年におけるアクチュアリー試験制度改正は大変目まぐるしいものがあります。AIの発達でアクチュアリーが不要になる日が来る!?といった、一種の“妬み”や“僻み”の声も漏れ聞こえてきますが、ERMやESR経営を目指す金融機関にとって、アクチュアリー業務やアクチュアリー人材の需要は当面続くもの(と思いたい)というのが正直なところです。
(ペンネーム:活用算方)