アクチュアリー正会員になった後、上司から論文発表するように勧められた人もいるのではないでしょうか。今回は、正会員になった後、更なる高みを求める人向けに、論文発表の機会を紹介したいと思います。
最も身近な論文発表の場は、年次大会だと思います。例年11月に開催される年次大会では、招待講演、プレゼンテーションとともに論文発表のセッションがあり、アクチュアリー関連の論文発表が行われます。
年次大会の日程は、日本アクチュアリー会のイベント・カレンダーのサイトでご覧いただけます:http://www.actuaries.jp/calendar/index.html
年次大会での論文発表は、どちらかと言うと実務よりの論文が多いのが特徴です。より学術的な論文発表の場を求める場合、日本保険年金リスク学会(通称、JARIP)の大会で論文発表するという選択肢もあります。JARIP大会には、アクチュアリーの人も参加しているので、学生や異業種の人にとって、実務家の論文発表が聞ける数少ない機会でもあります。
また、JARIPと日本アクチュアリー会は共同編集による査読付論文誌「リスクと保険」を発行しています。査読付論文にチャレンジしたい方は、「リスクと保険」に応募してみると良いかもしれません。
JARIPのHP:http://www.jarip.org/
JARIPの他にも、隣接分野の学会でアクチュアリーのセッションが企画されることもあります。統計関連連合大会では、ここ数年「アクチュアリアル・サイエンスと統計的諸問題」というセッションが企画されています。また、過去には日本人口学会でも「アクチュアリーと人口学」というセッションが行われました。
日本保険学会や日本年金学会に所属しているアクチュアリーも結構見かけます。生命保険経営学会に論文を寄稿しているアクチュアリーもいます。これらは必ずしもアクチュアリーに特化した大会・学会ではありませんが、統計学や人口学、そして保険や年金の研究者から見ても、アクチュアリー分野は未知の領域であることが多く、アクチュアリーとのコラボを期待している研究者もアカデミアの世界にいるようです。
海外での論文発表にチャレンジしたいという人向けに、最初のステップとしてお勧めしているのは、AAC(Asia Actuarial Conference)とARPIA(Asia-Pacific Risk and Insurance Association)です。イメージで言うと、年次大会のアジア版がAACで、JARIPや日本保険学会のアジア版がAPRIAです。AACの発表者の大半は実務家ですが、アカデミアの発表もあります。一方、APRIA大会の発表者の大半はアカデミアです。実務家の発表は多くありませんが、それもあって実務的な視点での発表は意外と喜ばれることも。また、査読付論文誌APRIAジャーナルもあります。
AAC(2024年、香港開催)のHP
APRIAのHP:https://www.scicollege.org.sg/apria.asp
欧米には、様々な論文発表の場がありますが、長くなってしまうので、今回はこの辺りで。欧米での論文発表の機会については、要望があれば、別コラムで紹介したいと思います。
(つくも)