いよいよ、令和初のアクチュアリー試験が近付いてきましたが、受験生の皆さまにおかれましては、ラストスパートの時期に突入されていることと思います。
そこで、今回のコラムでは、アクチュアリー試験のうち、第2次試験(生保1および生保2)に関する直前対策を幾つかご紹介したいと思います。
1.第Ⅰ部対策
2019年11月時点の採点基準によれば60点で合格となりますが、第Ⅱ部(50点満点)で『足切り(20点)』がありますので、第Ⅰ部で『40点』獲得する必要があります。
一方、第Ⅰ部(問題1および問題2)のうち、留意点列挙などを含む長文での解答が求められる問題2で満点(20点)をとることは難しく、15点を狙うのが精一杯でしょう。
したがって、問題1(30点満点)で25点以上とることを目指すのが良いでしょう。
では、問題1で25点以上とるためには、何に注意すれば良いかというと、少なくとも、以下の3つに注意する必要があります。
(1)穴埋め問題:正確に漢字を書く(法律や告示、できれば監督指針もチェック)
(2)計算問題:教科書や過去問から具体的な計算方法を習得
(3)列挙問題:漏れなく簡潔に記載(例.自己資本の機能、解約控除理由など)
特に、(1)の穴埋め問題については、最近の傾向は下表のとおりですので、出題傾向と併せて復習などに利用されることをオススメします。
【生保1】
H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | 2018 | |
法令等 | 問1(3) 保険法第2条 |
問1(3) 規則第10条 |
問1(1) 法第3条4項,規則第4条,問1(2) 告示233号第1~2条 |
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監督指針 | 問1(2) Ⅳ-1-14 |
問1(1) Ⅳ-5-2,Ⅳ-5-3 |
問1(1) Ⅳ-1-14(1)~(3) |
問1(4) Ⅱ-2-5-2(5),Ⅳ-1-1,Ⅳ-1-2(1)~(5) |
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実務基準 | 問1(2) 第23条 |
問1(3) 第24条 |
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教科書 | 問1(1) 8-22~23 |
問1(1) 8-13~14,31 |
問1(1) 8-23~24 |
問1(2) 3-21~22, 問1(3) 8-13 問1(4) 6-15~16 |
問1(2) 6-8~9,12, 問1(3) 8-9,29 |
問1(2) 3-36~37 |
問1(3) 5-5~6 |
問1(3) 3-34,37 |
問1(5) 5-21~22 |
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その他 | 問1(1)生保標準生命表2007(死亡保険用) | 問1(4)生保標準生命表2007(年金開始後用) |
【生保2】
H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | 2018 | |
法令等 | 問1(1)規則第68条 | 問1(2)規則第77条, 問1(3)告示50号 |
問1(2) 法第55条の2 |
問1(5)告示50号 | 問1(2)規則第77条 | 問1(1)告示231号 | 問1(1)規則第68条 | ||||
監督指針 | 問1(2)Ⅱ-2-4-2 | 問1(3)Ⅱ-3-3-3 | 問1(6)Ⅱ-3-5-1,Ⅱ-3-5-2 | 問1(1)Ⅱ-2-4-2 | |||||||
実務基準 | 問1(1) 第14条 |
問1(3) 第34,36,37条 |
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教科書 | 問1(3) | 問1(2) | 問1(1) | 問1(1),問1(2),問1(3) | 問1(1) | 問1(3) | 問1(3),問1(4) | 問1(2) | 問1(2),問1(4) | 問1(1),問1(5) | |
その他 | 問1(4)ALMイシューペーパー |
2.第Ⅱ部対策
第Ⅱ部対策としては、まず、『所見の書き方』を押さえておきたいところです。
このため、平成7年度の『保険1(生命保険)』の問題3(2)の公式解答が活用できると思います。
実際、アクチュアリー会ホームページから上記の問題および公式解答をご覧いただければ、単に、解答例と記載しているだけではなく、試験委員からの貴重なメッセージが含まれていることがお分かりいただけると思います。
特に、『商品設計において政策判断が及ぶ内容・事項』を重点的に書くことを試験委員は重視しているようですので、『政策判断』を念頭におきながら解答作成することを心がけるようにされると良いでしょう。
3.予想問題
2019年度の問題を大胆に予想してみましょう。
まず、生保1については、以下の論点が考えられます。
・商品開発プロセス:昨年から教科書(第4章)生命保険の商品開発が新設
・医療保険、再保険:昨年出題されず
・第三分野標準生命表2018:昨年は生保標準生命表2018(死亡保険用)が出題
次に、生保2については、以下の論点が考えられます。
・経済価値ベース:フィールドテストの毎年実施
・ERM:ソルベンシー・マージン基準の世界的潮流
最後の追い込みとして過去問などに取り組まれる場合で、ご自身の予想問題が確立されていない受験生には、上記の論点を中心に復習されてみてはいかがでしょうか?
いかがでしたか。アクチュアリー試験は直前になればなるほど、緊張感からか、なかなか集中できない日々が続くと思います。上記ポイントをしっかりと押さえて、良い結果につながることを祈念しております。
(ペンネーム:活用算方)