タ行(アクぺディア用語集)


代行返上
厚生年金基金は、公的年金部分(老齢厚生年金の報酬比例部分=代行部分)と独自の上乗せ部分を合わせて運用し、給付を行うが、公的年金部分を国に返還し、厚生年金基金独自の上乗せ部分だけで、企業年金制度を実施するよう制度改定を行うことを代行返上という。代行返上を行う場合は企業独自の上乗せ部分だけとなるため、確定給付企業年金に移行することとなる。

退職給付会計
退職給付とは、退職一時金や、退職年金といった従業員の退職に伴って支給される退職金のことを指すが、企業にとって退職給付は従業員に対する負債と位置づけられる。
会計上退職給付に係る毎期の負担額や債務を合理的に見積るために定められた方法を退職給付会計という。
「退職給付に関する会計基準」及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」が公表され、平成24年5月17日には、未認識数理計算上の差異等をオンバランスする等、国際的な会計基準とのコンバージェンスを図る観点から改正も行われている。

退職給付会計に関する数理実務ガイダンス
企業会計基準委員会から公表されている「退職給付に関する会計基準」及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」に沿って、退職給付会計に関する債務及び費用の計算、助言、並びにそれらに関する業務を行う場合に参考となる数理的な実務を説明する教育的資料として、日本年金数理人会と日本アクチュアリー会が公表しているものである。

退職給付債務
退職給付は、従業員の勤務期間に応じて年々増えていくことから、従業員に対する後払いの労働対価であると考えられている。退職給付債務とは、その将来見込まれる退職給付の支払総額のうち、当会計期間までに発生していると認められる部分を指す。死亡率、脱退率、昇給率をもとに数理計算の上で算出される。退職給付債務の毎期発生額は、期間定額基準または給付算定式基準により見積られる。また、退職給付は支出までに相当の期間があることから、退職給付債務の算定の際には、時間価値を考慮し割引率を用いて割引計算を行う必要がある。

退職給付引当金
退職給付債務の額に未認識過去勤務債務と数理計算上の差異を加減した額から年金資産の額を差し引いた額を計上します。

代理店貸
生命保険会社は、保険の募集・集金業務を行うために代理店と委託または請負契約を結んでいます。代理店貸とは、その代理店に対する債権総額です。代理店で取り扱った新契約について、集金した保険料は生命保険会社に送金しますが、事業年度末時点で保険会社に入金(着金)されていない場合などに発生します。

代理店借
代理店貸の逆で、代理店への債務額を計上します。保険の募集・集金等を行う代理店に支払う手数料などの未払分を計上します。

短期社債
自社の発行した短期社債の額を計上します。

弾力償却
確定給付企業年金や厚生年金基金において特別掛金を償却する方法の一つ。掛金拠出を安定的に出すことができないことも想定されるため、特別掛金に上限と下限を設定してその範囲内で償却を行うことを弾力償却という。

中小企業退職金共済制度(中退共制度)
中退共制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が運営する中小企業向けの退職金制度。事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付し、従業員が退職した際に中退共から従業員に退職金が直接支払われる。

積立上限額
確定給付企業年金や厚生年金基金において行う財政検証であり、年金資産が一定の水準を超えていないかを検証する。年金資産が積立上限額を超えている場合には、限度超過が解消されるまでの間、掛金を減らしたり、掛金の徴収を止めなければならない。

当期純剰余(純利益)又は純損失
税引前当期純剰余(純利益)から法人税及び住民税ならびに法人税等調整額を控除した金額で、会社のすべての活動によって生じた純剰余(純利益)または純損失を意味します。

特別損失
臨時・突発的に発生する損失で、生命保険会社の通常の事業活動ではないものを計上します。主に、固定資産等処分損、価格変動準備金繰入額、不動産圧縮損などを計上します。
* 固定資産等処分損
有価証券以外の不動産・動産などを売却し、売却価額が、その帳簿価額と譲渡経費の合計額を下回る場合に、その差額を計上します。さらに、この科目には、有価証券以外の資産に係る除却(取壊しなど)、災害・盗難による損失、および累積債務国に対する貸付金などの債権譲渡損失も計上します。
* 減損損失
固定資産の減損に係る会計基準に基づき発生した損失を計上します。
* 価格変動準備金繰入額
価格変動準備金への繰入額を計上します。逆に取り崩した場合は、「価格変動準備金戻入額」として特別利益に計上します。
* 金融商品取引責任準備金繰入額
金融商品取引責任準備金への繰入額を計上します。
* 不動産圧縮損
法人税法、租税特別措置法の規定にもとづき、不動産の交換・換地・買換・収用などで圧縮記帳の適用を受け、新規取得資産の取得価額を減額させた額です(圧縮記帳とは、法人が資産を取得した際、取得価額よりも少なく帳簿に計上することです)。不動産圧縮損に計上した額だけ、不動産処分益を相殺することになり、法人税などの課税の繰延が行われます。不動産圧縮損相当額については剰余金(利益金)処分において圧縮積立金として処理されるものもあります。

特別法人税
企業年金の年金積立金に対し、課税される法人税。企業年金制度では掛金を拠出した時点で各従業員の年金支給額が確定していないため、実際の給付時まで課税を繰り延べることなるが、その遅延利息に相当するものとして、年金積立金に対して特別法人税が課税される。
確定給付企業年金、確定拠出年金は、積立金の全額に、一律1.173%の特別法人税が課税される。なお、平成28年度末までは、特別法人税の課税は凍結されている。

特別利益
臨時・突発的に発生する利益を計上します。主に、固定資産等処分益、保険業法第112条評価益などを計上します。
* 固定資産等処分益
不動産・動産などを売却し、売却価額が、その帳簿価額と譲渡経費の合計額を超える場合に、その差額を計上します。有価証券の売却益は、資産運用の一つの柱として、経常的かつ反復して行われていることから経常収益に含めており、不動産・動産などの処分益は、臨時・突発的に発生するということから、特別利益の中に含めています。
* 保険業法第112条評価益
保険業法第112条にもとづいて計上される株式の評価益です。保険業法では、市場価格のある株式の時価が、帳簿価額を超える場合、監督当局の認可を受けた上で、その全部または一部分について評価益を計上し、責任準備金及び配当準備金として積み立てることが認められています。

土地再評価差額金
「土地の再評価に関する法律」に基づく土地の再評価に伴う再評価差額から、再評価にかかる繰延税金負債の金額を控除した金額、または再評価に係る繰延税金資産の金額を加えた金額を計上します。土地の再評価は、事業用の土地を時価で評価するとともに、税効果反映後の評価差額を純資産に計上する制度で、平成10年度から平成13年度までの決算で、一度だけ実施することが認められました。