気になるニュース(2025年3月)


2月に引き続き3月に気になったニュースを幾つかピックアップいたします。
内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
スケジュールの関係で、2月下旬のニュースが含まれている場合がありますことを何卒ご容赦ください。

1.3位+4位=1位

自動車保険業界では、Hondaと日産自動車が僅か3か月で『破断』となったことが記憶に新しいところですが、三井住友海上とあいおい損保が合併し、(天下の?)東京海上日動を抜いて売上(正味収入保険料)が首位になる模様です。
歴史に、“たられば”は禁物ですが、もし仮に、大成火災の破綻(←9.11テロ、ファイナイト再保険)がなければ、『損保ジャパン』がかなりの規模となっていたかもしれませんが、今回の合併はそれを凌ぐほどの大型案件と言えそうですね。

なお、個人的には本案件でこれまた(天下の?)日本生命(グループ)がどのような動きを見せるのか、非常に興味深いところです。
https://www.asahi.com/articles/AST3X0DHXT3XULFA00YM.html?iref=comtop_7_01

2.不正行為(その1)

保険代理店出向社員等が契約情報を不正に取得していた問題ですが、損保大手4社に対して業務改善命令が出された模様です。
該当件数は4社で約270万件に上るようでして、単純計算で国民の5人に1人の情報が漏洩した形となります。

一方、東急電鉄等の企業向け保険価格調整問題についても、昨年提出された業務改善計画が不十分であるとして修正にも踏み込まれる模様です。
経済価値ベースのソルベンシー規制の導入を目前に控えた保険業界ですが、数理的な計測が難しいとされる、事務リスク等のオペレーショナル・リスク領域が、むしろ今後の重要性を益々必要とされる領域かもしれませんね。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025032400941&g=eco

3.不正行為(その2)

三菱UFJ銀行といえば、今を時めく(?)貸金庫問題で燦然と輝く銀行史に偉大なる『汚点』を残したメガバンク(の1つ)ですが、保険会社と絡めた「スパイ活動」でも有名になされた模様です。
事案の詳細は記事をご覧いただければと思いますが、未だに、特権階級の意識が強い業界は、インターネットバンキングを含めて大きな変革期に来ているように感じますね。
https://toyokeizai.net/articles/-/860771

4.10年国債応募者利回り

筆者は保険計理人を4年間にわたって務めさせていただけましたが、毎年、3月になると決算準備(例.保険計理人意見書の元データ収集等)で心がそわそわします。
特に、1号収支分析(2-1)の基礎データである『10年国債応募者利回り』の動向も、3月になる都度、経営陣ともども大変気になるデータでした。
幸い、今回(2025年3月)の当該利回り(募入平均利回り)は、1.404%と高水準となりましたので、ほっと胸をなでおろした保険計理人の方々も少なくなかったかもしれませんね。
https://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/resul20250304.htm

5.備蓄米≒古米(古古米)?

いわゆる農中の「保有債券含み損」は1兆円を超える大規模な増資を余儀なくした模様ですが、当該損失を「国民のお金」で賄う仕組みとも捉えかねない“令和の米騒動”が勃発しそうです。
具体的には、政府が放出する「備蓄米」のうち90%以上をJAが落札され、しかも、新米とそれほど大きな価格差がない(例.3500円/5kg)水準で市場に流通されるかもしれません。

なお、販売時に「備蓄米」と表記されるかと思いきや、“混乱を避けるため”というJA側の屁理屈(失礼!)で非表示(例.ブレンド米+複数の生産年)されるようですが、一消費者としては、かえって余計に混乱を来すように思えてなりません。
いずれにせよ、今夏の参議院選挙結果が非常に楽しみですね!!
https://youtube.com/shorts/f3IHICOyauA?si=gvxTTFKDu7Bfqldd

6.故・スティーブ・ジョブズ氏の再来!?

Apple創業者の一人である故・スティーブ・ジョブズ氏は、10代の頃、長距離電話の機器を不正販売したことが有名ですが、故人曰く、
“もしBlue Boxがなければ、間違いなくAppleは存在していなかっただろう。”
 との『遺言』を遺されています。
https://iphone-mania.jp/news-325109/
類似の事件が日本でも起こり、具体的には、生成AIを悪用してスマホキャリア会社に不正アクセスし、入手した回線を不正転売した模様です。

特に、容疑者が「中高生3人組」という点が、ある意味でITリテラシーを正しい方向に導くことができれば、技術大国としての日本の繁栄に大いに寄与していただけるかもしれませんね。
もちろん不正行為は厳正に処罰されるべきではありますが、犯罪行為から法の抜け穴が見いだされたり、新たな技術の発見につながることも十分あり得ます!
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250227-OYT1T50083/

7.フジテレビ上納問題の終焉!?

昨年12月前後に突如、週刊誌界隈を賑わすこととなった一連の上納問題ですが、長年(非創業者として)君臨し続けたH会長を含む20余名の取締役会退任で大きな節目を迎えた模様です。
奇しくも、年度末に4時間の特番も組まれている模様ですので、第三者委員会報告書等、同社の命運をかけた貴重な機会になりそうですね。

ちなみに、株主からも実に233億円に上る巨額の訴訟が提起されている模様ですが、アクチュアリーの端くれとして筆者的には「2.33σ⇒上側1%点!」をイメージしてしまう職業病に苦笑してしまいました(笑)
https://www.asahi.com/articles/AST3W14XQT3WUTIL02QM.html?iref=comtop_7_03

8.脱炭素の国際枠組み脱退

トランプ大統領の就任で、紙ストロー廃止、LGBTQ(例.トランスジェンダー女性の女子競技参加を禁止する大統領令に署名)への対応等について、前バイデン政権と大きな政策転換がなされていますね。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2jzqevp7ro
https://www.bbc.com/japanese/articles/c334l342lxvo

また、脱炭素社会を目指すパリ協定からの脱退もトランプ氏は表明している模様でして、たった1国の大統領が交代するだけで、人類の偉大なる目標がいとも簡単に崩壊してしまう人類の危うさ・愚かさが露呈された形です。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250121/k10014698561000.html

このような環境下で、三菱UFJフィナンシャル・グループが脱炭素を目指す国際的な枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退する方針を決めた模様です。日本勢としては三井住友FG、野村ホールディングス(HD)に続く3社目の離脱のようですが、この動きは最早止められない感があります。
自分で自分の首を絞める事態にならないことを祈るばかりです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1816Q0Y5A310C2000000/

9.平等とは?

東京理科大の数学で出題ミスがあった模様です。
人間が作成する以上、多少なりともミス(例.正解がない、正解が複数ある等)はいたしかたないかもしれませんが、筆者が興味を抱いたのは別の視点からです。
1つ目は、本記事は(数学科ではなく)物理学科の学生さんのようで、TBSドラマ「御上先生」で教育監修をされている方のようです。実際、数学の問題を個別具体的に計算する問題では、数学科よりもむしろ物理学科や工学部系の学生の方が得意であることが多く、肝心の数学科学生はというと、ひたすら抽象的概念の下で記号のみを用いて理論的な構築を行うケースが少なくないからです。

2つ目は、記事の小見出しである『全員正解=受験生全員に平等か?』という点です。
これまで、日本アクチュアリー会資格試験においても問題不備があれば『全員正解』という措置が講じられることが多いように感じますが、少なくとも(マークシート方式ではなく)記述式の問題においては、解答に至る道筋を丁寧に採点する姿勢も重要に思います。
https://toyokeizai.net/articles/-/860853

いかがでしたか。年度末を迎えて、政治・経済等、相変わらずネタに事欠かない日々を送っていますが、今年は、大阪万博や参議院選挙等、国勢を占う意味でも重要な年となりそうですね。皆様にとって少しでも実り多き年度となることを祈念いたしております!

(ペンネーム:活用算方)

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