非常識な合格法?


 先日、最寄駅からバスに乗り停留所からすぐのところの交差点で信号待ちしていたとき、突然、バスをたたく音がしました。私を含め数名の乗客は一瞬何事か?と驚きましたが、乗り遅れた『ご婦人』が乗車したかったらしく、無理にバスをとめたのでした。

 仕方なく、運転士さんはドアを開けて、『バスを叩かないでください。』と注意しましたが、運転士さんの優しい人柄に、車内の雰囲気が少し和らいだのが何よりでした。正直、こんな風に歳は取りたくないなあと思いましたが、『非常識』な人と、どう向き合っていくのか、現代社会の一つの大きな課題かもしれません。

 さて、『非常識』で思い出されるのが、資格試験対策で有名な『クレアール』の『非常識合格法』でして、代表的な受験テクニックである『スピーチ』など、筆者も石井先生の勉強法には大変お世話になりました。

 幸い、石井先生の合格ノウハウが、https://www.crear-ac.co.jp/cpa/book_present/で公開されておりますので、その中でも特に印象に残る『一発合格が出る理由』についてご紹介いたしましょう。

1.一次試験と二次試験
以前のコラム『合格率の推移から見えてくるもの(2017年2月15日 (水)』
https://www.vrp-p.jp/acpedia/516/ をご覧いただければ、アクチュアリー試験の合格率について、一次試験と二次試験で、その『動き』に差があることがお分かりいただけると思います。
 実際、二次試験に比べて一次試験の方が合格率にバラツキがあります。恐らく、配点が決まっているため、問題の難易度に差異があった場合、大量の正解または少量の正解が出る可能性が高いことに起因するものと考えられます。
 もちろん、二次試験でも配点は予め決まっていますが、語句説明や所見問題など、問題全体の配点(例.1問20点など)が決まっていても、採点基準(例.この『単語』が含まれていれば1点加点など)が年ごとに変動し、結果的に、一定の合格率水準を維持するよう、採点基準が調整されている可能性があります。

2.一発合格が何故出現するのか
 以下の事例は、クレアール社による、一般的な資格試験の採点基準に関するものでして、アクチュアリー試験を指しているわけではありませんが、一発合格が何故出現するのか、その『からくり』がお分かり頂けると思います。

 前提:問題は全5問で60点以上が合格。合格率を例年並みの20%にしたい。
    (←合格率が低い場合、問題が良くないと試験委員が避難される)

 ステップ1:問題5の正解率が非常に悪く、この配点では合格率が10%に。

問題1 問題2 問題3 問題4 問題5 合格率
20点 20点 20点 20点 20点 10%

 そこで正解率が最も低い問題5の配点を0点にすると、

 ステップ2:問題4の正解率も悪く、この配点では合格率が15%に。

問題1 問題2 問題3 問題4 問題5 合格率
25点 25点 25点 25点 0点 15%

 そこで正解率が悪い問題4の配点を10点にすると、

 ステップ3:無事に合格率20%を達成。

問題1 問題2 問題3 問題4 問題5 合格率
30点 30点 30点 10点 0点 20%

 以上の結果、5問中、問題1~3のうち2問正解で合格という事態が生じる!

 つまり、合格率を一定以上に維持するために、受験生の多くが出来たであろう、標準的な問題(問題1~3)が2問解ければ合格になる。しかし、合格者のうち5問中2問しか出来なかった人は、『5問中2問正解では4割しかできていない。何故合格なの?』という素朴な疑問が湧いてきます。

 一方、多くの受験生が解けなかった、問題4や問題5ができた受験生は、仮に、もう一問正解しても、40点にしかならず不合格という事態にもなりかねません。

 結局、普通の受験生が解ける標準的な問題を中心に解けた受験生が合格するという構図となるわけです。

3.アクチュアリー試験対策として
 特に、二次試験では比較的合格率が安定していますので、上記の『得点調整』が行われる可能性が高く、結果的に、標準的な問題が解ける受験生が早期に合格する仕組みになるわけです。
したがって、試験対策としては、標準的な問題や頻出問題などを中心に勉強するのが秘訣といえるかもしれません。

 いかがでしたか。アクチュアリー試験に限らず、一般的な資格試験においては、標準的な問題が解けることがいかに大切かがお分かりいただけたことと思います。どんな試験でも、やはり、『基本』を大切にしたいですね。

ペンネーム:活用算方

あわせて読みたい ―関連記事―