3月に引き続き4月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.超過死亡、11万3千人
厚生労働省の『人口動態統計月報(概数)』において、特に、6ページ(資料上は4ページ)の「死亡数の前年同月比較」グラフは業界関係者を毎月ハラハラさせていたかもしれません。
2022年に「超過死亡(=死者数が例年の水準をどれだけ上回ったか)」が、最大で約11万3千人との推計を国立感染症研究所等が明らかにした模様です。新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があるとのことですが、それ以外には考えにくいですね。
幸い、保険業界では、いわゆる“みなし入院”に関する約款上の取り扱いを、昨年9月下旬から改定済みですので、今後の保険金・給付金はある程度、抑制されるものと見込まれます。
東日本大震災でも、死者・行方不明者を合わせて約2万人ですので、この「超過死亡」の最大数がいかに大きな数字であるかが伺えますね。
2.情報漏洩(その1)
上述の通り、今月は不正アクセス等による情報漏洩のニュースが目立ちました。
転職情報サイト「エン転職」で、約26万人分の履歴書が漏えいした可能性があるようですが、既往症等の機微情報と同様、履歴書内容も極めて重大な個人情報の1つと言えるでしょう。
なお、“迷惑料”として1件当たり500円が相場のようですが、26万人×500円で1億円を軽く超える賠償金が発生するかもしれませんね。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/30/news202.html
3.情報漏洩(その2)
NTTドコモで、なんと、最大529万件の顧客情報が流出した恐れがある模様です。
委託先企業の業務用パソコンからの流出のようで、契約者氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日等の個人情報が対象となった模様です。
さらに、解約者の情報も含まれているようですので、その影響は広範囲に波及することが必至のようです。幸い、クレジットカードなどの決済関連情報は含まれていないようですので、最悪の事態はなんとか回避できるかもしれません。
また、フレッツ光の一部で通信障害も発生した模様です。「ひかり電話」も使えず、110番等の緊急通報もできない状況とのことですので、最小限の影響に留まることを期待するしかないですね。
https://www.asahi.com/articles/ASR433366R43ULFA007.html?iref=comtop_7_03
4.社会人のマナー?
時節柄、新社会人が勤務先の(独特の)ルールに初めて接して、戸惑う方々もいらっしゃる時期かもしれません。
いわゆる、ゆとり世代やZ世代等の方々にとっては、“ブラック企業”とみられるかもしれませんが、「新人は定時で帰るべきではない」「帰る前に『何か手伝うことはあるか?』と聞くべき」という“都市伝説”が広まっている模様です。
実際、当方が社会人デビューした30年前は、4月末に商品開発部門に配属されましたが、配属初日から残業を強いられ、独身寮に帰宅したのは深夜でした。また、丁度、保険業法の改正案が出回っている頃でしたので、GW中も寮に籠って、同改正案と格闘しておりました。“資金援助法人”という単語(→保険契約者保護基金(←現在の保険契約者保護機構の前身))は今でも脳裏に焼き付いています。
なお、2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられる模様ですので、労働環境としては(多少の)改善基調であることに変わりはないのかもしれませんね。
https://financial-field.com/household/entry-195377
5.「ノー残業デー」を廃止
一瞬、タイトルを見て、“えっ!ブラック企業に逆戻り?”と早合点してしまいましたが、フレックスタイム制が定着したため、「定時退社」という概念自体が合わなくなってきたことが原因のようです。
ホンダでは、毎週水曜と隔週金曜に午後5時の退社を推奨していた模様ですが、筆者も、「国家公務員」時代には、毎週水曜日と金曜日が「ノー残業デー」に指定され、18時15分に定時退庁していた経験があります。
多様な働き方をどこまで認めていくのかは、なかなか悩ましいテーマですが、これを機に、ワークライフバランスがより一層、進展することを期待したいですね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230401-OYT1T50064/
6.リモート勤務で海外業務
新型コロナの影響で、筆者も2年近く在宅勤務が続いていますが、ついに、国内に居ながら(=海外赴任せず)リモート勤務で海外現地法人の業務に従事できる新制度が三菱電機で導入された模様です。
AIの出現で、いわゆる“語学の壁”は、かなり撤廃されたように言われていますが、そもそも、IT技術の得意とする、「場所を問わない」、「時間を問わない」、「言語を問わない」といった側面を最大限活用すれば、十分、実用に耐えうるレベルまで到達しているという証左と言えそうですね。
また、いわゆる“逆輸入”の形で、“海外子会社の社員を東京本社の業務に起用”も想定されている模様です。
子育てや介護など物理的に居住地を離れられないけれども、遠隔地でスキルアップを図り、優秀な人材を確保したいという、従業員側および企業側のニーズにマッチする制度になることを祈りたいですね。
https://dempa-digital.com/article/424518
7.AI開発停止
テスラやツイッター等で有名な米実業家のイーロン・マスク氏らが発表された「AI開発停止要請の公開書簡」について、米マイクロソフト創業者で慈善活動家のビル・ゲイツ氏が、“問題解決にはならない”との見解を示されました。
具体的には、世界中で開発を停止するのは難しく、AI開発の最善の利用法に集中する方が得策とのご見解のようです。
後述の「ChatGPT」等、生成AI(画像、文章、音声、プログラムコード、構造化データなどさまざまなコンテンツを生成することのできる人工知能)と呼ばれる分野の成長が極めて著しく、恐らく、その流れは、最早誰にも止められないように思います。
入学試験や資格試験、読書感想文や論文執筆等、ありとあらゆる分野での応用が期待される反面、使い方を一歩でも誤れば、人類の存在そのものを脅かす“凶器”となりかねないAI技術ですが、既に、シンギュラリティを迎えているのかもしれませんね。
https://jp.reuters.com/article/elonmusk-ai-gates-idJPKBN2W11VH
一方、架空記事で解雇されたドイツの週刊誌編集長も登場しました。文字を書くことを生業としている編集のプロが“足で情報源を稼ぐこと”を放棄することは、やはり、プロとして失格と言わざるを得ませんね。
https://www.bbc.com/japanese/65364049
8.無断で複製?
「道義に反することが起きた」ことをきっかけとして、米国アーティストらが提訴に乗り出した模様です。判決次第では、企業のAI開発や、音楽など他の創作活動に関わるデータの扱いにも影響する可能性があるようですので、上述の“AI開発停止”の流れが加速するかもしれません。
一方、生成AIの開発者からは、“すでにネット上にある画像や文章など膨大なデータを集めているに過ぎない”という趣旨の反論が聞こえてきそうです。
なお、個人情報保護法等で登場する「オプトアウト」の対応について、アーティストが希望すれば(AIの学習用に収集する)作品を除外できるようです。
公開情報にどこまで“著作権”を認めるべきか、まさに、ネット社会ならではの課題と言えそうですね。
https://www.asahi.com/articles/ASR4D6DT3R4CUHBI01T.html?iref=comtop_ThemeLeftS_03
9.訃報(その1)
YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)は、80年代の音楽シーンを代表するテクノブームの中心的役割を果たしたことは異論のないことと思います。
また、脱原発活動等、晩年は政治的活動にも注力された坂本龍一さんが逝去されました。
実は、筆者の高校の先輩でもある塩崎恭久元官房長官が、同じ都立新宿高校で坂本龍一さんと親交があったようで、制服、制帽や通信簿の廃止等を求めて校長室を占拠したエピソードもあるようです。
校内とはいえ、校長室の占拠は不適切な行動とみなされるかもしれませんが、農水大臣の回顧(不適正募集の黙認)に比べると、遥かにマシな行動のように感じられます。合掌。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202304030000010.html
10.訃報(その2)
「ムツゴロウさん」の愛称で親しまれた畑正憲さんも逝去されました。
“お前は生物が得意だから「生物」を選択して大学合格は当たり前だな!”と知人から指摘され、“そこまで言うなら「化学」で受験してやる!!”と「ムツゴロウさん」が豪語されたエピソードを、高校時代に友人から聞かされました。
選択科目を変えても、東大(理学部)に合格するレベルとは、並々ならぬ努力をされたのだろうと推測されます。
なお、大のマージャン好きで、プロ級の腕前を武器に、日本プロマージャン連盟の最高顧問を務められていたのが、何とも微笑ましい限りです。合掌。
いかがでしたか。4年に一度の統一地方選や衆参補欠選挙など、選挙一色の月でしたね。いよいよ新年度がスタートしましたが、新社会人の方々にとっても素晴らしい1年となることを祈念いたしております。
(ペンネーム:活用算方)