このコラムを執筆しているのは6月ですが、6月といえば決算作業のうち主要な部分がひと段落して、残すは、決算状況表およびディスクロージャー資料のみという会社が多いように思います。
また、6月は新年度の第1四半期決算時期であるため、新旧年度の決算作業が同時並行する特殊な時期でもありますね。
一方、商品開発系のアクチュアリーでは、金融庁の事務年度が6月末で一区切りとなるため、商品認可折衝業務も一区切りする時期であるため、ご自身のキャリア・アップに向けて、転職活動を含めた「身の処し方」について色々と考える方も少なくないように思います。
そこで、今回のコラムでは、これまで数十名の若手アクチュアリーの方々における進路相談に関わってきた経験を踏まえて、様々なお悩みとそれらの対処方法について幾つかご紹介できればと思います。
1.正会員になる前
研究会員にとっては準会員を、また、準会員にとっては正会員になることを最優先の目標にすべきですね。
少し話がそれますが、1991年に教育実習で高校に2週間ほど滞在しましたが、当時の担任から非常に興味深い話をお伺いできました。
具体的には、「学級崩壊が起こる理由は分かる?」というものでして、今思えば、一種の“口頭試問”だったように思えます。
正直に、「分かりません。」と答えると、「児童・生徒に『自信』がないからよ。」と教えていただけました。
まさに、“目からウロコ”であり、このことはソックリそのまま、研究会員や準会員に当てはまるような気がします。
つまり、一日も早く正会員になることを目指す必要があり、たとえ、職場の人間関係や仕事内容に悩んでいても、“正会員になって、トットトこんな会社は辞めてやる!”という意気込みで日々を過ごすことが唯一の解決策だと考えられますね。
なお、1991年は、雲仙普賢岳の噴火で「火砕流」という言葉が新聞などを賑わし、東京ラブストーリーなどの「月9」の隆盛期でもありました。バブル崩壊直後でしたが、振り返ってみると、それほど悪い時代でもなかったように思います。
2.正会員になった後
アクチュアリーの転職時に必要なスキル・キャリアの一例として、
“20代研究会員以上、30代準会員以上、40代正会員かつ管理職経験”
を複数のヘッドハンターからお伺いしたことがあります。
もちろん、絶対的な条件、つまり、これらの条件を満たさなければ転職できないというわけではないようですが、採用元からすれば“望ましい条件”であることに変わりはないようです。
したがって、無事に正会員になった暁には、管理職として部下の育成・指導経験をできるだけ増やすことが、自らをより良いポジションに据える秘訣といえるかもしれませんね。
ただし、あくまでも一般論ではありますが、アクチュアリー(特に正会員)には、割と“気難しく、偏屈な人”が多いのも、残念ながら事実のようですので、きちんと相手の目をみながら、先輩・後輩にやさしく接することができる「正会員」という条件に当てはまる「正会員」は意外と少ないようにも思います。
論語でいうところの、「仁(=思いやりの心)」の大切さは、2500年経過しても、人類普遍の“倖せになるためのルール”と言えるでしょう。
なお、幸い、正会員になるための“講座”が幾つか用意されているようですので、特に、準会員の期間が長い方々は、“時間はお金で買える”ことを実践してみてもよいかもしれませんね。
3.相談窓口
YouTubeなどでも有名な「テレフォン人生相談」をご存知でしょうか?
人間関係から相続問題まで、身近な問題について弁護士や医師などの専門家から、あらゆる角度で回答がなされる貴重な無料相談の1つです。
筆者もこれまで、100以上のコンテンツを拝見しましたが、アクチュアリーに関する相談はありませんでした。
もちろん、匿名での相談が可能ですので、アクチュアリーに関する「お悩み」があれば、専門家からのアドバイスを頼るのも1つの方法かもしれませんね。
いかがでしたか。決算部門や商品開発部門に所属するアクチュアリーとしては、4月よりも7月の方が「新年度」が始まる意識が強いかもしれません。転職の意思の有無にかかわらず、ご自身のこれまでのキャリアを振り返りながら、将来のビジョンに思いをはせることも時には必要なことかもしれませんね。
悩むことは、自分自身と真剣に向き合っていることの「証(あかし)」であると前向きにとらえ、意欲的・主体的に行動することを心がければ、必ず明るい未来が待っていることでしょう。
(ペンネーム:活用算方)