いよいよ2024年がスタートしました。閏年ですね。
好景気、地政学リスク、新型コロナ、自然災害などの“禍(災い)”がなければ、(賄賂のない)オリンピック景気に沸く華やかで賑やかな1年になりそうです。しかし、現実はどうなるでしょうか。
そこで、今回のコラムでは、浅学菲才を顧みず、今年起こることや起こりそうなことを大胆に予想してみようと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.保険会社の統合
金融庁ホームページによれば、2023年(令和5年)6月26日時点で、生命保険会社免許を有する日本の会社は42社あります。
一方、2023年7月27日のニュースリリースによれば、2024年4月に生命保険会社2社が合併(存続会社は親会社)される模様です。
被合併会社の営業開始は2008年4月ですので、ちょうど16年の営業活動に一区切りといった感じですね。なお、同時期に営業開始された、同じく「ネット系生保」であるもう1社との格差なども経済紙などで話題になりましたが、“業界事情通”曰く、“テレビ東京のカンブリア宮殿”に、社長・副社長の出演を契機に、「ネット系生保」の格差が拡大したとも言われています。
目に見えない商品を販売する保険会社にとって、“IR/広報戦略の大切さ”を痛感する出来事と言えるかもしれません。
なお、生命保険子会社としてのジレンマ(例.親子間で類似商品の販売抑制など)や社名変更(旧ネクスティア生命)による損害保険会社との誤認防止など、様々な課題が発見されたことは、会社の存在意義であったといえるでしょう。
2.ドライラン
いよいよ2026年3月期決算から、ESR(経済価値ベースのソルベンシー規制)が導入されますが、各保険会社におかれましても、コンサルティング会社などを活用しながら着々と準備が進んでいるように思います。
筆者の勤務先でも担当部門がコンサルティング会社と協力しながら毎週定例ミーティングを行っている状況ですが、先日のミーティングで、“ドライラン”という言葉を先方から説明いただけました。
直訳すると“乾いた走り!?”という感じかもしれませんが、実は、“消防署の専門用語”が由来になっている模様です。
まさに、“放水せずに”本番にむけたリハーサルを行うことは、“乾燥したままの予行演習”という感じがしますね。
個人的には毎年6月末に公開される金融庁レポート(例.経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する基準の最終化に向けた検討状況など)を熟読することがとても楽しかったのですが、実務担当者の方々のご苦労に応えるべく、正会員の端くれとしても、ますます自己研鑽などに磨きをかけねば!と新たな決意表明を心に抱く今日この頃です。
なお、普段の仕事でも大変お世話になっている、ニッセイ基礎研究所の中村亮一先生からも、『ソルベンシー規制の国際動向〔改訂版〕』が保険毎日新聞社から刊行されておりますので、このコラムが公開される頃には、炬燵に入ってゆっくりと拝読する日々が続いているように思います。
3.米国大統領選
オリンピック同様、4年に一度の世界規模での一大イベントとしては、やはり、アメリカ大統領選挙でしょう。
既に水面下(!?)では候補者選びの段階で様々なスキャンダルなどが報じられているようですが、“バイデン氏vsトランプ氏”の再戦が実現するかどうかが注目されますね。
個人的には、トランプ氏の政策実行能力はズバ抜けて高いように思いますが、様々なスキャンダル(特に、女性問題!)にメゲナイ“強固なメンタル”は大いに見習いたいと思います。
歴史に“たられば”はありませんが、もし、トランプ氏があのまま大統領を続けていれば、果たしてウクライナ、中東情勢がどういう展開を迎えていたのか、愛読書である“ゴルゴ13”で是非、空想していただけたら嬉しいです。
4.自民党総裁選
一連の“裏金、キックバック”といった政治資金スキャンダルは、国会議員による派閥からの離脱や地方議員への波及など、“令和版リクルート事件”と評されることもあるようです。
アメリカ大統領選挙(2024年11月5日(火))と自民党総裁選挙(2024年9月任期満了)が同じ年に開催されることも不思議なご縁を感じますが、誰が総裁になるかよりも、一連のスキャンダルで次の国政選挙(例.2025年7月28日参議院任期満了など)でも本当に勝てるのか?という視点で、有権者にどのようにアピールするか手腕が問われることになりそうです。
それにしても、先日の名古屋市長記者会見は久々の傑作でした。特に、16分26秒付近から始まる「今年の漢字」の流れはプレゼンのお手本ともいうべき、練りに練った“ネタ”が張り巡らされた素晴らしい内容でしたので、中国地方で同じく市長と地方紙のバトルで有名になった動画に負けないくらいのインパクトでした。
以前、金メダル持参で市長を表敬訪問された選手の目前でメダルに嚙みついた事件を見たときは、吉本新喜劇で故・岡八郎師匠の“えげつな~”のギャグを思い出しましたが、市長にとっては、日本保守党の結党記者会見以降、追い風が吹いている感じがしました。うまく時流に乗って選挙でも大勝できるか、大いに注目されるところですね。
5.富士山噴火
10年くらい前に、某再保険会社のプレゼンテーションに参加したのですが、その際、世界の大地震後10年以内に大規模な噴火が発生しているとのことでした。
東日本大震災から13年目を迎える2024年は、まだまだ“大地震後10年以内”と考えてよいかもしれません。
ちなみに、2023年11月には、テレビ朝日系列で、富士山噴火に関する番組が放映される動きもありましたが、非常に気になりますね。
https://www.asahi.com/articles/ASRCS64RGRCRUCVL01X.html
なお、東日本大震災の4日後には富士山周辺で大きな地震(震度6強)が起きたり、平安時代までは富士山の噴火が多かったものの1707年までは3回しか噴火していないなど、不気味な動きも気になります。
山梨銀行という立地条件がこのような情報を公開されるのも興味深いところですね。
https://www.yamanashibank.co.jp/fuji_note/life/fujisan-funka.html#:~:text=%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F-,%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%AD%E3%80%82,%E3%81%A8%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%B3%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
6.再来年以降のイベント
“来年の事を言えば鬼が笑う”という諺がありますが、鬼に笑われる覚悟で、再来年以降のイベントにも触れましょう。
まずは、なんといっても“大阪万博(2025年)”が来年の大目玉イベントですね。オリンピックと同様に、1970年に大阪で万博が開催されましたが、国民的アニメのサザエさんで、タラちゃんがこの万博で迷子になったという漫才ネタも一世風靡した記憶もあります。
次に、アクチュアリーとしては“国際アクチュアリー会議(2026年)”もオリンピック同様、2回目の東京開催のということで、大げさな言い方をすれば、アクチュアリー人生において一生に一度出会えるかの大チャンスです。日本アクチュアリー会から“論文執筆支援セミナー「ICA2023全論文紹介~ICA2026に向けて~」”もご案内されていますので、“国際アクチュアリー会議(2026年)”の機運もますます高まってきますね。
なお、1回目の東京開催(1976年)からちょうど50年ぶりの開催となりますが、当時は、開会式に当時の皇太子ご夫妻および大蔵大臣にご臨席を賜り、世界44ヵ国から2,200余名が参加され大成功を収めた模様です。
(https://www.actuaries.jp/info/20161122.html)
また、30年前に生命保険会社に入社した頃、先輩アクチュアリーから譲りうけた“赤い表紙”の『アクチュアリーおよび関連保険用語集(昭和51年7月7日発行)非売品』も、東京開催(1976年)に向けて刊行されたようでして、翻訳ソフトはもちろん、個人向けパソコンやスマホなどがなかった時代の先人たちの努力と知恵の結晶に触れられるのは大変ありがたいことです。
ちなみに、当該書籍は、日英に加えて、ドイツ語とフランス語の訳語もあるため、転職後にドイツ系企業とフランス系企業に入社した際は大変重宝しました。感謝!!
最後は、リニア開通(2028年延期?)ですが、様々な政治的思惑などの影響で、すんなりとは進まないようです。
筆者の生存中に、“リニアで品川から名古屋に行き、味噌カツを食べて、夢洲でカジノ、帰りはスッカラカンにボロ負けして、青春18きっぷでのんびり帰京”が実現できる日が来ることを心待ちにする日々が続きます。
いかがでしたか。筆者はあと数年で還暦を迎えますが、社会人生活、特にアクチュアリーとしての集大成ともいえるこの時期に様々なイベントに接することができ、本当に有難く感じます。2024年も皆さまにとって良い年になることを祈念いたしております。
(ペンネーム:活用算方)