気になるニュース(2021年5月)


引き続き5月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.大手生保4社の決算

例年通り、5月下旬に生命保険会社の2020年度決算が公表されました。新型コロナウイルスによる対面営業自粛の影響で、大手生保が減収になった模様です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210526/k10013052671000.html

なお、決算分析などは、ニッセイ基礎研究所で毎年夏ころに公開されておりますので、余力があれば是非チェックしたいですね。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=64986?site=nli

2.決算資料(協会様式)

生命保険会社の決算報告は、
1)生命保険協会様式による発表
2)保険業法第111条に基づく発表(いわゆるディスクロージャー資料)
で行われることが多いのですが、後述の3.および5.のように、各社独自の様式で説明資料等を併せて公開される会社もあるようです。

消費者にとって、より分かりやすい内容になることは、大変すばらしいことと思います。

なお、上記1)の様式では、アクチュアリー第2次試験(専門科目)対策としても有用な内容も含まれていますので、例えば、以下の内容を具体的な決算数値で理解されるのも効果的と思われます。
・告示第50号第1条第5項に規定する再保険契約に係る未償却出再手数料
・修正共同保険式再保険に係る再保険料
・保険業法施行規則第69条第5項の規定に基づく責任準備金戻入額
https://www.sbilife.co.jp/corporate/press/pdf/NR20210512.pdf 16~17ページ
https://www.prudential.co.jp/news/pdf/664/20210528.pdf 15~18ページ

3.新型コロナウイルス感染症による保険金・給付金支払い

前述の2.で示したとおり、独自様式で決算説明資料を公開された会社については、新型コロナウイルス感染症による保険金等の支払いデータを開示されている会社もあります。

例えば、日本生命では、約790件などの数値が公開されています。なお、数値に「約」が付いているのは、新型コロナウイルス感染症による請求かどうかを査定中のものなどが含まれるからかもしれません。
https://www.nissay.co.jp/news/2021/pdf/kessan202105/gaiyo.pdf 13ページ

4.営業開始前の財務諸表

生命保険会社の開業前の準備会社時代の決算を開示した会社がありました。

具体的には、2021年4月に開業、2021年10月からの生命保険販売の開始を予定とのことですので、2020年度は開業前の状態のようです。

なお、開業前であっても決算発表する必要があるのか不明ですが、例えば、ソルベンシー・マージン比率の開示は(リスクがゼロのため?)開業前の状態では開示不要なのかもしれません。(←数学的に考えると、同比率の分母であるリスクがゼロだと、同比率が無限大になりそうですが。。。)
https://www.nanairolife.co.jp/company/assets/pdf/2020%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E6%B1%BA%E7%AE%97%E8%B3%87%E6%96%99.pdf

5.差別化の歴史

前述の2.で示したとおり、こちらも独自様式での決算説明資料です。
特に、アクチュアリーにとっては、“1961年度決算で業界初の平準純保険料式責任準備金達成”という内容は大変興味深いものがあります。

なお、『責任準備金の充実について(昭和43年7月11日蔵銀第1002号)』によれば、保険審議会答申(昭和37年3月22日)を踏まえて、責任準備金の積立て目標を純保険料式(←記者注:“平準”の用語が抜けている理由は不明)とし、昭和43年8月31日までに責任準備金積立計画(チルメル式から純保険料式を達成するまでの計画)の提出が要請されていた模様です。
https://www.fukoku-life.co.jp/about/profile/news/download/20210521_1.pdf 4ページ

6.保障から予防へ

保険金等の支払事由に該当した場合は迅速かつ正確に保険金等をお支払いすることは、保険会社の一丁目一番地とも言える、まさに基本中の基本業務と言えます。

一方、お客さまの健康寿命を延ばすことも生命保険会社の社会的使命の1つと言えるかもしれません。
https://www.taiyo-seimei.co.jp/company/notice/download/press_article/2021/20210528_1.pdf

7.7億円の保障

無解約返戻金型定期保険は、その“シンプルさ”から価格競争にさらされることが多い保険商品の1つですが、1年(1歳)刻みで保険期間が設定できたり、最大で7億円までの保険金額が設定できることは、かなり柔軟な設計が可能になると思います。

今のところ、対面チャネルのみでの取り扱いのようですが、できれば、WEB上で保険料の試算などもできるようになると、より良いかなと思います。
https://www2.tmn-anshin.co.jp/download/881/210512news.pdf

8.健康診断受診で保険料割引

健康増進活動を支援する動きが広がりつつありますが、健康診断の結果ではなく、受診したことのみで保険料を割り引くことは、事務の簡素化はもちろんのこと、健康増進効果も大いに期待されます。
https://www.msa-life.co.jp/news/pdf/20210526_syunyu.pdf

9.請求書なしでも満期保険金振り込み

以前、保険金の即日支払いサービスを開始された保険会社があったと記憶しておりますが、ついに、請求書なしでも保険金支払いが可能となった模様です。
今のところ満期保険金のみですが、モラルリスク等に配意しながら、当該制度が徐々に拡大することを期待したいですね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210520-OYT1T50330/

10.「ご契約内容のお知らせ」の名寄せ

お客さまの事情で同じ生命保険会社の生命保険契約に複数加入していても、契約日等が同じであるとは限りません。

このため、生命保険会社からの定期的な案内を契約日ではなく被保険者年齢を基準に送達することで、お客さまからみれば、加入中の契約が同時に閲覧できるようになるため、保障の見直しなども容易になる可能性があります。

大変すばらしい取り組みであると思いますので、是非、他の保険会社にも広がって欲しいと思います。
https://www.orixlife.co.jp/about/notice/2021/pdf/n210519.pdf

いかがでしたか。今回は時節柄、決算関係のニュースが多かったのですが、依然として、新型コロナウイルス関連のニュースも少なくありませんでした。紙面の都合で紹介できませんでしたが、例えば、以下のニュースも新型コロナウイルス関連のニュースです。

(例1)サラーリーマン川柳1位:
https://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/index.html

(例2)出勤者数の削減に関する取組み状況について:
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/topics/attendance.html
https://www.lifenet-seimei.co.jp/profile/information/1190146_1703.html
など。

(ペンネーム:活用算方)

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