11月に引き続き12月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.サントリーからの挑戦!?
在宅勤務が続く中、久々に乗車した電車内で面白い広告を見つけました。日能研の試験問題のように退屈な社内で頭を働かせることができるのは“老化防止”にもなるので、大変ありがたいですね。
https://gintachan.com/tokucha-suntory-function-answer/
ちなみに、大学入試でも同様の“楽しい”出題が大昔にあるようでして、具体的には、グラフをすべて重ねると動物の顔のような絵が出現し、思わず微笑んでしまう受験生がいたんだろうなとワクワクしてくる気がします。
いうまでもなく、企業や組織にとってCMはお客さまとの接点を得る上で最も重要なツールであり、大手社を中心に“こぞって”このように楽しいCM展開をすれば、きっと明るい未来が訪れるように思います。
一足早い“クリスマス・プレゼント”かもしれませんね。
https://kamelink.com/blog/tag/%E7%8C%AB%E3%81%AE%E9%A1%94/
2.「余命1年」の本当の意味
現役医師曰く、“統計から導き出した生存期間中央値は目安に過ぎない”という記事がありました。https://president.jp/articles/-/76441
10年以上前、商品認可申請で主務官庁の某保険数理専門官に「リビング・ニーズ特約」の約款案を説明した際、“「余命6か月以内と判断された場合」とあるが、算出方法書の規定はどうなっているのか?”と問われ、“6か月分の保険料および利息相当額を死亡保険金から控除”と回答したところ、“余命6か月以内であれば平均3か月だろう。つまり、控除すべき「保険料および利息相当額」は、(6か月分ではなく)3か月分では?”とのコメントを頂戴してしまいました。
心の中では、“先行他社の単純追随なのになあ。。。”という思いが強くありましたが、主務官庁としては、(単純追随かどうかに関係なく)免許事業者としての見解や合理的説明などを求めているのだろうと(善意に)解釈して、一旦、持ち帰った記憶があります。
幸い、四水会ルートで開発当時の状況をご教示いただき事なきを得たのですが、今となっては“理論武装の大切さ”を学ぶ絶好の機会だったと懐かしく感じております。
3.働かなくてもいい社会は幸せか?
“AIが問う「生きる意義」”という見出しに惹かれましたが、某巨大掲示板で見た、“生きる権利はあるが、生きる義務はない”と、一瞬驚くフレーズを思い出しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04COA0U3A201C2000000/?n_cid=NMAIL007_20231223_A
特に、「記事のポイント」に挙げられている、“情報環境が豊かになっても幸福度が上がる訳ではない”という点に関しては、同じくノーベル経済学賞を受賞された「プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授」による、“世帯年収が7.5万ドルを超えると「感情的な幸福感」はそれほど増さない”というのも有名ですね。
https://news.line.me/detail/oa-zuuonline/f57d80362688
ただし、最近では、この“7.5万ドル限界説”に異論が出ているようで、“年収7.5万ドル以上でも幸福度は伸び続ける”ようです。
筆者は行動経済学の専門家ではありませんが、結局、“人の幸福度”は、単に“稼得能力だけ”では判断できないような気がします。
https://president.jp/articles/-/69739?page=2
4.つっこみどころ満載!?
つっこみどころが満載なので正誤判断は皆さまに委ねますが、“弱い者いじめ”が性に合わない筆者といたしましては、以下の3点を触れるに留めておきます。
1)米国債で100万円を運用!?(←“円建て”で元本保証?)
2)“払った金額の「1.2倍に増える」と説明され”(←事実なら募集説明がアウト)
3)電卓の使い方(←アクチュアリー試験対策に有効!)
なお、記事の執筆者はCPAも取得されているようですので、単に、どこかの保険会社・銀行の“回し者”ではないことを祈るばかりです。
https://gentosha-go.com/articles/-/56279
5.何年満期?
日銀による政策転換で、10年国債応募者利回りなどの市場金利が上昇基調にありますが、生命保険商品の営業保険料に用いる「予定利率」もついに「1%」時代が到来した模様です。
しかも、保険料払込方法が(一時払ではなく)平準払の商品でしたので、その驚きはさらに大きなものとなりました。
アクチュアリーとしては“標準責任準備金の積立財源”が気になりますが、恐らく5年満期?(←ニュースリリースには保険期間が明記されておりませんでしたので単なる推測です)なので、それほど大きな負担が長期間にわたって続かないことも奏功したのかもしれません。
学資保険(こども保険)の返戻率競争など、いよいよ本格的な金利上昇基調に突入した感がありますね。
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=1&n_m_code=123&ng=DGXZQOUB066TF0W3A201C2000000
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2023/pdf/20231207_01.pdf
6.年末調整の記入欄
銀行や保険会社などの金融機関では、合併がある度に“新社名”が話題になります。
単に旧社名をつなげただけのケースも少なくないのですが、結婚で名字が変わるような単純な世界ではなく、合併前の社名にも当日経営陣の“強い思い”が込められている場合もあり、なかなか社名変更に動けないケースもありそうですね。
「年調(=年末調整)のこの欄いつも無理あると思ってる」、「保険会社合併のたびに全部の名前残そうとするのやめろ」という投稿で“一枚の写真”がバズっています。年末調整に必要な書類のようですが、「保険会社等の名称」の欄には、「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」の文字(=18文字!)がピッタリ記入されています。
“太陽神戸三井銀行”が懐かしい!
https://limo.media/articles/-/49575
7.生命保険料控除
“めがね増税”は、いつぞやの冬季五輪の“メガネ先輩”に次ぐ流行語かもしれませんが、増税あれば減税あり、という感じで納税者の納得感を得るために、生命保険料控除が一役果たしそうです。
具体的には、少子化対策を兼ねた「子育て世帯」に手厚く“控除額上限の引上げ”が政府・与党で検討に入った模様です。
ただし、控除額の拡大は、“扶養する子どもがいる場合”に限られるようですので、“遍く平等に”ではなさそうですが。
なお、金融庁からは、「将来の遺族の生活費や子どもの教育費用への備えとして重要」だとのコメントが出されたようですので、官民一体となって少子化に歯止めをかける姿勢は、納税者・有権者の一人として大いに期待したいところです。
2024年6月の所得減税と併せて、これを契機に生命保険の販売状況も好転するといいですね。
https://www.asahi.com/articles/ASRD4658HRD4ULFA00Z.html?iref=comtop_7_04
8.都道府県ごとに異なる?
保険業法の“体系”について、保険会社にお勤めの方であれば、「保険業法」-「同法施行令」-「同法施行規則」-「告示」・「監督指針」といった一連の流れはご存じだろうと思います。
同様に、道路交通法に関しても、例えば、「島根県道路交通法施行細則」というように根拠法の下に法令などが“ぶらさがっている”模様です。
しかし、ここで気になることは、「道路交通法施行細則」の名称に「都道府県名」が含まれることです。実際、本件記事によれば、
1)片耳イヤホン、骨伝導イヤホンであっても、規定に該当するような使用は禁止
2)交通違反になるかどうかは、各都道府県によって異なる
というようですが、2つ目は何とも納得し難い気もします。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/bss/881851?display=1
9.業務時間外でも職場と連絡取るべき?
“昭和(世代)の常識は平成(世代)の非常識”というフレーズを10数年前にチラホラと見かけましたが、今は、“平成の常識は令和の非常識。昭和の常識は令和の恥。”というのが“常識”かもしれませんね。(https://note.com/thirty3/n/n833e3bd26c10)
筆者が新人の頃、先輩アクチュアリーの上司から日曜日の午後に電話が自宅にかかってきて、週明けの役員会資料について色々と質問されることが多かったそうです。(←個人的には月曜日の資料について前日に聞くな!と思いましたが、絶対にそのようなことが言えない雰囲気ではありましたが。。。)
欧州では「つながらない権利」の法制化が進んでいるようで、スマートフォン普及でいつでも手軽に連絡を取れるようになることを目指した人類が、全く真逆の世界に憧れるという“(ないものねだりではなく)あるもの強請り!”
記事によれば、2000年に携帯電話とPHSの契約者数が固定電話を上回ったようですが、その一方で、業務時間外の連絡に関する社内規則がある企業が、なんと3割にのぼったそうです。
36協定など、労基署の目が光っているようにも思うのですが。。。
2016年に世界で初めて「つながらない権利」を法制化したフランスでは、通信機器の使用規制など、同権利の実現方法を労使交渉のテーマに入れることが義務づけられたそうです。
なお、青山学院大の細川良教授(労働法)からの、「休暇を重視するフランスでさえ、スマホがもたらした利便性の波にのまれた。休息の質と量をいかに確保するかが問われる時代になっている。」というコメントが印象的でした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231211-OYT1T50243/
10.思い描いた画像を生成AIで復元!?
シンギュラリティ(技術的特異点)とは、人間の脳と同レベルのAIが誕生する時点を表す言葉ですが、その前兆ともいえるニュースが発表されました。
具体的には、量子科学技術研究開発機構(QST)などの研究チームが、生成AI(人工知能)を活用して、“頭の中で思い描いた画像”をある程度まで復元することに世界で初めて成功された模様です。
特に、風景や複雑な図形など思い浮かべたあらゆる画像の復元が可能なようで、QSTの研究員曰く「初めて人類が他人の頭の中をのぞき込んだ記念碑的な成果」とのことです。
ただし、その利用方法を一歩でも誤れば、他人に知られたくない秘密などを頭の中に思い浮かべるだけで、暗証番号やパスワードなどが瞬時に抜き取られる事態になりかねません。
「他人の頭の中をのぞき込む」ことの代償として、多大な犠牲を払う事態にならないことを切に願うばかりです。
https://mainichi.jp/articles/20231129/k00/00m/040/370000c
いかがでしたか。2023年12月のアクチュアリー試験も終了し、新たな気持ちで新年を迎える方々も多いと思います。
公益財団法人日本漢字能力検定協会による2023年の「今年の漢字」は2014年に続いて2回目の「税」でした。2024年はその「税」について、パーティー券キックバック、防衛費・消費税の増加および保険料控除拡充など、引き続き「税」を取り巻くニュースが豊富な1年になりそうですね。
(ペンネーム:活用算方)