2025.04.17

公認会計士

監査法人の福利厚生について。比較ポイントやBig4の福利厚生を解説

監査法人の福利厚生について。比較ポイントやBig4の福利厚生を解説
監査法人で働く際、給与やキャリアパスが重視される傾向にありますが、福利厚生にも一定の違いがあります。

一般企業と比べると監査法人の福利厚生は限定的な面もありますが、特に大手監査法人では、ワークライフバランスの確保やキャリア支援に関する制度を整えているところもあります。

本記事では、監査法人の福利厚生について解説し、大手監査法人の共通する制度や各法人ならではの特徴を紹介します。

転職を検討している方にとって、福利厚生の違いを理解し、自分に合った環境を選ぶための参考になれば幸いです。
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VRPパートナーズ編集部

VRPパートナーズ 編集部です。アクチュアリー・公認会計士・税理士・IPOに関係する話題を配信していきます。日々の業務や転職にぜひご活用ください。

監査法人の福利厚生の比較ポイント

福利厚生は、大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二つに分かれます。

法定福利厚生は、企業に義務付けられているものであり、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、労災保険などが含まれます。

これはどの監査法人でも基本的に同じ内容であり、比較の対象にはなりにくいでしょう。

比較のポイントとして挙げられるのが「法定外福利厚生」です。

しかし、実際に大手監査法人の福利厚生を調べてみると、法人ごとの大きな違いはあまり見られません。例えば、カフェテリアプランや時短勤務・リモートワークを選べるフレキシブルワーク制度など、主要な福利厚生はどの大手監査法人でも提供されています。個々の制度の金額や条件に多少の違いはあるものの、決定的な差にはなりにくいのが実情です。

しかし、自身のライフスタイルに合った福利厚生があるかを確認することは就職・転職を考えるうえで重要です。例えば、育児支援制度の具体的な内容や、リモートワークの可否、フレックスタイム制度の柔軟性などは、人によっては大きな影響を与えるポイントとなるでしょう。

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大手監査法人の福利厚生を紹介

では、大手監査法人にはどのような福利厚生があるのでしょうか。

ここでは、大手監査法人の法定外福利厚生を紹介いたします。

有限責任監査法人トーマツ

項目概要
働き方支援フレキシブル・ワーキング・プログラム制度配偶者帯同休職制度
育児・介護支援育児コンシェルジュサービスベビーシッター利用補助制度カフェテリア方式による育児・介護補助クーポン産前講座産後ケア教室不妊治療休職制度生殖医療サポート(不妊治療・卵子凍結等)
その他福利厚生サービス生命保険(総合福祉団体定期保険)デロイトトーマツ確定拠出年金iDeCo(個人型確定拠出年金)クラブ活動補助スポーツクラブ・各種宿泊施設の割引

参考:募集要項-有限責任監査法人トーマツ採用サイト

有限責任監査法人トーマツならではの福利厚生

有限責任監査法人トーマツでは、不妊治療から育児まで幅広く支援する制度を導入しており、ライフステージに応じた包括的なサポートを提供しています。

特に、不妊治療や卵子凍結にかかる費用を補助する制度を整えており、生殖医療の段階から支援を受けられる点が特徴です。さらに、通院スケジュールに対応しやすいよう、フレックス勤務や休業制度を活用できる仕組みを整備しています。

この制度は性別を問わず利用可能で、パートナーとともに活用できる点も大きな特徴です。外部サービスプロバイダーと契約することで、利用者のプライバシーにも配慮されており、安心して支援を受けられる環境が整っています。

加えて、育児コンシェルジュの設営、ベビーシッター費用補助、マザーズルーム(授乳室)の提供、更年期に関する法定以上の休暇制度など、育児や健康に関する支援も充実しています。不妊治療の段階からサポートを受けられる企業は少なく、トーマツならではの先進的な福利厚生の一つとなっています。

有限責任あずさ監査法人

項目概要
働き方支援リフレッシュ休暇(5日間)ボランティア活動休暇
育児・介護支援ベビーシッター利用補助制度復職セミナー病児保育サポート保活コンシェルジュファミリーネットによる情報提供
その他福利厚生サービスクラブ活動カフェテリアプラン宿泊施設優待財形貯蓄生命保険住宅提携融資制度長期障害所得補償制度コーポレートカードマッサージ室外部カウンセラー

参考:福利厚生|あずさ監査法人|会計士採用情報|定期採用

h4 有限責任あずさ監査法人ならではの福利厚生

有限責任あずさ監査法人には、他の大手監査法人と比べて特有の福利厚生は確認できませんでしたが、職員向けにマッサージ室を設置している点が特徴の一つとして挙げられます。

監査法人の業務は長時間のデスクワークが中心となり、肩こりや腰痛などの身体的な負担が蓄積しやすい環境です。マッサージ室があることで、業務の合間にリフレッシュし、体調を整えながら働くことができます。

監査法人の福利厚生として、育児支援や財形貯蓄などは一般的に導入されていますが、マッサージ室のような健康管理を目的とした設備が整っているのは珍しく、職員の働きやすさを支える取り組みの一つと言えるでしょう。

EY新日本有限責任監査法人

項目概要
働き方支援フレキシブルワークプログラム
育児・介護支援育児休業配偶者出産休暇、出生時育児休業、育児コンシェルジュ、ベビーシッター利用(100%~60%補助)看護休暇
その他福利厚生サービスクラブ活動法人契約スポーツクラブ会員制リゾート)カフェテリアプラン

参考:福利厚生|ワーク&ライフ|EY新日本有限責任監査法人定期採用サイト

h4 EY新日本有限責任監査法人ならではの福利厚生

EY新日本有限責任監査法人には、他の大手監査法人と比べて特有の福利厚生は確認できませんでしたが、「ベビーシッター利用料100%補助」という記載があり、育児支援が充実していることが伺えます。

一般的にベビーシッター補助は利用料の一部を補助する企業が多い中、100%補助と明記されている点は特徴的です。ただし、同じ制度内に「60%補助」との記載もあるため、利用条件によって補助率が異なる可能性があります。

育児と仕事を両立するうえで有益な制度ではありますが、実際の適用条件については確認が必要です。

PwCJapan有限責任監査法人

項目概要
働き方支援FWA制度(Flexible Work Arrangement)特別試験休暇結婚特別休暇リフレッシュ・ヘルスケア休暇
育児・介護支援ベビーシッター利用補助制度育児特別休暇(男女ともに15営業日)介護特別休暇(15日間)
その他福利厚生サービスPwCFuns活動(クラブ活動)カフェテリアプラン健康維持(インフルエンザ予防接種補助・健康相談)語学学習支援制度

参考:働きやすい環境作り(PwCJapan有限責任監査法人定期採用)

h4 PwCJapan有限責任監査法人ならではの福利厚生

PwCJapan有限責任監査法人では、グローバルな業務環境に対応するため、語学学習支援制度を導入しています。

英語力の評価として、CASEC(英語のリーディング・リスニング・ライティングを測定するオンラインテスト)を年10回、GBC(英語のスピーキング力を評価する対面チェック)を年3回まで無料で受験できます。これにより、学習の成果を定期的に確認しながらスキルアップを図ることができます。

語学学習支援は多くの企業で導入されていますが、PwCJapanでは学習プログラムの選択肢が豊富であり、さらに英語能力の評価を無料で定期的に受験できる点で、他の監査法人と比べても充実した制度となっています。

大手監査法人に共通する福利厚生

大手監査法人では、従業員の働きやすさを支えるさまざまな福利厚生が整備されています。その中でも、各法人に共通して提供されている制度には、資格取得やキャリア支援に関連するものが多く、公認会計士としての成長をサポートする内容が充実しています。ここでは、大手監査法人に共通する代表的な福利厚生について紹介します。

カフェテリアプラン

カフェテリアプランとは、従業員が自身のニーズに応じて利用できるポイント制の福利厚生制度です。付与されたポイントを使い、健康診断の追加検査、旅行、スポーツクラブの利用、育児・介護支援など、さまざまなサービスを自由に選択できます。この制度により、従業員はライフスタイルに合った福利厚生を受けることができるため、多様な働き方を支える仕組みとして活用されています。

実務補習所の入所費用

公認会計士試験に合格した後、実務経験を積みながら実務補習所に通う必要があります。大手監査法人では、実務補習所の入所費用を会社が負担する制度を導入しており、新人会計士のスムーズなキャリアスタートを支援しています。これにより、経済的な負担を軽減しながら、必要な知識やスキルを身につけることができます。

公認会計士協会への会員登録費用

公認会計士として正式に登録するためには、日本公認会計士協会(JICPA)への会員登録が必要です。大手監査法人では、この登録費用を負担する制度が整っており、新規登録時の経済的負担を軽減できます。これにより、会計士は安心して協会に加入し、必要な研修やネットワークの構築を進めることができます。

公認会計士協会への準会員登録費用

公認会計士試験合格後、修了考査を受けるまでの期間は「準会員」として日本公認会計士協会に登録する必要があります。この準会員登録費用も、大手監査法人では負担するケースが一般的です。準会員登録をすることで、各種研修を受講したり、会計士としての実務経験を積むためのサポートを受けることができます。

修了考査の費用

公認会計士として正式に登録されるためには、実務経験を積んだ後に修了考査を受験し、合格する必要があります。大手監査法人では、この修了考査の受験費用を補助する制度を設けており、資格取得を目指す職員をサポートしています。この支援により、受験者は安心して試験に集中できる環境が整っています。

公認会計士企業年金基金

大手監査法人に所属する公認会計士は、公認会計士企業年金基金に加入することができます。この基金は、公認会計士の将来の生活を支えるための制度であり、退職後の年金給付を受けることができます。企業側が掛金を負担するため、従業員の老後の安定した生活をサポートする仕組みとなっています。

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大手以外の監査法人の福利厚生

大手以外の監査法人では、

  • 自己啓発支援制度
  • 人間ドック受診費用補助
  • 部活動補助
  • オフィスフリードリンクサービス(コカコーラ社・キリンビバレッジ社等の自販機商品)
  • 福利厚生サービス(ベネフィット・ステーション)

などの福利厚生が用意されているケースもあります。(VRPパートナーズの求人より抜粋)

必ずしもこれらの福利厚生が用意されている訳ではありませんが、重視したい福利厚生を決めておくと、転職・就職の際の軸とできるでしょう。

自己啓発支援や健康管理の強化、社内コミュニケーションの活性化を目的とした制度が整っている法人もあり、自分の働き方に合った職場を選ぶ際の参考にしてください。

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まとめ

監査法人の福利厚生は、大きく法定福利厚生と法定外福利厚生に分かれます。法定福利厚生はどの法人でも共通していますが、法定外福利厚生には各法人ごとの違いがあります。ただし、大手監査法人においては、育児・介護支援、資格取得支援、カフェテリアプランなど、多くの制度が共通しているため、福利厚生の違いが転職の決め手になることは少ないかもしれませんが、転職時に悩んだ時の検討材料として確認しておくと良いでしょう。

転職を検討する際は、福利厚生だけでなく、業務内容やワークライフバランス、キャリアの可能性を総合的に判断することが大切です。

福利厚生を含め、働き方やキャリアの方向性について悩んでいる方は、ぜひVRPパートナーズにご相談ください。転職相談から求人紹介、面接対策、年収交渉まで、すべて無料でサポートいたします。

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