2月に引き続き3月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、今回は記事の数が多いため、コメント内容がいつもよりも少量となる点を何卒ご容赦ください。
また、従前同様、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.出生数初の80万人割れ
厚生労働省が2月28日発表した人口動態統計(速報値)で、初めて出生数が80万人割れとなった模様です。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2022/dl/202212_1.pdf
ちなみに、過去の出生数のグラフを見ると、昭和41年の出生数が極端に少ないことに目が行きます。これは、丙午(ひのえうま)という迷信によるものとされていますが、還暦に代表される通り60年に一度のペースで「干支」が戻るため、次の丙午は2026年です。そう遠くなく、また、奇しくもICA(国際アクチュアリー会議)が東京で2回目の開催となる年ですね。
2.ワクチン接種3日後に死亡
いわゆる“ワクチン反対派”を中心にYouTubeが盛り上がっていますが、特定のチャンネル(例.CBC、サンテレビ等)で新型コロナワクチン接種による危険性が報道されています。
最大4420万円の一時金を支払う救済制度ですが、現在は30人が同制度の認定を受けておられる模様です。
https://kahoku.news/articles/20221126khn000027.html
なお、“がん治療”に関して、色々な意味で名高い、医師の近藤誠氏の記事にも注目されるところです。
https://kondo-makoto.com/report/report017.html
3.リーマンショックの再来?
米国シリコンバレーバンクの経営破綻で、一部メディアでは、“リーマンショックの再来?”と噂されています。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/40799
生命保険業界に身を置くものとして、もう勘弁して欲しいというのが正直なところです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN270OW0X20C23A3000000/
4.パブコメ結果(その1)
生命保険会社等が積み立てる支払備金(IBNR)について、新型コロナ等のパンデミックや大規模自然災害の影響を勘案できるよう、現行告示等の所要の改正を行うためのパブコメ結果が公表されました。
特に、生命保険会社の保険計理人に対して、損害保険会社と同様に、支払備金についての確認を求めるべきという意見が注目されます。
一方、経済価値ベースのソルベンシー規制に併せて、現行確認している“ソルベンシー・マージン比率”について、保険計理人の確認範囲から除外する動きもある模様です。機会をみて、保険計理人のあり方についてのコラムを仕上げたいと考えております。
https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20230322/20230322.html
5.パブコメ結果(その2)
こちらのパブコメは、日本アクチュアリー会の「生命保険会社の保険計理人の実務基準」の改正案についてのものです。
具体的には、2023年2月1日から2月22日までの間、公開による意見募集を行った結果、意見がなかった模様です。
https://www.actuaries.jp/info/20230314.html
事前の“根回し”が奏功して“意見ゼロ”ということかもしれませんが、全く意見がないのも寂しい気もします。もっとも、1万件を超える“意見”が出されると、流石に“延期”を余儀なくされるようですが。
https://www.asahi.com/articles/ASR3S3SJFR3SUTFL00F.html
6.訃報(その1)
ノーベル文学賞を受賞された大江健三郎氏が逝去されました。
同賞受賞の際、文化勲章を辞退されたことで“あれこれ”噂が立ちましたが、実は、同氏は筆者の高校の大先輩であり、同窓会の都度、同氏が話題になりました。
また、障碍者をご家族にもたれる点も、ご自身の執筆活動に様々な視点をもたらされたようにも感じます。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
なお、愛媛新聞社のご厚意により、逝去を報道された記事をご提供いただけることとなりましたので、機会があれば、改めてコラムに仕上げたいと考えております。
https://www.bbc.com/japanese/64948345
7.訃報(その2)
料理の鉄人で一世風靡された料理人の陳建一氏が逝去されました。
同氏のお父様が麻婆豆腐を考案されたこともあり、闘病中にもかかわらずYouTube等で積極的に動画を配信されたのが印象的です。
特に、日本人向け、かつ、手間のかからない家庭料理に拘る姿勢は、職業人としてアクチュアリーも大いに見習いたいところですね。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=e3n1OOR3mJ8
8.新幹線通勤
新型コロナの影響で在宅勤務やオンライン・ミーティング等が一気に普及しましたが、その一方で、イーロン・マスク氏のように“出社しろ!”という機運が高まりつつあるようにも思います。
筆者の前職でご一緒した方は、毎日、富士山を眺めながら“座って”新幹線通勤していることで有名でしたが、都内に在住できず、かつ、“痛勤”生活を余儀なくされた筆者からみると、本当に羨ましい限りです。
将来的には、リニア通勤も夢ではないかもしれません。
“9時の会議に間に合います”という「のぞみ」のCMが懐かしいものですね。
9.地裁による不適切販売の否定
別のコラムで「JA共済の不適切募集」を記しましたが、こちらの巨大生保では、当該募集がなかったことを裁判所が認めました。
控訴したとのことですので、最終的な決着は、まだまだ遠いかもしれませんね。
10.あああ
生命保険業界においても、いわゆる“キャッシュレス”が進行しており、クレジットカード決済も数多く利用されていますね。
このような環境下で、以下のQ&Aが公開されたことは、ある意味、正直な対応と言えるでしょう。
Q:有効期限を過ぎたカードでも払込できていたのに、なぜ手続きが必要なのか?
A:カード会社の要請で、カードの不正利用防止等のセキュリティ強化策として、保険料請求の都度、有効期限等を確認する運用に変更。
https://www.tdf-life.co.jp/topics/20230118.pdf
11.シンギュラリティの足音
以前のコラム(2022年12月12日 (月) AIでアクチュアリー試験を解いてみた)で話題になりましたChatGPTですが、ついに、医師の国家試験で55%正解した模様です。
具体的には、400問の文章と答えの選択肢を手入力でチャットGPTの記入欄に入力し、予備校発表の正答例を参考に採点されたそうです。
手入力しなければならないという点は、まだまだ、発展途上の雰囲気ですが、そう遠くない未来では、入力そのものが不要となり、画像認識で必要なデータが自動的に入力される日が来るかもしれませんね。
https://www.asahi.com/articles/ASR3R6K7XR3LPLBJ001.html
12.異性への関心度合いと寿命
異性への関心が低い中高年の男性は早死にする傾向があるそうです。
データ分析では、男性の死亡率について、異性に関心がない男性(9.6%)、異性に関心がある男性(5.6%)となった模様です。なお、年齢や持病など他の要因を差し引いても、異性に関心がない男性の「死亡リスクが高い」という結論だそうです。
一方、女性のデータからは、異性への関心と死亡リスクの相関性はみられなかったそうです。
長生きしたい“おひとりさま”にとって、恋愛感覚は重要な要素ですね。
https://www.asahi.com/articles/ASR3R5FB0R3GUZHB001.html
なお、『アクチュアリー会会報第64号第1分冊(2011年)出産保障の商品化に関する考察<友寄 一郎>』では、「恋愛力、失恋力、結婚力、離婚力、出産力」が登場しますが、幸い、リアルタイムで当時の講演を拝見した際は、これらの「力」をグラフで紹介され、会場がドッと沸いた記憶があります。
残念ながら、印刷物としての会報には非掲載となった模様です。
13.確率論的シミュレーションの現実味
スーパーコンピューターで1万年かかる計算が、僅か、3分20秒で完了!という記事をみると、ついつい、確率論的シミュレーションを思い浮かべてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=QMuYmg9lnB8
いかがでしたか。WBC優勝に沸いた3月でしたが、次回は2026年開催。奇しくも、ICA(国際アクチュアリー会議)が同年に東京開催。大阪万博、リニア開通など、ますます目が離せない2020年代ですね。
(ペンネーム:活用算方)