いよいよ待望の夏休みシーズンの到来ですが、「夏を制する者は受験を制する」と言われるほど、夏バテに注意しながら試験本番まで果敢にチャレンジする姿は、アクチュアリー試験に挑む受験生にも当てはまるかもしれませんね。
そこで、今回のコラムでは、筆者自身がアクチュアリー試験にチャレンジしていた頃の思い出を交えながら、受験勉強に効果的な夏休みの過ごし方をご紹介いたしましょう。
1.生活のリズムを崩さない
大学生の頃は、卒業が近くなるほど取得単位数が増え、平日の休みも多くなり、結果的に土日祝日の“有難さ”をついつい忘れがちでしたが、逆に、社会人1年目は土日がとても待ち遠しく、ましてや夏休み(1週間)の“有難さ”を身に染みて感じました。
しかし、普段の仕事(残業)で疲れてしまい、ついつい飲酒しながら翌日のお昼頃まで寝てしまい、貴重な週末を無駄に過ごすこともしばしばありました。
7時に起床、8時に家を出て、9時に出勤というスケジュールで仕事をしている方であれば、たとえ夏休み中であっても、決してそのリズムを崩さないようにすることが、何といっても学習時間を確保するための最大の『秘訣』ですね!
2.試験本番のスケジュールを意識する
2022年度は、1日1科目ペースで試験が行われましたが、今年は3日目(水曜日)に午前午後の2科目が開催されることとなりました。
いずれにせよ、10時から3時間、14時30分から3時間というスケジュールは変更がないようですので、例えば、受験科目に合わせて10時または14時30分から3時間は勉強に専念し、トイレ休憩もなるべく我慢してどこまで耐えられるかをテストしてみるのもよいかもしれません。
流石に、水分補給なしというのは、熱中症予防の観点からやりすぎかもしれませんが、ある程度空調の効いた場所であれば、水分補給なしで3時間集中できるかも試す価値があるかもしれませんね。
3.最初の3日間を大事に
始まる曜日が平日か休日に関係なく、とにかく最初の3日間を学習計画通りに実行できれば、夏休み後半のスケジュールも上手くいくことでしょう。
逆に、(気合を入れすぎて)初日はうまくいったものの、2日目からスケジュール通りに進まないことも(特に自分の場合には)よくあります。
このため、例えば、最初の3日間は比較的やさしめの課題に取り組むように内容を調整し、難しめの課題は後半に回すようにすれば、スムーズな1週間が過ごせるようにも思います。
4.午前と午後で場所を変える
独身寮などで一人になれる部屋をお持ちの場合でも、ずっと同じ場所で“缶詰状態”で学習を続けても、思うように学習が捗らないことが往々にしてあります。
また、一人になれる空間だからこそ、テレビや漫画本など、様々な誘惑が学習環境の阻害要因となることもあります。
そこでおススメしたいのが、午前と午後で学習する場所を変えてみるということです。
例えば、午前中は自宅などで過ごして、そのままランチを外食しに行き、午後はファミレスなどで過ごすというものです。
食後のコーヒーだけで何倍もお替りしながら店内で過ごすことに限界があるかもしれませんので、その場合は図書館など、一人になっても長時間居座れる空間を探すほうがベターかもしれません。
特に、平日であれば、図書館も比較的空いているように思えますので、大学入試に向けて熱心に学習する若者たちから、良い刺激を得るチャンスにもなりそうですね。
5.疲れたときの気分転換(CBT体験版、単語検索)
流石に3時間ぶっ通しで勉強すれば相当の疲れが溜まりそうですが、そんな時こそ気分転換が重要になりますね。
例えば、昨年からスタートしたCBT方式になれるために、日本アクチュアリー会ホームページで体験できる同方式の体験版に触れてみたり、同じく生命保険協会ホームページにある同方式の体験版にも触れて、アクチュアリー会の仕様との違いなどを見つけてみるのも良い気分転換になりそうですね。
もちろん、自宅周辺をゆっくりと歩きながら学習内容を振り返ってみたり、あえて、通勤経路と反対の方向に歩いてみることで自宅近くでの新たな発見があるかもしれません。
社会人経験が長引くほど、ついつい家と駅の往復になりがちな生活パターンを、夏休みを利用していい意味で覆してみるのも非常に有益でしょう。
6.最終日にご褒美デー
まとまった学習時間を確保することも、もちろん大切ではありますが、一方で社会人としてゆっくりと体を休めることも、夏休み明けからの仕事に励むためには重要なスケジュールです。
そこでおすすめなのが、夏休みの最終日を「ご褒美の日」として丸一日空けておいて、もし、最初の6日間を計画通りに過ごすことができれば最終日を自由に使えるようにされると良いでしょう。
あるいは、土曜日から次の次の日曜日まで連続して9日間の夏休みが取得できる場合には、最後の週末を「ご褒美の日」にして泊りがけで小旅行に行くことも有意義な夏休みを過ごす秘訣となるかもしれません。
なお、筆者の経験上、数学の問題は解ければ解けるほど、加速度的に楽しみが増幅するので、わざわざ「ご褒美の日」を設けずとも、問題を解けるようになることが、最高の「ご褒美」と感じることができれば、その科目は間違いなく合格レベルに達しているように感じます。まさに、“攻撃は最大の防御”ですね!
7.キャリアの棚卸し(履歴書、職務経歴書、英文レジュメ)
最後に試験勉強と異なる時間の過ごし方をご紹介します。
具体的には、これまでの人生を振り返りながら、自分自分のキャリアを棚卸しして、履歴書などをブラッシュアップする時間に夏休みの(一部)を充当してみるのもよいでしょう。
特に、高度な金融資格としてアクチュアリーの認知度も日に日に高まってきていますし、保険や年金以外のリスク管理・データ分析など、様々な場面でアクチュアリー的思考回路が重宝されますので、思い切ってヘッドハンターなどに今後のキャリアプランを相談する機会とされてもよいでしょう。
また、英語力に磨きをかけて外資系企業や海外勤務への就転職を考えていらっしゃる場合には、「英文レジュメ」が必須アイテムとなります。ネット上で「ひな形」などのサンプルも公開されていますので、併せて気分転換の1つとしてネットサーフィンを楽しむくらいの心の余裕があると尚良いでしょう。
いかがでしたか。“あさま山荘事件”を仕切った、危機管理評論家の故・佐々淳行氏がテレビ出演された際、目の前に水が半分入ったコップを指さしながら、「平時の場合、半分しかないから気をつけろ。有事の場合、まだ半分あるから安心しろ。」とコメントされていたのがとても印象的です。多くの人は、有事になってから慌ててしまうことにある種の警鐘を鳴らしたようにも思えます。
アクチュアリー試験に置きかえれば、試験直前でなくとも合格するまで淡々と学習することの大切さを示唆されているようにも思えます。今年の試験本番まであと半年ですが、皆さんの心が「平時」であることを祈っております。
(ペンネーム:活用算方)