副業のすすめ


2月は確定申告の時期ですが、おかげさまで、筆者もアクチュアリー受験対策講座の講師としての副業を約10年行っておりますので、毎年、確定申告に勤しんでおります。
首相年頭記者会見でも、「賃上げ実現、リスキリングによる能力向上、育児休業制度強化」が掲げられましたが、特に、「リスキリングによる能力向上」の実現に向けては、今後ますます、社会人向けの学習講師需要が増大していくものと思われます。
そこで、今回のコラムでは、『副業』について、筆者の経験を踏まえながら、お勧めする理由等をご紹介いたしましょう。

1.収益の安定化

いうまでもなく、副業の対価として一定の報酬を得ることが一般的と思われますが、本業の収益が不透明であったり、残業代等の本業収入が不安定であったりする場合、副業収入で個人または世帯全体の収益が安定するというメリットが最大の魅力ですね。
実は、筆者も数十年前に自宅を購入したのですが、施工業者の勧めで、いわゆる「オール電化住宅」を選択した結果、電力会社のサービスで「オール電化割引」という制度を利用し、(当時の)消費税相当分(5%)が補填されてきました。

しかし、東日本大震災の際、電力エネルギーのみに頼っていた「ツケ」が見事に(?)回ってきて、結局、電気とガスを併用した物件に人気が出て、オール電化住宅の人気に陰りがみえたようです。
電気とガスの2系統で住居のエネルギー対策に備えるのと同様、収益源の2系統化を実現することも、特に、物価上昇の続く近年では、処世術の1つかもしれません。

2.人脈の拡大

副業を行う際、例えば、セミナーや勉強会等の講師を務める場合、参加者・受講生等との人脈形成もメリットと考えられます。
実際、アクチュアリー試験の講座を担当していた際、無事、正会員資格を取得された受講生が勤務先で出世して、逆に、当方の勤務先に営業に来られたことをきっかけに、無事、ビジネスに結びついた事例もあります。
このように、本業のビジネスチャンスにつながるような人脈づくりができることも、副業における大きな魅力の一つといえるでしょう。

3.マイナンバーカード普及

様々なポイントやサービス(例.健康保険証機能の付与等)を付与することで、国を挙げて普及に取り組んでいる「マイナンバーカード」ですが、筆者にとっては、確定申告では欠かせない重要アイテムです。
実際、確定申告書用紙について、ひな形の印刷・記入・郵送等に相当の手間が必要になるのですが、当該カードとカードリーダーがあれば手軽に処理できて、しかも、慣れれば1時間弱で作業が完結できるので、非常に便利です。
また、新型コロナ関連給付金や子育て支援金等においても、当該カードがあれば、給付金等の受領手続きが簡単に行える点も便利です。

以前、同給付金を配布するため、当該カード申請で会場が「蜜」になったという、ある意味、“本末転倒”な自治体が報道されていましたが、行政手続きのオンライン化の推進に沿う形で、今のうちから「マイナンバーカード」を作成されるのがよいかもしれません。
なお、当該カードがあれば、コンビニ等の行政サービス端末を利用して、住民票はもちろん、戸籍謄本(抄本)まで取得できるので大変便利です。もし、当該カードがなければ、本籍のある遠隔地に出向いたり、委任状付きで親兄弟などに取得を依頼する必要があるためです。

4.退職後収入の上乗せ

肉体労働などの特定の副業を除いては、例えば、勉強会講師のようにそれほど体力を消耗せず、逆に、本業の知識・経験を活用しながら、あまり“元手”がかからない副業を行えることは、本当にありがたいです。
特に、体力の衰えた定年退職後でも、継続可能な副業は様々あるようにも思えますので、ご自身に合った「副業」を探してみるのもよいでしょう。
また、将来の制度運営が万全とは必ずしも言い切れない「公的年金」を補完する観点からも、無理のない範囲で末永く続けることができ、趣味と実益とを兼ね備えた「副業」を保持することも、充実した人生を送る秘訣かもしれませんね。

5.副業収入の課税繰延べ策

現役世代の所得が多い人の場合、せっかくの副業収入も“高い所得税率”のおかげで、半分近くが納税資金に回ることも少なくありません。
もちろん、勤労に対する正当な報酬を得て、適正に納税することは国民の義務ではありますが、生命保険等の金融商品をうまく活用しながら“節税”することも、当然の権利です。

さらに、個人向けのiDeCoやNISA等も上手に活用すれば、損金算入等を含めた非課税メリットを享受しながら、上述の老後資金拡充にも繋げることもできるでしょう。
なお、iDeCo等を含めた資産運用について、「ひろゆき氏と荻原博子氏のYouTube動画」は、一見の価値ありです。(←単なる「娯楽動画」としても面白いです。失礼!)

6.講師自身のスキル向上

大学時代、数学科のゼミで指導教官から頂戴したコメントが、今も心に残っています。
それは、人生初のゼミでの発表の前に、「ゼミや講義には2種類ある。1つは聴衆のために新発見した理論等を披露するもの。もう1つは、発表者自身の(頭の整理の)ために行うもの。学部(4回)生のゼミは、当然後者なので、その分、間違いを恐れずに思い存分喋って板書して欲しい。」

副業も、まさにこの金言に当てはまります。受講生のみならず講師自身のためにも、仕事を通じて諸先輩方から頂いたアドバイス等を、ご自身の頭で再整理する観点から、敢えて自身に副業を課すことで、自分自身の成長にも繋げられるのが理想ですね。

7.生涯現役に向けて

アクチュアリー試験を始めとする難易度の高い資格試験では、むしろ、定年退職後に十分な時間をとって、後輩の指導・育成のためにも、YouTube等を最大限に活用して試験の攻略法や実務への応用等、幅広い観点から情報提供することが、ますます重要な時代になっているように思います。
さらに、現役時代の副業を通じてセミナー会社等と御縁を頂戴できれば、退職後に講師自身が当該会社に「専属講師」として就職できるかもしれませんね。

老後世代こそ「脳トレ」等の知的活動(例.指先を細かく使う折り紙等)が認知症防止に有効との研究結果もあるようですので、ご自身の健康維持も含め、生涯現役を目指して副業に勤しむことも、充実した“隠居生活”に不可欠な要素かもしれません。
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/dementia/17996#:~:text=%E6%8A%98%E3%82%8A%E7%B4%99%E3%81%AE%E9%81%8E%E7%A8%8B%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%81%E6%98%94,%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%A0%B9%E6%8B%A0%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

いかがでしたか。副業は単なる収益確保の機会だけではなく、参加者および主催者等による多大なる協力で成り立っているのだなあと、このコラムを執筆しながら改めて実感しています。残念ながら、物価上昇の基調は当面継続するものと思われますので、一人でも多くの方々に、是非、副業のチャンスをつかんでいただき、充実した人生を過ごしていただけることを切に願っております。

(ペンネーム:活用算方)

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