気になるニュース(2021年3月)


2月に引き続き3月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。

1.外貨建て保険に関する規制強化
現在の保険業法では、外貨建て保険は標準責任準備金の対象外とされていますが、「外貨建て」であっても、予定利率を最低保証するものもあります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODF109IB0Q1A210C2000000/
具体的な規制内容は不明ですが、標準利率の「外貨建て版」のようなものが想定されているかもしれません。
なお、「外貨建て」の最低保証利率の事例としては、例えば、以下のサイトが公開されています。
https://www.d-frontier-life.co.jp/customer/rate/tsumitateriritsu_graph.html?param=yotei_hendo_shushin_choice

2.楽天と日本郵政の提携
物流に関しては「日本版Amazon」と呼称してもよいくらいの楽天ですが、「米国のAmazon」と異なる点は、スマホ等のキャリア会社という側面かもしれません。
いわゆる「ユニバーサル・サービス」が義務付けられた日本郵政グループにとって、全国津々浦々の物流ネットワーク確保は重要な使命であり、楽天にとっても、他のキャリア会社に比べて代理店数が少ない点を郵便局チャネルで補う効果が期待されます。
Win-Winの関係をうまく活用しながら、国民生活の向上に資することを大いに期待したいところですね。
https://jp.reuters.com/article/%E6%A5%BD%E5%A4%A9%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%83%B5%E6%94%BF%E3%81%8C%E8%B3%87%E6%9C%AC%E6%8F%90%E6%90%BA%E3%81%B8%EF%BC%9D%E5%A0%B1%E9%81%93-idJPL4N2LA140

3.契約転換制度の取扱開始
伝統的な生命保険会社で昭和51年頃から導入している「契約転換制度」を、かんぽ生命が導入する模様です。
https://www.jp-life.japanpost.jp/information/press/2021/abt_prs_id001691.html
同社の主力商品としては、(全期前納の)養老保険というイメージが強いのですが、転換制度によって、貯蓄性から保障性へ上手くシフトすることを狙っているのかもしれません。
転換制度の導入当初は、いわゆる「解約&新契」により、(解約控除部分の)不利益を被ることなく保障内容を見直せる画期的な制度であった模様ですが、残念ながら、バブル崩壊後は、逆ざや負担を少しでも軽減するための措置として転換制度が認知されたこともあるようです。
https://manetatsu.com/2017/04/90832/#%E9%80%86%E3%82%B6%E3%83%A4%E3%82%92%E8%A7%A3%E6%B6%88%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%80%81%E5%86%8D%E7%99%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%8C%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%80%8D

4.東日本大震災から10年に際して
東日本大震災から10年という節目を迎えた生命保険協会長のコメントが生命保険協会ホームページで公開されています。
https://www.seiho.or.jp/info/news/2021/20210311.html
震災当時の経験により、定期的なアフターフォローや能動的な請求勧奨といった取組みが一層強化されていますが、さらに、認知判断能力が低下した場合等における生命保険契約の有無に関する照会に対して業界横断的に回答する新制度の創設(本年7月予定)も予定されている模様です。
震災の記憶を風化させることなく、より良いサービスに繋げる姿勢は大変素晴らしいものと言えるでしょう。

5.役職は漢字それとも英語
以前、クライアントとのミーティングで名刺交換をした際、親子ほど年の離れた感じの二人の肩書が共に「調査役」となっていて驚いた記憶があります。
ミーティング後に人事担当者に聞くと、「調査役には2種類あり、1つは定年間際の人、もう1つは管理職への昇格直前の人」、「社内では“見た目”で違いを判断することも多いですね」と回答されました。まさに、人事制度における「調整役」という役割(役職)ですね。
職位の再編にも、英語が登場し、リーディングスタッフ、アソシエイトなどが導入される会社があるようです。その昔、「ユニット制の導入」も生命保険業界では先んじて導入されたように記憶していますので、先進的取組みに意欲的な会社かもしれません。
https://www.asahi-life.co.jp/company/newsrelease/20210302.pdf
特に、アクチュアリーの準会員の英語表示が「アソシエイト」であるため、アクチュアリーの世界では、「アソシエイト」に馴染みがあるかもしれませんね。
一方、役職に「筆頭」を用いる会社もあるようでして、時代劇ファンの一人としては、「筆頭与力(≒警察署長の筆頭?)」という江戸時代の役職を思い浮かべます。
https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2020/pdf/20210302_01.pdf

6.年収240万円上乗せ!
記事の見出し「希望しない勤務先」を見て、「希望しない配属部署?」と早合点してしまいましたが、勤務先とは勤務地を指すようです。在宅勤務の推進で、地理的な距離が仕事に与える影響は少なくなってきたかもしれませんが、家族の介護など、地理的要素が仕事の条件となる方にとっては有り難い制度かもしれません。
是非、他の会社にも広がって欲しい制度だと思います。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210326-00000103-asahi-bus_all

7.エクセル禁止!?
「働く人々が時間に追われる世界をなくしたい」が為に、MS-ExcelやMS-Wordが存在するものだと思いこんでいた自分の浅はかさが恥ずかしい限りです。
https://news.line.me/issue/oa-president/5uxsjjeopcco?utm_source=Twitter&utm_medium=share&utm_campaign=none

8.世界一争うロシアの顔認識技術
インターネット技術の開発(特に、電子メールなど)は、もともと軍事目的であったと聞いたことがありますが、顔認証技術も一歩間違えれば、監視社会に悪用される危険性も孕んでいます。
包丁や猟銃などと同じく、使う人の良識に大きく依存する構造は、文明進化上、ある意味やむを得ない側面かもしれません。
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/e4-b8-96-e7-95-8c-e4-b8-80-e4-ba-89-e3-81-86-e3-83-ad-e3-82-b7-e3-82-a2-e3-81-ae-e9-a1-94-e8-aa-8d-e8-ad-98-e6-8a-80-e8-a1-93/ar-BB1eVxwI

9.基礎控除額の引き上げ???
重箱の隅を突いて“あら捜し”を行い、その企業(グループ)を評価するのは決して良くないこととは重々承知しているのですが、その一方で、度重なるATM不具合や公的資金を注入され血税で損失補填されるような業界の一員としては、誤解なく平易な表現で情報発信に心掛けることも大切な役割だと考えます。

“2013年度の税制改正によって基礎控除額の引き上げなどが行われた結果、2015年1月以後の相続では相続税が課税される比率が上昇しました。”

最初にこの文章を読んだとき、「基礎控除が上がれば、(相続税の)課税価格は下がるはずでは?」と疑問に感じました。決して誤った表現ではありませんが、せめて、

“2013年度の税制改正によって『所得税の』基礎控除額の引き上げなどが行われた結果、2015年1月以後の相続では相続税が課税される比率が上昇しました。”

と書いて欲しいところです。
https://www.mizuho-re.co.jp/article/trend/isan_souzoku07.html

いかがでしたか。正直、今月のニュースに該当しない項目も含まれましたが、時節柄、新入職員の方々にも正しい情報発信を心掛けてほしいという願いから、敢えて今月のニュースとして取り扱った点をご容赦いただければ幸いです。

(ペンネーム:活用算方)

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