難関資格にチャレンジしたいと思ったら、まずその試験情報を集めるだろう。試験の日程や過去の問題傾向はもちろんのこと、難易度を知るために合格率を調べる人も多いのではないだろうか。通常は資格試験でも大学の入学試験でも、その合格率からおよその難易度を推測することができる。しかし、アクチュアリー試験の合格率は、とにかく毎年変動するので注意しなければならない。さっそく近年の科目別合格率を見てみよう。
上表右端にあるデータのばらつき度合いを示す標準偏差に注目してほしい。公認会計士や司法試験と言った有名な難関資格やアクチュアリー2次試験と比べても、1次試験の合格率の標準偏差が高いことがお分かりいただけるだろう。例えば年金数理の合格率は、平成18年度~26年度という短い期間でも、最高値は平成25年度の58.2%に対して、最低値は平成23年度の8.1%となっている。この数値だけを目の当たりにすると、とても同じ試験の合格率だとは思えない。
なぜ、これほどまでに合格率が変動するのだろうか。それこそがアクチュアリーの正会員数が少なく希少性が高い資格であることを物語っている。しかも、試験問題を作成する委員のメンバーは、2~3年で交代すると言われており、ほぼその周期で問題の構成や傾向がガラッと変わることも、変動要因となっている。受験生からすれば、傾向と対策がつかみづらいため、非常に厄介である。
このように合格率が変動する試験は、何年度にどの科目を受けるかが合否に大きな影響を与える。合格率が8.1%の年より、58.2%の年に出題される試験問題の方が易しいことは言うまでもない。いつ、どの科目が易しくなるのかわからないから、できるだけ一度に複数科目を受けた方が良いのかもしれない。一方で難易度が変動するからこそ、1科目なり2科目に絞って難しい年にも合格できるくらい勉強した方が良いのかもしれない。いずれにせよ、ただ過去問を研究し、今年の難易度を予測するというのは、残念ながら難しいのが、アクチュアリー試験なのだ。
戦略の立て方に正解は無い。受験生の皆さんは、より早い時期に多くの情報を集めて、難易度が乱高下するアクチュアリー試験を突破する方法を見つけ、ぜひ独自の策で合格を掴み取っていただきたい。