試験勉強の極意


このコラムを執筆しているのは2月ですが、昨年12月に行われたアクチュアリー試験の合格発表の月ということもあり、これから試験勉強に本格的に挑もうとされている受験生も少なくないと思われます。

そこで、今回のコラムでは、筆者の実体験や合格者から教わった試験対策などを踏まえて、受験生に役立つと思われる『極意』を幾つかご紹介いたしましょう。

1.手段と目的

手段と目的を混同しないことは、日常生活や仕事を遂行する上で極めて重要な理念ですが、試験勉強においても例外ではありません。特に、アクチュアリー試験のように難易度の高い試験になるほど、試験勉強自体が目的になりがちですので注意しましょう。

以前、後輩がどうしても『理事長賞』を受賞して履歴書に『箔を付けたい』と強く望んでいて、60点獲得できるレベルに到達しても、敢えて受験せずに、100点獲得できるレベルに達するまで受験を控えていたというエピソードを聞いたことがあります。

履歴書を良く見せたいという気持ちは分からなくもないのですが、それを聞いた『人事部長』から、『あなたは転職するつもりなの?』と突っ込まれて、何も言えなかったそうです。

2.三種類の教材

ファイナンシャル・プランナーとして活躍されている浅井秀一氏の講演を拝聴する機会があったのですが、氏のコメントとして、『試験勉強のためには、三種類の教材を準備すると良い。辞書のように机上に置いておくもの、教科書のようにいざという時に持ち運べるもの、そして、常に持ち運べる薄くて軽いもの(自作のレジュメなども可)。』というご意見を頂けました。まさに、アクチュアリー試験にも生かせるノウハウだと思います。

例えば、『常に持ち運べる薄くて軽いもの』として、わざわざ自作のノートを作る必要はなく、教科書の目次のコピーを携帯して、すきま時間などで読みながら教科書の全体像を頭に入れたり、あるいは、特定のページや章をコピーして携帯する方法もあります。しかも、コピーであれば万一紛失しても再度コピーすれば良いので心配ありません。また、片面コピーして裏面をメモ用紙代わりに用いる方法もあります。

もっとも、スマホやタブレットにPDFファイル等で格納してしまえば、そもそも、紙の資料は不要かもしれません。

3.友達を探す

アクチュアリー試験では、アクチュアリー受験研究会などの無料の勉強会もありますし、有料でもよければ色々な会社から専用の講座が開催されていますので、是非、活用されると良いでしょう。

また、地方にお住いの方であれば、SNS等で勉強仲間を募ってみるのも良いかもしれません。(注:筆者の知る限り、Twitterでは、アクチュアリー試験の勉強サークルのようなものが構築されている模様です。)

ただ、1点注意して頂きたいのは、勉強して出てきた疑問点を受験生同士で解決しないようにして欲しいという点です。特に、第2次試験(専門科目)では必ず正会員に質問するように心がけてください。筆者の苦い経験で、準会員同士で話し合って『妙に』納得してしまい、結果的に『完全なる誤解』であったということもありますので。

4.実際の場面を想定

例えば、自分が保険計理人となった場合、決算部門や運用部門など、色々な部門から報告された数値等に基づいて判断する場面に必ず遭遇するでしょう。その場合、もし、各部門からの報告数値に誤りがあった場合、保険計理人はどこまで責任を追及されるのかを自分なりに考えてみた上で、実務基準や監督指針などに目を通せば、頭の整理にもつながりますし、本当に(笑)保険計理人になった場合でも慌てる必要はありません。

大切なことは、受験生のときから保険計理人になったつもりで勉強するという姿勢です。

5.疲れたときの対処

試験勉強はいかにして長く続けることができるかがポイントです。このため非常に強い精神力が要求されますが、精神力の強い人ほど、良い意味で『手を抜くこと』をマスターしていることが多いようです。

例えば、暗記ものであれば、ゴロ合わせ等を活用したり、気分転換に好きな音楽を聴いたりする等、上手に時間を活用することが考えられます。

疲れたときのために、日ごろから『やりたいことリスト』を作っておいて、1時間勉強できたら次の15分間でこれをやろう、という流れで一日を過ごすことが出来れば、順調に勉強が進むことでしょう。

6.絵馬を奉納

初詣などでは今年一年の願いを神様にお祈りしますが、その際、絵馬も奉納してスマホ等で撮影した画像を取り込んでおくと、良い御守りになるそうですよ。困った時の神頼みですが、スマホの待ち受けにしておけば、自然と勉強のモチベーションもあがることでしょう。

7.気楽な感じで

『楽しくなければテレビじゃない。』というキャッチフレーズが、大昔、フジテレビから発表されましたが、『楽しくなければ勉強じゃない。』とも言えます。試験問題は決して簡単なものではありませんが、解けなかった問題が解けるようになることは間違いなく成長の証(あかし)であり、そのためには、少しでも楽しみながら学習を進める工夫をする必要があります。

極端な気持ちかもしれませんが、『アクチュアリー試験に失敗しても会社からお給料が貰える。』という気楽な気持ちも、時には必要なのかもしれません。

いずせにせよ、気楽な気持ちで臨むことが大切だと思います。

いかがでしたか。筆者が高校生の時、理科Ⅰの先生から『親切な物理(渡辺久夫著)』を教えてもらいました。その中で、物理が『身につく』という特長が著者の紹介の言葉として記述されていて、この言葉が『受験の極意』と先生が仰っていたのを、今でも鮮明に記憶しています。たとえ、手元に教科書や参考書がなくても、紙と鉛筆さえあればいつでもどこでも勉強できるレベルに到達することが、やはり、今も昔も試験勉強の『極意』と言えるでしょう。ちなみに、今回ご紹介した7つの頭文字をつなげてみると『シュミトジツエキ(趣味と実益)』になります(笑)。どんな世界でも『遊び心』を大切にしたいですね。

(ペンネーム:活用算方)

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