アクチュアリー二次試験テキスト改訂(続編)


先月のコラムでご紹介しましたアクチュアリー試験の改訂テキストにつきまして、3月22日(月)に以下のテキストが勤務先に届きました。(連絡担当者経由で早めに申し込めましたので到着が早かったかもしれません。)

・保険1(生命保険):『第7章 医療保険(2021年3月作成)』
・保険2(生命保険):『第1章 生命保険会計(2021年3月作成)』
・保険2(生命保険):『第4章 リスク管理(2021年3月作成)』

これらのうち3つ目は新設のため、最初の2つについて主な改訂点をご紹介いたしましょう。

1.第7章 医療保険
(1)1日あたりの自己負担費用(7ページの表)
2万円以上の占率:21.7% ⇒ 33.0%(←先進医療の影響?)
(2)新商品情報(8ページ上から4行目付近)
『また入院初期に掛かる経費を賄うことを主な目的として入院一日目から複数日数分の給付を行うものも販売されている。』が追記。
(3)トンチン性の問題への対応策(12~13ページ)
・予定解約率を用いる方法が最終的かつ最適な解決をもたらしたと言ってよかろう。
・(中略)その結果、医療保険にあってはトンチン性の問題は事実上ほとんど解消されている。
(4)P基礎死亡率に関する行政上の定め(13ページ)
改訂前:特段の行政上の定めはない
改訂後:行政の認可上の制限*はあるものの
* 行政認可ならびに監督指針Ⅳ-5-1(3)など
(5)7.4.1.4 予定発生率および(中略)設定の留意点(16ページ)
改訂前:また、災害死亡給付については、その死亡が本当に事故を原因とするか否かも判定しなければならない。
改訂後:(削除)← 新型コロナウイルス感染症を考慮?
(6)7.5.1.1 (前略)責任準備金等(以下略)(20~22ページ)
    (新設):監督指針Ⅱ-2-1の引用
(7)7.5.5 ストレステストと負債十分性テスト(24ページ)
改訂前:負債充分性テスト
 改訂後:負債十分性テスト(←誤字の修正?)
(8)付録4の新設(50ページ)

なお、「7.6 基礎率変更権の取扱(32ページ)」の枠内にある『保険業法施行規則第11条の内容(第五十三条の参照先)』が最新でないようにみえますので、e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)などを活用しながら最新の条文をチェックされるとよいでしょう。

2.第1章 生命保険会計
まず、レイアウトの改訂点は、
・1.8 経済価値ベースによる責任準備金評価
・Appendix.1~4
が新設されています。ただし、Appendix.1~4の内容自体は従前のテキスト内容と同じ(←139ページ下から2行目)で、一部誤植修正(例.改訂前105ページの⑤重複など)もあります。
一方、レイアウト以外の主な改訂点は以下の通りです。
(1)「保険料明細表」の削除(13ページ)
(2)「支払備金明細表」の更新(20ページ)
例.当年度時効処理額、備考4の追加など
(3)標準生命表の追加(34ページ上から8行目付近)
(4)予定利率見直しルールの改正内容の追加(34~35ページ)
(5)キャッシュフロー・テストの記述が一部削除(改訂前47~48ページ)
(6)「LOCK-IN」の注記が一部削除(改訂前50ページ)
(7)「LOCK-IN」の記述が一部削除(改訂前51ページ)
(8)保険検査マニュアルを監督指針に置き換え(55ページ)
(9)「社員配当準備金」などの根拠規定条番号の修正(57ページ)
(10)「価格変動準備金」の積立限度の修正(61ページ)

3.第4章 リスク管理
新設のため改訂点はありませんが、とにかく、文字の大きさ(フォント)が小さいのが正直読みづらいです。(←テキスト部会メンバーの方々ごめんなさい。)
某正会員曰く、“CERAを取得していれば楽勝で読める”とのことでしたので、合格者の端くれとして、新たな気持ちで少しずつ読み進めたいと思います。
なお、13ページにある、“万人に受け入れられる統一的なERMの定義はなく”という部分は、なかなか味わい深い気がします。

いかがでしたか。今回ご紹介した内容が受験生の一助となれば幸いです。

(ペンネーム:活用算方)

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