アクチュアリー第2次試験対策(監督指針の改正)


アクチュアリー第2次試験(生保コースおよび損保コース)の出題範囲(2019年度時点)に含まれる『保険会社向けの総合的な監督指針(以下、「監督指針」という)』が約2年ぶり(平成30年2月⇒令和2年3月)に改正されました。
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins.pdf

そこで、今回のコラムでは、試験勉強の教材としての同指針の活用方法など、試験勉強に役立つ内容を幾つかご紹介したいと思います。

1.過去の資料も保存
『監督指針』は金融庁ホームページ(トップ画面の「法令・指針等」)で公開されていますが、いわゆる『上書き更新』であるため、改正前の資料が消えてしまいます。
一方、例えば、『生命保険会社の保険計理人の実務基準/解説書』であれば、改正前のものを含めて時系列で(日本アクチュアリー会ホームページにて)公開されています。
したがって、改正前の資料も手元に置くようにすれば、改正点の把握などが容易になります。

2.新旧対比表の作成
監督指針や実務基準等からの出題では、当然、改正点からの出題可能性が高く、かつ、どのような理由・背景等で改正されたのかも把握しておけば試験対策として有効でしょう。
勉強時間が十分確保されていれば、改正前後の資料を比較しながら、各自で『新旧対比表』を作成すると良いのですが、多くの受験生は仕事と勉強の両立でそこまで時間が確保しづらいと思われます。
そこで、是非活用したいのが、金融庁ホームページ(特に、パブリックコメント)でして、所望の『新旧対比表』を含めた周辺情報が惜しみなく公開されていることが多いです。実際、今回の改正については、https://www.fsa.go.jp/news/r1/hoken/20191021.html
をご覧いただければ豊富な資料が公開されていますので、大いに活用したいですね。

3.改正理由・背景等の把握
上記2.で紹介しました「パブリックコメント」にある参考資料のうち、改正趣旨のような資料も公開されることが多く、問題2の語句説明問題対策として大いに役立つでしょう。
また、単に「監督指針」だけの出題ではなく、いわゆる「所見問題」としての時事ネタとしても当該改正の視点・論点が役立ちますので、論述対策としても改正点をしっかりと押さえておくことは極めて重要です。

4.単語検索
「責任準備金」や「リスク管理」など、出題可能性の高いキーワードで検索すれば、用語単位で学習することも可能性です。
特に、法令に書かれていない表現があれば、そのまま所見問題等に当該表現を用いて解答すれば、試験委員の「受け」が良いかもしれません。
受験生自身の言葉で解答することも大切ですが、法令や監督指針等から正確に「引用」することも、試験委員への良いアピールになるでしょう。

5.穴埋め問題
区分経理の資産区分について、「資産分別管理方式」、「資産単位別持分管理方式」および「資産持分管理方式」に関する穴埋め(実際の出題では前2つの用語)が、2018年度(生保2)問題1(3)で出題されました。
このように、日常生活で用いる言葉(分別管理など)を組み合わせることで、保険特有の専門用語が作られている場合、そこからの出題可能性も高いと考えられます。
是非、PDFファイル等における「検索機能」をフル活用しながら、「自己責任(原則)」や「健全性」といった用語を含めて、自作の「穴埋め問題」を作成されると良いでしょう。

6.並列した項目
上記の5.にも関連しますが、監督指針において、しばしば、類似用語や理由等を並列して規定することがあります。
例えば、区分経理のうち「全社区分」の機能としては、
① 死亡保障リスク等のリスクバッファー機能
② 新商品開発に係る事業運営資金提供機能
③ 会社全体で共有する資産・共通する経費等の管理機能
④ 現預金等の管理機能
が列挙されていますので、このまま暗記することが望ましいです。
なお、上記の①~④は教科書にも記載されていますが、教科書に記載されていない同様の並列項目を監督指針で見つけることができれば、そこからの出題可能性は高いかもしれません。

7.『意義』や『理由』など
「利益還元の公平性・透明性の確保」、「保険種類相互間の内部補助の遮断」、「事業運営の効率化」、「商品設計や価格設定面での創意工夫などを図る」という説明が、監督指針の区分経理に関する「Ⅱ-2-4-1 意義」に登場します。
このような『意義』や『理由』などは、当然、出題時の解答に直結しますので、監督指針を読む際は、『意義』や『理由』にも注意したいところです。

いかがでしたか。最近の生保コースの出題傾向として、監督指針からの穴埋め問題が多くなっています。今回ご紹介したポイントを含めて、監督指針をしっかりと読み込んで、アクチュアリー試験の早期合格を目指したいですね。

(ペンネーム:活用算方)

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