アクチュアリー試験の直前対策(生保1編)


いよいよ、アクチュアリー試験が近付いてきましたが、受験生の皆さまにおかれましては、ラストスパートの時期に突入されていることと思います。

今年は、何といっても、新型コロナウイルスの影響が大きく、資格試験要領が2度出され、試験スケジュールの変更など、例年にない特殊な対応を迫れた感がありますが、同ウイルスの影響は、試験運営のみならず、出題傾向にも影響を与える可能性があります。

そこで、今回のコラムでは、昨年11月に引き続き、アクチュアリー試験のうち、第2次試験(生保1)の第Ⅱ部(論述問題)を中心に出題可能性が高いと思われる論点を幾つかご紹介したいと思います。(余力があれば、昨年11月のコラムも併せてご一読いただければ幸いです。)

1.新型コロナウイルス感染症
2020年の“時事ネタ中の時事ネタ”といえる「新型コロナウイルス感染症」ですが、同ウイルスに対するワクチンはまだ開発途上で、各国が利権争いをする等、影響はいまだに拡大し続けています。

社会問題はともかく、ここでは、アクチュアリー試験問題に焦点を当ててみると、少なくとも、以下の論点が生保1としては思い浮かびます。
(1)プライシング(料率改定など)
(2)第三分野保険のストレステスト
(3)基礎率変更権
過去問等で上記に関連する問題を、是非、チェックしておきたいですね。

2.外貨建保険販売資格試験
新型コロナウイルスの陰に隠れてあまり目立たなかった(失礼!)かもしれませんが、いわゆる「銀行窓販」における苦情が増加傾向にあるため、外貨建保険販売資格試験が創設されました。

筆者は、大昔、(当時の)変額保険と国債窓販に関する試験を受験させていただけたのですが、新たに試験制度が創設されるのは久しぶりのような気がします。それだけ、変額年金保険の販売が爆発的に伸びて、また、(残念ながら)苦情も増えているという現れかもしれません。詳しくは、生命保険協会ホームページ(https://www.seiho.or.jp/exam/)をご覧ください。

それにしても、保険関係費用2%で3兆円のファンドを組成し、年間600億円の収益を稼ぐという、なんとも羨ましい限りの“古き良き時代”の栄華が未だに忘れられない御気持ちは痛いほど解ります。1991年に崩壊した“バブル経済”は、もっと凄かったのでしょうね。

3.商品開発プロセス
平成30年度に『教科書(第4章)生命保険の商品開発』が導入されましたが、これまでの出題は、第Ⅰ部(知識問題)のみであり、第Ⅱ部(論述問題)からの出題はまだないようです。

教科書改訂から3年目を迎えた今年は、所見問題としての出題可能性が高いと考えられますので、教科書はもちろんのこと、保険業法から監督指針まで、法令等を網羅的に学習されると良いでしょう。

特に、金融庁ホームページ
https://www.fsa.go.jp/status/hoken_sinsajireishu/index.html)にある『保険商品審査事例集』では、商品開発実務に有用な情報が豊富にありますので、試験対策としても大いに活用したいところです。

4.経済価値ベース
内容的には『生保2』の範疇かもしれませんが、以前、ムーンライトセミナーで『経済価値ベースでのプライシング』について紹介されていた記憶もありますので、『生保1』で出題されてもおかしくないかもしれません。

例えば、教科書『第1章 営業保険料』のAccumulation typeや教科書『第3章 アセットシェア』のアキュムレーション方式によるプライシングは、経済価値ベースの一種と考えられるでしょう。

フィールドテストも毎年実施することが決まったようですので、2025年頃の正式導入と言われている経済価値ベースの学習も『生保1』と並行しながら、準会員のうちから進めておくのが得策と言えるでしょう。

いかがでしたか。昨年のコラムにも記しましたが、アクチュアリー試験は直前になればなるほど、緊張感からか、なかなか集中できない日々が続くと思います。上記ポイントをしっかりと押さえて、良い結果につながることを祈念しております。

(ペンネーム:活用算方)

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