いよいよ2025年度がスタートしますが、今年度はアクチュアリーにとって歴史的節目の年で、ESR(経済価値ベースのソルベンシー規制)導入直前の最後の年ですね!
また、4月は入社時期で、アクチュアリー候補生を含む新社会人にとって、新たな門出の月です。
そこで、今回のコラムでは、保険会社や信託銀行等でアクチュアリー採用された方々に向け、筆者の経験と大いなる反省を踏まえたアドバイスを7つほどお届けいたしましょう。
1.正会員になる
言うまでもなく、『アクチュアリー採用』されたのであれば、まずは、日本アクチュアリー会正会員を目指すべきです。
もちろん、研究会員時代から多忙な部署に配属されたり、業界共通試験(例.生命保険講座、生命保険大学課程等)の学習も同時並行で行う必要があるかもしれません。
いずせにせよ、仕事と両立しながら効率的な学習スタイルを構築することがアクチュアリー人生として『成功』に向けた第一歩と言えるでしょう。
幸い、有償・無償を含めた『アクチュアリー試験対策講座』も充実しつつありますので、“(勉強)時間はお金で買える”という(良い意味で)割切りをし、将来に向けた自己投資として『身銭を切る』が手っ取り早い方法かもしれません。
2.人脈構築
筆者はこれまで、ヘッドハンターを含め、多くの方々の支えにより充実したアクチュアリー人生を過ごすことができました。
一方、新人の頃から、例えば、生命保険協会の講座参加(例.生命保険会計:富国生命の村山先生等)の機会を得たこともあり、アクチュアリー内外での人脈形成に(今振り返れば)大成功いたしました!
ともすれば、目の前の日々の業務に忙殺されかねないかもしれませんが、社内回覧資料等にもできるだけ目を通して、社内外での人脈構築を意識すれば、将来迷った時にきっと役立つでしょう。
なお、日本ならではの『終身雇用制度』は明らかに崩壊しつつ(例.大手生保の退職金ポイント制度等)ありますが、有事の際、身軽に/手軽に転職できるスキルがこれからの必須条件となることは間違いないように思います。
3.将来ビジョンを持つ
一言で“将来ビジョン”といっても、具体的な内容は各人各様にも思われますが、1つ参考になるとすれば、1999年に京王プラザホテルで開催されました『ビジョン委員会報告』が未だにバイブルと言えるかもしれません。
筆者は、図らずしも幸運にして、(当時の)明治生命の御田村卓司氏と「日本アクチュアリー会100周年』でご一緒させていただき、「握手のためだけに」受付までお越しいただいた凛々しきお姿を瞼の裏に焼き付けております。
残念ながら、筆者は同生命従業員でなかったですが、同じアクチュアリーとして丁寧かつフランクに接していただけたお姿は、アクチュアリー会事務局(福屋様etc.)と一緒に大いなる感銘を受けた次第です。
4.「3日、3年、3ヵ月」サイクル
おかげさまで社会人生活も30年超えとなり、あと4年で定年(還暦)を迎える身となりましたが、未だにこの「3日、3年、3か月」の精神は、万年共通の普遍的心理であるように思います。
具体的には、それぞれ以下の内容を指しますので、新入社員としてもし迷うようなことがあれば、是非とも参考にしていただきたいと(個人的には)願うばかりです。
3日:上司から仕事の指示&上司への回答
3ヵ月:部署全体の仕事サイクル(四半期決算、システム開発等)
3年:人事異動、転職
もちろん、最も重要なのは「3年」ですが、ついつい、目先の仕事に忙殺されてしまい『3年サイクル』を失念しがちですね。
5.日本アクチュアリー会活動
ご案内の通り、年次大会、例会、基礎講座およびムーンライトセミナー等、様々な交流機会を日本アクチュアリー会が提供されています。
特に、会社によっては(筆者の場合は日中活動のため勤務先から禁じされましたが)平日日中の基礎講座への参加が許容されていますので、大いに活用したいところですね!
6.生命保険協会活動
筆者の拙い経験では、90年代後半で死亡率調査専門PT(プロジェクト・チーム)が開催されており、日本アクチュアリー会ではなく、生命保険協会に事務局があったことが印象的です。
当時は、協会長会社(例.第一生命M谷氏ets.)はもちろん、日本団体生命(例.I氏等)等、振り返ってみれば錚々たるメンバーからご指導いただけましたことを、改めて深く御礼申しあげます。
このように、日本アクチュアリー会に限定することなく、目の前に与えられた機会を有意義に過ごすことで、アクチュアリーを含む総合職としての社会人生活に華々しい経歴が上乗せされることを意識されると良いかもしれませんね。
7.時給を上げる
最後に、この論点『時給を上げる』は、いささか早すぎる感もありますが、筆者の経験上、『自分はプロ野球選手として生活するのが主目的であって、決して巨人軍に在籍することではない!』と大見えを切った30年くらい前の自分が思い浮かびます。
もちろん、終身雇用制度に“どっぷりと浸かって”無転職で人生を過ごすことも、筆者としては大変うらやましい限りですが、一方で、ご本人の預かり知らぬところで“勝手に”勤務先た破綻し、やむを得ず、別の会社に就職を余儀なくされた方々の声を聴く機会も、転職経験がなければ、決して味わうことができないのも事実であるようです。
“人は感情で動く生き物”という観点は、(たとえ新人であっても)肝に銘じておく必要がありそうですね。
いかがでしたか。今年1月のコラム『2025年に起こること、起こりそうなこと(2025年1月5日 (日))https://www.vrp-p.jp/acpedia/4969/』でも触れましたが、たつき諒氏の予言“本当の大災難は2025年7月”がもうすぐ到来します。単なる予言で終わって欲しいと切に願う新年度のスタートです!
(ペンネーム:活用算方)