引き続き10月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.難病に希望の光
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」について、iPS細胞を使って見つけた治療薬候補による治験の結果、一部の患者で進行を止められた可能性があり、ALSの進行を食い止めた例としては、世界初のようです。
難病を有する患者にとって希望の光となることを願うばかりですが、その一方で、医療技術の進歩と保険商品がどのように調和すべきか、保険業界にとって新たな課題となりそうです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF303C40Q1A930C2000000/
2.腎臓移植験成功
ブタの腎臓をヒトに一時的に移植することに成功した模様です。遺伝子操作されたブタの腎臓を使用し、かつ、胸腺も同時に移植したことで、拒絶反応を抑制できた点が高く評価できます。日本では約1万人、米国では約9万人の方々が移植を待ち望んでいるようですが、実際の移植ははるかに少ない(日本では100件程度)ようですので、ALSと同様、希望の光となることを期待したいですね。
https://www.jiji.com/jc/article?k=20211022042184a&g=afp
3.AIとの付き合い方
エジプト当局が芸術家ロボット「Ai-Da」をスパイ容疑で拘束したというニュースですが、どうやら、ロボットの目に仕込まれたカメラを通じてエジプト国内の情報が国外に流出することが懸念された模様です。幸い、イベント当日までに「解放」されたようですが、芸術家ロボットは、絵画や粘土細工を自力で作成できるレベルになっている点も驚きですね。
https://newspicks.com/news/6287930/
同じくAIを用いてヤフーコメント欄に開示制限をかける仕組みが10月19日から導入されましたが、TBSが10月25日(月)午後7時23分に発信した「速報」のおかげで、2時間で1.4万件超のコメントが寄せられ、それらの内容をAIが判断した結果、自動的に非表示とされた模様です。
言論の自由とAIの進化の両立は容易ではないですね。
なお、某ワイド(ナ)ショーでダウンタウンの松本氏のコメント“コメント欄を必要としているのかどうかを、まずAIに聞いた方がいい”というコメントが秀逸でした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4769ec3c1835567cbf2d15772607ae15c20f7b45
4.保険金殺人?
保険代理店の経営者が保険金目的のため叔父を殺害した模様です。
もともと、代理店が加盟している保険会社のウェブサイト経由で保険代理店に関する情報が閲覧できていたようですが、報道の直後、容疑者の代理店情報が閲覧不可となっていました。今後の捜査への影響などを考慮した結果かもしれません。
なお、“保険金も肩代わりするということから、親族は被告の『親切心』だと信じて疑いませんでした。”という記事もありましたが、
1)「保険金」→「保険料」の誤記
2)保険料の立替は法令等で禁止
3)保険料の立替は親切心ではない
など、保険業界関係者がみれば、“あれ?”と感じるような報道も気になります。
https://nordot.app/826050005537406976?c=632036838352438369
5.預金情報の無断使用?
保険商品を販売する際、お客さまの預金情報を無断使用した疑いが銀行の一部の支店であり調査中の模様です。保険料払込方法が一時払の保険が対象であった模様ですので、定期預金の満期などの情報が無断で活用された可能性が高いと思われます。
https://mainichi.jp/articles/20211012/k00/00m/020/075000c
なお、同行のニュースリリースのタイトルが「一時払い終身保険の販売に関するお知らせ」となっているため、タイトルだけでは「預金情報の無断使用」がイメージしにくいものになっています。
https://www.tokyostarbank.co.jp/profile/pdf/211012.pdf
6.日本郵政の新事業
2007年10月に郵政民営化がスタートして14年が経過しましたが、長引く低金利環境など、事業環境の好転がなかなか見込めない状況が続いています。
そこで、郵政事業が有する様々なデータ(例.転居や居住者情報など)を活用した日本郵政の新事業に向けて、総務省が来夏までにガイドラインを見直し、関係省庁や専門会議を新設して議論が開始される模様です。
総務省が監督している関係で、例えば、NHK受信料の集金業務のために当該データが利用されるなど、日常生活に大きな影響を与える事態に発展するかもしれませんね。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2110/12/news070.html
7.数学で命を救う!?
“数学なんて難しいだけで役に立たない…なんて思っている人も考えが変わるかもしれません。”という記事の一文がとても印象的です。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88229
8.音声サービス
業界初の2つのサービス
1)Amazon Echoによる保険料見積もりサービス(SBI生命)
2)AI による自動音声応答で住所変更受付開始(オリックス生命)
が登場しました。
ご高齢者や視覚障碍者などの方々にとっても、音声によるサービス向上はとても助かる機能だと思われますので、是非、他社にも追随して欲しいところです。
https://www.sbilife.co.jp/corporate/press/pdf/NR20211005.pdf
https://www.orixlife.co.jp/about/news/2021/pdf/n211001.pdf
9.第三者機関からの評価
金融機関などの保険代理店への情報提供をより充実させるために、生命保険商品に関する第三者機関からの評価を取得された模様です。
保険商品に対する一種の評価としては、例えば、「日経優秀製品・サービス賞」などが有名ですが、このように保険会社が自主的に第三者評価を取得される動きが広まれば、消費者にとっても安心して保険加入ができますね。
https://www.d-frontier-life.co.jp/corporate/release/pdf/2021_0013.pdf
10.市場価格調整の学習コンテンツ
「保険会社向けの総合的な監督指針」や「保険商品審査事例集」などでホットな話題であるMVAについて、消費者に分かりやすく解説された動画が公開されています。
MVAというと難しく感じてしまいますが、この動画を御覧いただければ金利と債券価格との関係がよく分かると思います。
https://www.d-frontier-life.co.jp/examine/anime-learn/index.html
11.進学応援奨学金
生命保険会社とNPO法人との協働による奨学金制度が開始される模様です。
高校3年生および浪人生を対象に大学受験の準備費用を支援する制度で、生命保険会社は運営費用等を支援する模様です。
「機会の平等か結果の平等か」というキャッチフレーズは、国政選挙の争点にもなりえる重要なテーマですが、少なくとも、当該制度の普及により、「機会の平等」が推進されることが期待されますね。
https://www.nissay.co.jp/news/2021/pdf/20211018.pdf
12.30倍型の定期付終身保険
最近の若い方はご存じないかもしれませんが、90年代に勃発した「定期付終身保険の倍率競争」は、当時の生命保険業界の大きなテーマでした。
ここで「倍率」とは主契約に対する契約全体(主契約+特約)の保障の比率のことでして、例えば、死亡保険金額3,000万円の定期付終身保険で主契約の保険金額が120万円の場合、倍率は「25倍(=3,000万円÷120万円)」となります。
90年代の半ば頃に、当該倍率が「30倍」にまで達した記憶がありますが、特に、安田生命から「雄飛30」というペットネームで販売され、“(ご自身の名前の漢字が含まれているので)当時の社長はご機嫌だった”とのコメントを同社の方から拝聴した記憶があります。
その後、年金払定期保険特約や生活保障特約などの販売を機に、当該倍率は消滅した模様ですが、訃報に触れて、当時の記憶が意外と鮮明に残っている不思議な感覚につつまれています。
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2021/pdf/20211012_01.pdf
いかがでしたか。新型コロナウイルスの新規感染者数が激減したおかげで、様々な経済活動などが賑わいを取り戻しつつありますが、一方で、原油価格上昇などに伴う様々な「値上げ」も気になります。一部の外貨建生命保険も来年度から標準責任準備金制度の対象となりますので、ひょっとすると、同保険の「値上げ」もそう遠くないかもしれません。
(ペンネーム:活用算方)