野口俊哉(のぐち・としや)さん
イオン・アリアンツ生命保険株式会社 代表取締役社長
日本アクチュアリー会正会員
【What’s イオン・アリアンツ生命保険】
2020年3月にイオンフィナンシャルサービスがアリアンツ生命株式の過半数を取得、同年5月にイオン・アリアンツ生命保険株式会社に社名を変更。イオンフィナンシャルサービスおよびイオングループが有するリテール事業へのノウハウや広大な流通ネットワークを強みとしている。
アクチュアリーになったきっかけは?
もともとは医者を目指していたのですが、大学受験に失敗しました。医学部に行けず悶々とした大学生活を送っているときに、兄から教えてもらったのがアクチュアリーでした。医者の道は諦めても、やはり専門職への憧れがあったので「これだ!」と思いました。なので最初から保険業界を志望していたのではなく、アクチュアリーという職ありきで保険業界へ足を踏み入れたのですが、そうしたらなんと興味がなかった保険がむしろ好きになってしまって今に至ります。
アクチュアリーになるまではどれくらいかかりましたか
受かったのは確か入社12年目だったかな。最初は山梨支店で営業職をしており、その後は本社で商品部や法人営業を経験してからアクチュアリー正会員になったのですが、営業の仕事をしながら勉強するのは、かなり大変。一番の難点は周りの理解が圧倒的になかったことですね。アクチュアリーの試験って12月ですよね? 営業の繁忙期も年末なので、一番忙しい時期に試験を受けに仕事を休むこと自体、冷ややかな目で見られていました。3年目のときに試験に一つも受からなかったらこっぴどく怒られましたし、2次試験合格の報告に行ったときも営業の上司から「仕事休んで試験行ってるんだから受かるのは当たり前だろ。そんなことより今月の営業数字はどうなっているんだ」と本当に全く誉められなかったという(笑)。今となってはいい思い出ですね。
営業職をしながらの試験勉強、かなり難しいと思いますが秘訣は?
勉強も試験前にまとまった時間が取れるわけではないので、行き帰りの電車でコツコツと毎日コンスタントに勉強するのが重要だったかなと思います。あとは、モチベーションの維持ですよね。それは受かった後の明確なキャリアを自分の中で持っておくということが大事だったかなと。そんなに大層なものでなくていいんです。私もアクチュアリーという職自体に憧れていただけということもあり、アクチュアリーの専門部署で活躍したいと思いながらも、もしも全く違う部署に配属になったら、その部署で活躍できればいいな程度しか考えていませんでした。短期的な目標と中期的な目標を持つ、そうしないと長期間続けられなかったと思います。
アクチュアリー資格をとるメリットは?
数学的に物事を考える力が手に入ることですかね。アクチュアリーというのは、商品数理部門とか主計部とかリスク管理部だとかそういう特定分野のためだけの仕事ではないと思っています。営業、広報やマーケティングなどアクチュアリー業務以外のことをするときでも、実はアクチュアリー的な思考っていうのがすごく役に立つなと感じています。何か物事を判断するとき、今まではこうやっていたという惰性的な判断ではなく、この行動でどのような結果が生まれるのか、絶えず物事を数値化、定量化して考えることができるので、アクチュアリー資格は専門的なアクチュアリー業務以外にも非常に役立てられると思いますね。
イオン・アリアンツ生命の代表に就任して一年ほど経つかと思いますが、野口さんから見た会社の特徴と今後のビジョンを教えてください
この会社について感じるのはやはりイオンという日本屈指のリテール企業をバックにもつ世界的にも稀な保険会社であるということ。保険会社は保険グループや金融系がバックなことが多いですが、スーパーがバックにあるなんてちょっと面白いですよね。
イオングループをバックに持っているという利点は、最大限活かしていかなければと思っていますので、イオングループ専用の商品を作るなど他の保険会社にはできないことに取り組んでみたい。イオングループって300社程あるんです。その300社のリソースを使って何か新しい商品だったり、これまでにないサービスなどの仕組みができないかと考えています。例えばドラッグストアのウエルシアもイオングループなので、ウエルシアの専用商品を作ることで、ウエルシアも他のドラックストアと差別化できてwin-winですし、契約者向けにメルマガを発行したりクーポンや特典のようなものを用意してお客様に還元することもできる。このようにイオングループであることを生かしていきたいというのが第一目標です。
あとはまだ商品数が少ないので、ひと通りのラインナップを取り揃えたいです。
今後求める人材とイオン・アリアンツ生命で働く魅力とは?
まだベンチャー企業なので、失敗を恐れずにとにかくいろいろなことにチャレンジしたいという意欲的な社員に来てほしいです。本当に無いこと尽くめの会社ですのでイチから作るという楽しさはあると思います。経験不十分でも意欲さえあれば大歓迎です。
私もかつて、何も整っていない会社に転職した経験があるんです。商品部門という形で所属したものの、それ以外の分野もいろいろ関与しなきゃいけなかったので苦労もありましたが、その分アクチュアリーとして幅広いキャリアを形成する上での大きなプラスとなったので、同じように様々な経験をしてキャリアを積みたいと考えてる人にはイオン・アリアンツ生命はうってつけ。既存の大きな会社にはメリットも多いですが、やはり会社のパーツの一部分になってしまう。そういうことがなく部署関係なく幅広い仕事ができるのは、うちの会社最大の魅力ですね。
また、働く環境づくりにも力を入れています。在宅勤務や時差通勤、フリーアドレスなど自分がやりやすいスタイルで柔軟に働ける環境にしています。例えばまだ正会員資格を持ってない人とかであったとしても在宅であれば効率的に時間を使えるので勉強もしやすいかと思います。
最後にアクチュアリー業界のこれからについてどう思いますか?
アクチュアリーという職自体がまだ認知度が低いのでもっと知られてほしいなと思います。リスク管理など、保険業界内での活躍のフィールドは広がっているものの、保険業界にとどまらず、もっとアクチュアリーが一般化していって欲しいと願っています。