5月に引き続き6月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.主要生命保険会社の決算概要
主要保険会社に対する令和4年度(2022年度)決算概要が金融庁から公開(https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230616/01.pdf)されました。
特に、主要生命保険会社では、海外金利上昇で(一時払)外貨建て保険販売が好調で保険料等収入が増加したものの、新型コロナ関連の給付金増加等により基礎利益が大きく減少し、減益となった模様です。
なお、当該資料によれば、“令和4年9月期より基礎利益の算定方法について、為替に係るヘッジコストを基礎利益に含める等の改正を実施”とありますので、今年のアクチュアリー試験対策に有効かもしれません。また、毎年恒例のニッセイ基礎研究所の決算概要レポートも楽しみですね。
2.企業向け保険でカルテルの疑い
公正取引委員会のホームページによれば、「カルテル」とは、
“不当な取引制限であり、複数の企業が連絡を取り合い、本来、各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為”
のようです。
「共同保険契約」と聞くと、生命保険では「団体保険の共同引き受け」をイメージしますが、独禁法を考慮して、『再保険方式(幹事会社から非幹事会社へ出再)』が主流になっていると業界関係者から伺ったことがあります。
もっとも、団体保険の世界でも、個人保険と同様に「無配当保険」が浸透し、『単独引き受け(幹事会社のみ)』も多くなっているそうです。
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/230620_01.pdf
3.上乗せ金利なしのがん団信
団信に様々な保障(例.特定疾病罹患時に債務残高(一部)免除など)を付保する場合、当該保障のための「金利(=保険料)」を住宅ローン金利に上乗せするケースが多いようです。
しかし、債務残高を50%免除する「がん保障」「4疾病保障」を“上乗せ金利なし!”で提供する商品が登場した模様でして、ネット銀行初とのことです。
2000年頃、(当時の)「関西アーバン銀行」から「がん団信」が発売されましたが、“上乗せ金利なし!”で提供されていた記憶もあります。
いずれにせよ、“ネット生保/銀行のコラボ”の行く末が楽しみですね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000394.000026860.html
4.2か月続けて同じ記事を掲載!?
前回のコラム「2023年5月31日(水) 気になるニュース(2023年5月)」の「6.精神疾患経験者は生保に入れない?」で紹介した記事が、今月も掲載されている模様です。
似たような記事を立て続けに掲載する意図が不明ですが、報道機関としての“強固なジャーナリズム”が感じられますね。
https://mainichi.jp/articles/20230516/k00/00m/020/217000c
https://mainichi.jp/articles/20230607/ddm/008/020/088000c
5.「積立王子」の更迭!?
「●●王子」と聞くと、最近の若い世代は「青汁王子」を思い浮かべるかもしれません。筆者が駆け出しの頃、元NHKアナウンサーという異色の経歴を有するFP(ファイナンシャルプランナー)の岩城みずほ氏のセミナーで中野晴啓氏とお会いさせていただけました。
岩城氏のツイートが、何とも悲しい限りです。https://twitter.com/mizuho_iwaki/status/1664096964735287297
更迭理由は「販売戦略の違い」のようですが、“高い手数料を取る金融機関を通さず、顧客に直販するセゾン投信を中野会長が設立”という記事を見て、消費者寄りの経営者がまた一人、利益優先の経営陣に退場させられたと感じます。
なお、無料会員向けの、“採算を不安視する親会社内で林野宏会長は「正しいことをやろうとして…”の続きがとても気になります。
https://www.nikkei.com/nkd/industry/article/?DisplayType=2&n_m_code=126&ng=DGKKZO72140380T20C23A6EA1000
6.6700万円の損害賠償請求
敢えて、一言だけ。
“謝って済んだら警察はいらん。反省はサルでもできる”
https://www.news-postseven.com/archives/20230609_1877639.html?DETAIL
7.原発高依存国での大地震
フランスで大きな地震が起こりました。
https://www.bbc.com/japanese/65942008
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)や東日本大震災など、最近の日本では「マグニチュード5クラス」の地震が来ても、“慣れっこ”になっている感があります。
フランスは、電力の原発依存度が70%近くある国であるため、日本の原発行政で常に比較される国の代表格ですね。
なお、“異例のM5超の地震”とのことですが、「マグニチュード5」クラスの地震でも「震度5強」の震度が記録されるため、「マグニチュード」と「震度」の両者に注意する必要がありそうです。
https://www.duma.co.jp/blank-4#:~:text=%E3%80%8C%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%895%E3%80%8D%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%9C%B0%E9%9C%87,%E9%9C%87%E5%BA%A6%E3%81%AF%E8%A8%98%E9%8C%B2%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
8.会社独自の AI チャットボット
マニュアルや保険商品約款等を AI に学習させることで、社内照会に対して自動回答するシステムが構築される模様です。
特に、約款を学習できるようになれば、新商品開発などにおいても、内容に不備がないかどうかをAIが自動チェックする仕掛けも十分可能なようにも思います。
なお、生命保険会社での社内業務では、個人情報や社内機密情報のオンパレードであり、決して外部漏洩があってはなりませんが、独自のセキュアな環境で構築されている点は非常に安心できますね。
https://www.asahi-life.co.jp/company/newsrelease/20230622.pdf
9.転職支援の税制改正
これまで10回近くの転職経験者として、転職の都度、給与(時給)が上昇することは大変ありがたいものの、その一方で「退職金の積み立てがゼロクリア」されてしまう点が悩ましいところでした。
「新しい資本主義」実行計画の柱の一つとして「退職所得課税の見直し」が掲げられているようで、具体的には、“同じ会社に長期間勤務すると、より手厚い税優遇を受けられる仕組み”の是正を目指すとのことです。
なお、最初の転職時に、“たとえ転職しなくても、今の会社の退職金がどこまで保証されるか不透明だから、転職できる状態に自分のポジションを置いておくこともこれからの時代、有効かもしれないなあ”という同僚の送別会での“お言葉”がとても印象的でした。
“30代の5.6人に1人、20代でも8人に1人が確定拠出年金に加入”とのことですので、年金の“ポータビリティ”が転職しやすい環境を誘発するかもしれませんね。
https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/158.html
岸田総理が仰る「リスキリング」政策にも注目されますね!
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71680080W3A600C2EP0000/
10.Z世代
“あの新入社員はなぜ歓迎会に参加しないのか”というキャッチーな見出しのレポートが公開されました。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=75058?site=nli
新型コロナによる在宅勤務が定着しつつある中、一定世代以上では、未だに“飲みにケーション崇拝群団”と言える方々が、「管理職」の肩書だけを頼りに(失礼!!)部下や新人との“ネンゴロナ”コミュニケーションに勤しんでいる光景がみられるようです。
ちなみに、Z世代という用語ですが、その「祖先」としては、X世代やY世代という用語もあるようでして、具体的なランク分けは、以下のレポートが詳しいです。(1961年以降生まれを“新人類”と呼ぶのが微笑ましいですが。)
https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/149.html
幸い、2000年頃に英語を独学していた筆者は、NHKのラジオ英語講座(やさしいビジネス英語)で、「ジェネレーションX」という用語を初めて耳にしました。
偶然、同講座テキストの誤植(保険料を保険金と訳し違い)を発見し、恐る恐る杉田敏先生にメールを差し上げたところ、丁寧なご返信をいただけたことが貴重な思い出となっています。
なお、2020年度に杉田先生は引退された模様ですが、先生のお声を無料で拝聴できる環境が整っているようですので、これを機に、英語学習を再開しようと考えています。(語源をマスターして1万語の英単語習得が目標です!)
いかがでしたか。2023年6月24日(土)午後9時30分から、NHK(Eテレ)で「笑わない数学 ガロア理論(再放送)」を拝見しました。特に、三次方程式の3つの解の入れ替え6通り(=3の階乗)を、正三角形の「回転(3次の巡回置換)」および「裏返し(互換)」で説明する部分がとても分かり易くて秀逸でした。
また、2つの(有理)整数解をもつ二次方程式を、わざわざ「解の公式」を用いて、√1=1という性質から整数解を導く過程は微笑ましかったです(失礼!)。小山信也先生の監修で、素晴らしい数学番組が世に送り出されたことを、数学者出身の一人として喜ばしく感じた6月でした。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2022122546SA000/?np_banID=top_nw_m_122546
(ペンネーム:活用算方)