2022年度のアクチュアリー試験の資格試験要領が公開されましたね。
特に、今年からCBT方式が導入されましたので、上手く活用すれば、これまで以上に答案作成が便利になるように思います。
そこで、今回のコラムでは、生保数理を受験される方々に向けて、3つの攻略テクニックをご紹介いたしましょう。
1.過去法は終価か?
生保数理の教科書(上巻)177ページに、責任準備金の将来法と過去法の一致が紹介されていて、前段が過去法、後段が将来法で、ページの最後にかけて両者の一致が示されています。
特に、過去法に着目すると、同ページの上から3行目で、保険料収入および保険金支払がいずれも『終価』で表されていますので、受験生の中には、“過去法は終価”と理解されている方々が少なくないかもしれません。
しかし、“過去法は現価”と考えることもできます。
実際、同ページ(5.3.1)の分数の分子分母を「Dx」で割れば、『終価』が『現価』になります。
つまり、“過去法は終価、将来法は現価”という理解ではなく、“過去法は過去の区間[x, x+t]、将来法は将来の区間[x+t, x+n]でそれぞれ考える”という理解が正しいように思えます。
なお、問題文に、“xの上に1、n(またはtなど)の上に1”があれば、過去法を利用というテクニックも是非覚えておきたいですね。
2.公式の暗記法
生保数理では様々な公式が登場しますが、教科書に登場する公式は多すぎて、全てを丸暗記することは極めて困難なようにみえます。
そこで、以下の要領で必要最小限の公式を暗記することが、最も効率的なように思えます。
例えば、教科書の『第1章 利息の計算』と『第2章 生命表および生命関数』を融合した、『第4章 純保険料』に登場する公式を暗記すれば、予定利率または予定死亡率を上手く設定することで、別の公式が容易に導けます。
教科書(上巻)133ページ問題(7)(b)で、
“予定利率をゼロ ⇒ δ=0 ⇒ 教科書(上巻)68ページ問題(16)”
という流れで、第2章の公式が導出。
3.死力(瞬間脱退率)の線形性
教科書(上巻)92ページ(3.2.17)のように、死力(瞬間脱退率)の線形性を用いた解答テクニックも、なかなか気づきにくいかもしれません。
特に、教科書(下巻)『第13章 就業不能(または要介護)に関する諸給付』で登場する、“主集団は死亡・就業不能の瞬間脱退率”、“副集団は死亡のみの瞬間脱退率(死力)”という点を押さえておけば、例えば、平成16年度問題1(7)の公式解答で、“主集団は2つの瞬間脱退率の和”、“副集団は1つの瞬間脱退率”という部分が容易に理解できるように思えます。
いかがでしたか。アクチュアリー試験の第1次試験(基礎科目)のうち、生保数理は、比較的勉強時間に比例して結果が出る科目だと言われています。今回のコラムが受験生の一助となれば幸いです。
(ペンネーム:活用算方)