3月に引き続き4月に気になったニュースを幾つかピックアップしたいと思います。
なお、内容はすべて単なる個人的な見解であり、特定の人物や団体等を誹謗・中傷する意図は全くないことを、念のため申し添えます。
1.素数ゼミの到来!?
“素数ゼミ”というワードを見て、“代数的整数論のゼミナール?”と早合点してしまうのは、30年以上前に類体論を学んだ者としてある種の“職業病”かもしれませんが、この場合の“ゼミ”は昆虫の蝉でした。
“シケイダゲドン”とも呼ばれる神秘的な現象が“221年ぶり”に米国で起こるようでして、1兆匹を超すセミが大量発生するとの専門家予測は、最近の気候変動と絡めて人類史の一区切り(例.隕石落下で恐竜絶滅など)を彷彿とさせるかもしれません。
もともと、13年と17年ごとに地上に出てくる「周期ゼミ」という集団が蝉の世界ではあるようでして、13も17も素数なので、それらの「最小公倍数」も単純に掛け合わせた221(=13×17)となり、両方の「周期ゼミ」が同時発生するのが“221年ぶり”となるようです。
惑星直列など、自然界・宇宙界の神秘は興味深く、未知の世界に対する一種の“憧れ”は、常に人生をワクワクさせるようにも感じられます。
なお、数学的には、13と17が“4で割ると1余る(素)数”のため、“2つの平方数(=ある整数の二乗)の和”で表されることが知られています。実際、「13=2×2+3×3」、「17=1×1+4×4」となり、これらを掛け合わせた数「221」も、「221=5×5+14×14」と表されます。
数学の世界にも、自然界に負けないくらい神秘的な事象が存在することの一端を垣間見ることは、本当に楽しいものです。
https://mainichi.jp/articles/20240407/k00/00m/030/067000c
2.共通テストの欠席率
今年4月1日に、2024年度(令和6年度)大学入学共通テストの成績通知書送付が開始された模様です。少子化等の影響で、2024年度は前年度より20,667人少ない491,914人が申し込み、実際に457,608人が受験された模様ですので、欠席率は7%程度です。
ちなみに、2022年度から開始したCBTで、アクチュアリー試験の欠席率は3割から1割に減少しましたので、共通テストと同水準の欠席率になった感じです。
なお、共通テストの成績通知書は、テスト出願時に検定料とあわせて手数料(800円)を払い込めば個別に通知されるようですので、受験生にとっては一安心ですね。
共通一次試験世代にとっては、問題用紙を持ち帰り、週明け月曜日に学校で“恐る恐る”自己採点して二次試験の出願先を選定した記憶がありますが、そもそもこの“自己採点”が誤っていれば、最悪の場合“1年を棒に振る”可能性もあることから、気が気でない数か月を過ごしたことが、今となっては妙に懐かしく感じられます。
https://resemom.jp/article/2024/04/02/76631.html
3.TOCビルの建替え延期
アクチュアリー試験会場でもあった東京・五反田の「TOCビル」ですが、建築費高騰で建て替えが延期された模様です。
リニューアル等を経て現在のビルのまま今年9月頃に営業を再開し、建替えの着工時期は2033年頃になる見通しです。
上述の通り、当該ビルの建替えのため、2022年度からCBTでの試験運営となったアクチュアリー試験ですが、受験生からは、「紙のほうが良い」という声を少なくありません。ページをめくる感覚は、まだ、紙のほうがし易いというのが要因の1つかもしれません。
リニアモーターカーと同様に、生まれ変わった「TOCビル」を是非、見たいですね。
https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/tokyo/7826.html#:~:text=%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D%E3%81%8C%E3%80%81%E7%AF%8950%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A,%E3%81%8C%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%AF%E3%81%9A%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
4.チャットGPTに国家試験を解かせる
以前のコラム『AIでアクチュアリー試験を解いてみた(2022年12月12日(月))https://www.vrp-p.jp/acpedia/3767/』でも紹介されましたが、今度は、国家試験(理学療法士、作業療法士)をAIに解かせる試みが医療短期大学の教員によって行われた模様です。
理学療法士、作業療法士の国家試験に特化して正答率を確かめた研究は世界初のようで、ついに、合格ラインを突破すると結果が出された模様です。シンギュラリティの瞬間がついに訪れたようですね。
より精度を高めて学習支援や人材育成への活用を探るようですが、模擬試験の作成や問題の難易度の調整まで可能なようですので、まさに、現役教師顔負けのスキルを身に着けたAIですね。
既に、九州地方の一部の地域では、IT企業工場を誘致して、小学生全員にタブレット等を持たせて、個人の学習到達度等に応じた“きめ細かな授業”が実施されているようですので、往年のマンパワーによる大学受験予備校(例.T大のT緑会等)は、そう遠くない時期に大きな転換期を迎えるかもしれません。
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/369294
5.生徒の学習を3倍速にした教師
40人学級の生徒一人ひとりに40人の教師がついて、全生徒の学習をきめ細かくサポートする、まさに夢のような学習環境は、既に現実のものとなっている模様です。
具体的には、「ChatGPT」に独自の知見を組み合わせて、教師の役割を代替させているようですが、他ならぬ『文科省の学校DX戦略アドバイザー』でもある現役教師が挑む「未来の教育」は、アクチュアリーとしても目が離せないトピックになることでしょう。
ちなみに、同アドバイザーは、高校教員を経てバングラデシュで貧困層向けの小中一貫校の設立・運営に従事されたご経験があるようでして、まさに、IT技術を駆使した平和的活用の最先端をまい進される御姿は、大いに称賛されるべき取り組みと思われます。
このような分野に税金を投入するのであれば、有権者・納税者の一人として大賛成です。裏金問題で私腹を肥やす、どこかの劣悪議員の先生方に大いに見習っていただきたいですね。
https://www.jiji.com/jc/v8?id=20240404booknavi033
6.学歴別死亡率!?
“中卒の死亡率は大卒の1.4倍”であり、喫煙習慣有無が影響している模様です。
具体的には、国立がん研究センターによる初めての推計で、国勢調査と人口動態統計に基づく学歴別の全死因による死亡率を調査・分析した結果となります。
なお、同センターによれば、「教育歴が死亡率に直接影響しているわけではなく、喫煙や塩分過多など“リスク要因が教育歴によって異なる”ことが差につながっている」との推察をされているようで、約800万人分の人口データと約33万人分の死亡票を突合した分析には、十分な信頼性があるものと言えるでしょう。
今後、生命保険加入時の申込書で『最終学歴』欄が本格的に登場する時代が到来するかもしれませんね。
https://www.ncc.go.jp/jp/information/researchtopics/2024/0328/index.html
7.“新紙幣”に悲鳴!?
新型コロナによる相次ぐ休業が多発した飲食店ですが、新たな課題が見いだされた模様です。
具体的には、今年7月3日(水)から発行開始予定の新紙幣に対応するために、食券を発行するための『券売機』を更新する必要があるためです。
機種によっては、実に“100万円超え”するケースもあるようでして、ただでさえ“材料費・人件費の高騰”などで苦境に立たされるラーメン店に、この“新紙幣の導入”が追い打ちを掛けています。
店長曰く、「100万利益出すのってなかなかじゃないですか。一日100杯だとしても半年〜1年かかる」とのことで、コロナ禍で「1日当たりの休業補償4万円」があれば、1か月で元が取れる時代とは大きく異なりますね。
なお、東京・葛飾区では30万円を上限に費用の半額補助が行われるようですが、補助金原資が税金であることを勘案すれば、成人病の原因(例.塩分、脂質等)から構成される国民食に対する対応も、行政としては悩ましいところかもしれません。
本来、紙幣改定で経済が回復する効果も、一説にはあるようですが、このような設備投資の追加負担を余儀なくされることは、ある意味、本末転倒かもしれません。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/311247
8.「等級」なしの車両保険
通常の自動車保険(車両保険)では当たり前の「等級」が存在せず、加入者数や事故件数の増減によって保険料が変動する仕組みが登場した模様です。
「ダイナミックプライシング」と呼ばれる方式ですが、当然、国内初のようです。
全国約4,300店舗で順次提供されるようですので、かなりの普及が見込まれるかもしれません。ただし、補償額は事故1件あたり最大10万円で、へこみや、こすり傷など軽微な破損の修理に対応する模様ですので、本格的な自動車保険とまではいかないかもしれませんが。
“家離れ、車離れ、酒離れ”が進む若者を取り込む狙いもあるようですので、40歳以上をターゲットとした“大人の自動車保険”に対抗する良き制度になることが期待されますね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240423-OYT1T50010/
9.最上級の等級!?
某市長が米国の姉妹都市訪問時に「航空機のビジネスクラス」を利用したことが批判されたため、『旅費支給条例の内規』が改正されることとなった模様です。
筆者も幸い、前職で2018年の「ICAベルリン大会」に現地で参加させていただく機会に恵まれましたが、当たり前のようにビジネスクラス(ルフトハンザ航空)で問題なく移動することができました。
なお、同市によれば、台湾などへの近距離フライトは「エコノミークラス」とされるようですが、少なくとも、海外出張であれば、出張者の体調面等を勘案して、堂々と、ビジネスクラスやファーストクラスで臨めばよいようにも思います。
残念ながら、筆者には、“1人当たりの旅費183万円が高額すぎる”かどうかを判断できる価値観を持ち合わせていませんが、有権者・納税者の一人としては、“旅費等に十分見合う成果”があれば、(たとえ、エッフェル塔の前でポーズを決めた記念撮影があっても)何ら問題ないようにも思うのですが、甘い考えでしょうか。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240202-OYT1T50117/
10.自社株交付という新たな報酬体系
一時期、ストックオプションというワードがもてはやされた時期が記憶に新しいところですが、ついに、メガバンクでも“社員に自社株を報酬として支払う動き”が出ている模様です。
今のところ幹部社員が対象ですが、グループ内の他の幹部への拡大も検討されているようです。
なお、株式が受け取れる退職時に「退職所得」になれば税制面の利点も受けられるようで、うまく活用すれば、会社と従業員との間で“win-win”のメリットが得られそうですね。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240405-OYT1T50111/
いかがでしたか。今月は、リニアモーターカー工事に関する大きな人事異動がありましたが、某県知事の辞任会見では、“話が長く、自慢話を延々と述べる”という典型的なダメダメ会見となったようで、結局、辞任理由が良く分からないままでの幕引きとなりました。
自動車と鉄道との“小競り合い”に巻き込まれた日本のリニア技術ですが、このまま放置すれば、国際競争力低下の危機も懸念されます。最後は政治力で解決する必要があるようにも思いますが、裏金問題すら自助努力で解決できない政治に期待する方が無理筋かもしれません。非常に悲しい限りではありますが。
ちなみに、世界の大学ランキングでは、オックスフォード大学が堂々の第1位でしたが、“自頭力と空気を読む力”には歴然とした差異があることを痛感した月となりました。
(ペンネーム:活用算方)